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買い手に1単位t円の従量税を課す場合の総余剰と売り手に1単位t円の従量税を課す場合の総余剰を比べたとき、変わらないというのを、どのように説明すればよいでしょうか。

A 回答 (1件)

買い手に課税しても、売り手に課税しても、均衡(取引数量、価格)が同じなら、総余剰も変わらないので、課税方法によっては均衡が変わらないことを示しましょう。

いま、
Ps=売り手が受け取る価格
Pb=買い手が支払う価格
とすると、(従量)税ないときは、買い手が支払った価格は売り手が受け取るので、
Ps = Pb
が成立するが、毎日の買い物でよく知っているように、税が課されると、PsとPbの間に従量税分tだけギャップがでる。すなわち、
Pb - Ps = t            (*)
となる。この式は、もちろん、
Pb = Ps + t           (**)
あるいは
Ps = Pb - t           (***)
と書き換えることができ、3つの式は数学的には同値である。
(**)が売り手に課税した場合を示し、買い手はPs+t(円)を売り手に支払い、売り手はその内Ps(円)を自分の懐にいれ、残りのt(円)を税務署に持っていく。これに対して、(***)は買い手に課税した場合を示しており、売り手は、買い手が支払ったPb(円)の内から、買い手が税務署に持っていくt(円)を差し引いた残りのPb - t (円)を代金として受け取ることを示している。数学的には、どちらの方式も、(*)に同値であり、これらの手続きの違いによってPbとPsの値が変わらないことは明らかだろう。

以上を需要、供給曲線のグラフを用いて表してみよう。価格を縦軸に、需要量、供給量を横軸にとり、右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線を描いてください。2つの曲線の交点は課税がないときの均衡を表わしている。いま、取引1単位にたいしてt(円)だけの従量税が課されると、需要曲線と供給曲線の、縦の差がちょうどtとなるところ(需給曲線の交点の左側にある)を見つけてください。垂線を下して横軸と交わったらそれが(つまり横座標が)従量税がtのときの取引数量(Q(t)と書こう)を表わしており、垂線を上に伸ばしたとき、供給曲線との交点の縦座標が売り手受け取り価格(Ps(t)と書こう)であり、さらに上に伸ばし、それと需要曲線との交点の縦座標が買い手支払価格(Pb(t)と書こう)である。こうして得られたPs(t)、Pb(t)が(*)、(**)あるいは(***)を満たすことはあきらかだろう。つまり、(Ps(t),Pb(t),Q(t))という組は一組しかない。売り手に課税するか、買い手に課税するかの、課税方式の違いには依存しないのだ。
この図で総余剰はどうなるか示しておこう。買い手価格線Pb=Pb(t)より上で、かつ需要曲線より下の部分(三角形)の面積が消費者余剰の大きさを表わし、売り手価格線Ps=Ps(t)より下で、をかつ供給曲線より上の部分(三角形)の面積が生産者余剰を表わし、買い手価格線と売り手価格線と垂直線Q=Q(t)で囲まれた部分(長方形)の面積がこの課税によって得られる税収(財政余剰)を表わし、総余剰はこれら3つの合計として求められる。
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