
■夕食は糖質を控え目に
昼食は多めに、夕食は少なめという方法は実際のところ効果があるのだろうか?
「『昼食は多め』、『夕食は少なめ』などの『量』ではなく、メニューの『内容』が重要です。中でも一番血糖値が上がりやすく、太りやすいのが『糖質』です。糖質とは甘いものや炭水化物です。1日の食事の中で糖質の量が多い人ほど、肥満や糖尿病などの生活習慣病にかかりやすいため、対策として低糖質の食事をすることがあげられます。通常、夕食の後は寝るだけでエネルギーをそこまで必要としないため、脂肪を蓄積しやすいです。夕食はおかずだけにして、糖質を控えても大丈夫です」(小針さん)
夕食に米などの炭水化物を摂ると太りやすい。こうなると、気になるのは仕事の後の一杯である。
「ビールや日本酒などを夕食に飲む場合は、ご飯などの糖質は省いても構いません。したがって、『夕食を減らす』という捉え方よりも『おかずだけ食べて糖質を減らす』ほうがベターです。おかずまで減らしてしまうと、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養が不足してしまいます。そのため、代謝が落ち逆効果です。また、ビールや日本酒にも糖質が含まれているので、飲み過ぎは禁物です。グラス1~2杯程度にしておきましょう」(小針さん)
晩酌をしながら夕食を食べる人の中には、お米を食べない人もいるが、実は理にはかなっていたのだ。
■昼間でも糖質の取り過ぎは禁物。太るしくみに注意
夜は糖質を抑え目にしたほうがよいのはわかったが、昼間はどの程度まで摂取してよいのだろう。
「体を動かし活動する昼間は、夜よりエネルギー消費する機会があるため、多めに食べても大丈夫です。『ガッツリ』と感じるまで食べてしまうと、糖質オーバーになってしまいます。糖質オーバーになると血糖値が上昇し、体がそれを下げようとインスリンというホルモンを分泌します。いくら優秀なインスリンでもガッツリ食べてしまうと処理が追いつかなくなり、余分な糖は最終的に『脂肪』に変換され、蓄積していきます。これが『太る仕組み』です」(小針さん)
つまり、1日の中で栄養がバランスよく摂取できればよいというわけだ。そのためには、野菜やたんぱく質をしっかり食べ、エネルギー消費をしやすい体に変えていくことが重要なのだ。
■痩せるためにも栄養が必要
こうなるとやはり朝食、昼食をしっかり食べれば、夕飯は少なめ、または食べなくてもよいと思えてしまうのだが、どうなのだろうか?
「夜は糖質を少なめ、または抜いても大丈夫ですが、おかずは減らさないことが大事です。ただし、重労働者やアスリートなど、体を人一倍動かすような方は注意が必要です。なぜなら糖質を完全に抜いてしまうと、疲れやすくなったり、体に力が入らなくなったりするためです」(小針さん)
糖質抜きダイエットの経験者に聞くと、「集中力がなくなる」とか、「面白いことが考えられなくなる」などとぼやいていた。やはり、やりすぎはよくないようだ。では、ダイエット効果の観点から見るとどうなのか。
「ダイエットだからといって、全体的に食べる量を極端に減らしてしまうと栄養が不足し、逆に代謝が悪くなり痩せにくくなります。一時的に痩せたとしてもリバウンドしたり、ホルモンバランスが乱れたりで、便秘や体の冷え、肌荒れを起こしやすくなり免疫力も低下してしまいます。健康的に痩せるためには、『量』や『カロリー』ではなく、『全体の栄養バランス』と『糖質の摂取量』がキーポイントです」(小針さん)
痩せるためにもエネルギーが必要。たんぱく質などはしっかり補給する必要がある。中長期的に栄養バランスのとれた献立を考え、制限を守るのがよい。
しかし実際に何を食べたらよいのか、アイデアが浮かばない一人暮らしの人もいるだろう。そんな人には、農水省のホームページで紹介されている1日1,800キロカロリーの献立例も参考になると小針さんは教えてくれた。健康にも留意し、バランスのよい食事を摂りながら体重をコントロールしたいものだ。
「教えて!goo」では、「あなたの今日の夕食は?」ということで、みんなの意見を募集中だ。
●専門家プロフィール:小針 衣里加
バランス料理研究家。日本フードバランス協会代表。「美的・美タミン・美味」の3ビューティーをコンセプトにバランスのよい食事を実践するための「フードバランスアドバイザー講座」の講師を務める。誰でもすぐに実践できる内容に定評がある。「食べるだけで、若くキレイになる方法(サンマーク出版)」の著者。