No.3ベストアンサー
- 回答日時:
(3)〜(5)に関してはさっぱりなので>
落ち着いて、次のように基礎を復習する。Aを図の式①とする。
1、固有方程式
固有値とは何か?ベクトルxに行列Aをかけると、Aは3×3行列で、9個の数をかけるので、普通の場合はxと違う方向になる。ところが、xに行列Aをかけても、xの3倍になるだけで、方向が変わらない特別の場合がある。この時、3をAの固有値といい、xを固有ベクトルという。式で書くと
Ax=3x__②
3以外の固有値λもあるので、Ax=λx__③ これを固有方程式という。図の式③を見よ
2、特性方程式
固有方程式の右辺を移項するとAx-λx=0。単位行列Iを使って書くと式④となる。
(A-λI)x=0__④ これも固有方程式である。
これが成立するためには、行列(A-λI)の行列式|A-λI|は0となるので
|A-λI|=0__⑤ これを特性方程式という。図の式⑤を見よ。
特性方程式を解くと、|A-λI|=(1-λ)³+2-3(1-λ)=λ²(3-λ)=0__⑥となり、
三つの固有値λ₁=3,λ₂=0,λ₃=0__⑦が得られる。
3、固有ベクトル
固有ベクトルを求めるには、固有方程式④を使う。図の式⑧を見よ。xを
x=t(a,b,c)とする。(tは左肩に付ける記号で、行列やベクトルの転置という。横書きを縦書きに変える記号である。transposedという。ポーズ(位置)を変えたという意味。)
a,b,cを縦に書く。λ=3の時は、式④は
-2a+b+c=0,a-2b+c=0,a+b-2c=0__⑨の連立方程式になる。図の式⑨を見よ。
a=b=cが解であるが、a=b=c=1/√3__⑩とすると、
規格化条件a²+b²+c²=1__⑪を満足する。
規格化条件⑪は固有ベクトルxの長さを1とする条件で、Pを決めるため必要になる。
長さ1の固有ベクトルx₁が得られた。
x₁=t(1/√3,1/√3,1/√3)__⑪。A x₁=3 x₁=λ₁x₁__⑫
λ=0の時は、式④は、図の式⑬となる。図を見よ。
a+b+c=0,a+b+c=0,a+b+c =0__⑬の連立方程式になる。式⑬は不定なので、a=0とすると
a=0,b=1,c=-1が解であるがa=0,b=1/√2,c=-1/√2とすると、
規格化条件a²+b²+c²=1__⑩を満足する。長さ1の固有ベクトルx₂が得られた。
x₂=t(0,1/√2,-1/√2)__⑭。Ax₂=0x₂=λ₂x₂=0__⑮
固有値は、もう一つλ=0があり、固有方程式④は、再び
a+b+c=0,a+b+c=0,a+b+c =0__⑬の連立方程式になる。今度はa=1とすると
a=1,b=-1/2,c=-1/2が解であるが、規格化条件のために2/√6をかけて
a=2/√6,b=-1/√6,c=-1/√6とすると、規格化条件a²+b²+c²=1__⑩を満足する。
長さ1の固有ベクトルx₃が得られた。
x₃=t(2/√6,-1/√6,-1/√6)__⑯。Ax₃=0x₃=λ₃x₃=0__⑰
これが(2)の答えである。これで、規格化条件を満足する3個の固有ベクトル
⑪x₁,⑭x₂,⑯x₃が求められた。
4、直交性とは
ベクトルx₁とx₂の向きが、互いに直角のとき、直角に交わるという意味で、
x₁とx₂は直交するという。
ベクトルx₁=t(a₁,b₁,c₁)とx₂=t(a₂,b₂,c₂)があるとき
tx₁x₂= a₁a₂+b₁b₂+c₁c₂を__⑱をx₁とx₂の内積という。図の式⑱を見よ。
x₁とx₂の順序を変えても変わらない。
tx₁x₂=tx₂x₁__⑲
x₁とx₂が直交するとき、x₁とx₂の内積は0となる。⑪x₁⑬x₂⑯x₃は内積を計算すると、すべて0で、
tx₁x₂= tx₂x₁=0,tx₁x₃= tx₃x₁=0,tx₂x₃= tx₃x₂=0__⑳となり、すべて互いに直交する。
また規格化条件⑩は内積を使って書くと、
a₁²+b₁²+c₁²= tx₁x₁= 1,a₂²+b₂²+c₂²= tx₂x₂= 1,a₃²+b₃²+c₃²= tx₃x₃= 1__㉑となる。
5、対称行列の固有ベクトルは直交する。
(a)定理:Aが対称行列のとき、相異なる固有値に属する固有ベクトルは直交する。
式①の行列Aは、その転置行列tAと同じで、縦書きを横書きに変えてtAにしても、tA=A__㉒
で変わらない。これを対称行列という。
定理の証明:A x₁=3 x=λ₁x₁__⑫とAx₂=0x₂=λ₂x₂__⑭は成立する。
⑫の両辺にtx₂をかけると、tx₂A x₁= tx₂λ₁x₁=λ₁tx₂x₁__㉓
⑭の両辺にtx₁をかけると、tx₁A x₂=tx₁λ₂x₂=λ₂tx₁x₂__㉔
㉒の両辺に「t」を付けると、左辺のtx₂A x₁はt (tx₂A x₁)=tx₁tA x₂__㉕となり、
㉑を使うとt (tx₂A x₁)=tx₁tA x₂=tx₁A x₂となる。㉒の右辺は変わらない。㉓は㉖となる。
tx₁A x₂=λ₁tx₂x₁=λ₁tx₁x₂__㉖
(註: tを連続して2個付けると、縦書き横書きの入れ替えを2回行うと元に戻り、ttα=αとなる。行列の掛け算のルールは横×縦であるから、t (αβγ)= tγtβtαとなり、カッコをはずすとき、αβγの並び順が逆になる。)
㉖から㉔を辺々引くと
tx₁A x₂-tx₁A x₂=λ₁tx₂x₁-λ₂tx₁x₂
0=λ₁tx₂x₁-λ₂tx₁x₂=(λ₁-λ₂) tx₂x₁__㉗
λ₁≠λ₂ならば tx₂x₁=0__㉘ で、x₁とx₂は直交する。
(b) 固有値が同じとき
λ₂とλ₃はλ₂=λ₃=0で、同じであるが、a₂,b₂,c₂,a₃,b₃,c₃を決める連立方程式⑩⑮の独立な式が、式⑧より少なくて、融通が利くので、⑬⑯のように適当に選んで、x₁とx₂は直交するようにできる。
(シュミットの直交化法を使ってもよい)
投稿に時間がかかったので、以下はすぐ次に投稿する。一挙解決。
6、変換行列Pと逆行列を求める
No.4
- 回答日時:
No.3の続き。
前回の解答で「⑬⑯のように適当に選んで、x₁とx₂は直交するようにできる。」
は「⑬⑯のように適当に選んで、x₂とx₃は直交するようにできる。」でした。
6、変換行列Pと逆行列を求める 行列の記号表現が不十分な所は図にした。
直交化、規格化した3個の固有ベクトルを得たら、その3個を並べるとPになる。
P=[ x₁ x₂ x₃]__㉙ 図の式㉙を見よ。
次にPの転置行列tPとPを掛けると、興味深い結果になる。
tP P=[ tx₁ [x₁ x₂ x₃] = [ tx₁x₁ tx₁x₂ tx₁x₃ __㉚ 図の式㉚を見よ。
tx₂ tx₂x₁ tx₂x₂ tx₁x₃
tx₃] tx₃x₁ tx₃x₂ tx₁x₃]
ここで直交条件の式⑳と規格化条件の式㉑を使うと式㉚の右辺の行列要素は、0と1ばかりになり、tP Pは単位行列Iになる。
tP P= [ 1 0 0 =I__㉛ tP P=I__㉛ 図の式㉛を見よ。
0 1 0
0 0 1]
QとPをかけると単位行列になるとき、QをPの逆行列といい、P^‐1と書く。
tPはPの逆行列P^‐1である。
tP= P^‐1=t[x₁ x₂ x₃] __㉜図の式㉜を見よ。
式㉛㉜が成り立つとき、Pを直交行列という。
これで、(3)のP^‐1が求められた。次に(3)のP^‐1APを計算する。
7、行列の対角化
まず、APを計算する。式㉙のPを使うと㉝となる。
AP =A[ x₁ x₂ x₃] = [A x₁ A x₂ A x₃]__㉝
固有方程式③または⑫⑭⑰を使うと、㉝は㉞になる。
AP = [λ₁x₁ λ₂x₂ λ₃x₃]__㉞
次にこれに左から㉜のP^‐1=t[x₁ x₂ x₃]をかけたものをDとすると
D=P^‐1AP = t[x₁ x₂ x₃] [λ₁x₁ λ₂x₂ λ₃x₃]__㉟ 図の式㉟㊱を見よ。
= [λ₁t[x₁ x₂ x₃] x₁ λ₂t [x₁ x₂ x₃] x₂ λ₃ t[x₁ x₂ x₃] x₃]
ここで、直交条件⑳と規格化条件㉑を使うと、異なるベクトルは直交して、内積は0
同じベクトルの内積(二乗)は長さ1になるので、式㉟は㊱となる。
式㊱は、行列Aの3つの固有値λ₁,λ₂,λ₃が主対角線にあり、その他の要素はすべて0の
行列で、対角行列Dという。変換行列Pを使って、AからD=P^‐1APを作ることを相似変換といい、Aは相似変換により対角化される。これで(3)の答えが出た。逆にAは㊲となる。
A=PAP^‐1__㊲
さらに、行列Aでは固有値λ₁=3,λ₂=0,λ₃=0 なので、㊱は㊳になる。
D=λ₁G=3G__㊳ Gは図の㊴に示す行列である。図の㊴を見よ。
次の(4)もPの逆行列P^‐1は、式㉜によりすでに求めた。次はexp(At)を求める
8、exp(At)を求める
Aを対角化するのはAのn乗「A^n」を計算する為である。行列Aを3乗しようとすれば18回の掛け算が必要になる。しかし、対角行列なら、D^3を計算するときに必要な掛け算は6回だけである。
式⑦の固有値λ₁=3,λ₂=0,λ₃=0 の行列では、3^nを計算するだけで済む。
Aを対角化してD=P^‐1APとした時、D^2の計算では、式㊲の真ん中のP✕P^‐1が消えて
D^2=P^‐1AP✕P^‐1AP= P^‐1AAP=P^‐1A^2P__㊳
と簡単になる。同じようにD^ nを計算すると、㊴となり、A ^nは㊵となる。
D^n =P^‐1A^n P__㊴
A^n = PD^nP^‐1__㊵
さらに式⑦の固有値の行列Aでは㊲のD=3Gとなる。G^n=Gだから、㊵は㊶となる。
A^n = 3^n P GP^‐1__㊶
n=1のとき、A = 3 P GP^‐1, P GP^‐1= A/ 3__㊷
n≧1のとき、㊶に㊷を入れるとA^n =3^n PGP^‐1=3^n A/3=3^(n-1)A_㊸となる。
n=0のときだけは㊶は成立せず、A ⁰≠3⁰ P G P^‐1、A ⁰=I__㊹となる。
exp(At)をテーラー展開すると、exp(At)=Σ(At)^n/n! __㊺となり、㊸㊹を入れると
exp(At)=Σ(At)^n/n! =I+Σ[n=1~∞] 3^(n-1)A t^n/n!
=I+(Σ[n=1~∞](3t)^n /n!) A/3=I+(exp(3t)-1) A/ 3__㊻
これが(4)の答えである。
9、連立線形微分方程式
転置記号tと区別するため、独立変数をtからuに変えて書く。
微分方程式 x '=Ax__㊼ x(0)=t(1 0 0)の解は㊽となる。
x=exp(Au) x(0)
= (I+(exp(3u)-1) A/ 3) t(1 0 0)
= t(1 0 0)+(exp(3 u)-1)/ 3) A t(1 0 0)__㊽
㊼の検算 左辺=dx/du¬= exp(3 u) A t(1 0 0)
右辺= Ax= A exp(Au) x(0) = A (I+(exp(3u)-1) A/ 3) t(1 0 0)
= (A +(exp(3u)-1) A2/ 3) t(1 0 0) ㊸を使うとA^2=3A
= (A +(exp(3u)-1) A) t(1 0 0)= (exp(3u) A) t(1 0 0)=左辺
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