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なぜ自由電子は金属原子を固く結合させることができるんですか?

A 回答 (2件)

金属は硬いという常識がありますが、典型元素金属であるリチウムLi, ナトリウムNa, マグネシウムMg, アルミニウムAlはいずれも柔らかいです。

硬い金属として思い浮かべる鉄Fe, コバルトCo, ニッケルNi, モリブデンMo, タングステンW等は何れも遷移金属グループに属してます。一方、同じ遷移金属でも銅Cu, 亜鉛Zn, 銀Ag, カドニウムCd, 金Auは柔らかく展性があります。さらに、金属の電気抵抗は、この柔らかく展性のあるCu, Ag, Auだけが図抜けて小さいです(Alはその次に小さいグループになります)。すると、金属の特徴は”固いことよりも柔らかく、電気を流し易い”とする方が妥当でしょう。
さらに、自由電子の海の中に+原子イオンが点在すると考える金属結合モデルが単純に当てはまるのはLiやNaのアルカリ金属で、それらは閉殼軌道の外側にs軌道電子が1ヶ存在してます。しかしながら、Cu, Ag, Auは[閉殼軌道+(d軌道群10ヶ)]の外側にs軌道電子が1ヶ存在する状況です(d軌道には10ヶの電子が存在し得ます)。すると、このs軌道の内側に存在するd電子軌道群の全てが満たされることで、内部閉殼構造がより完全になって金属結合がより単純に成立する状況と考えることも出来るでしょう。
ところが、そうであればFeやNi等がなぜ硬いのかという問題が残りますが、それを簡潔に説明した文献を見たことがありません。金属結合には従来の単純な自由電子の海モデルに何らかの新たな結合要因を加える必要があると思います。そして、その鍵になるのが遷移金属グループを特徴づける内殻d軌道の振る舞いだと、私は考えます。しかしながら、そもそも内殻d軌道の形態が良く分かってないようです。

ちなみに、物体が硬いためには強い結合が必要ですが、金属結合は共有結合よりも弱いです。すると、共有結合結晶は金属よりも硬いことになります。共有結合を代表する炭素原子からなる有機物は脆弱のように見えますが、ベンゼン環の炭素同士の結合は極めて強いです。そして、ダイヤモンドは最強の固さを誇ってます。SiCも研磨材に使われてきたほど硬いです。炭素やシリコンの共有結合は、各原子4ヶの電子が周りの4ヶの原子の電子とそれぞれに結合します。共有結合特有の安定な機構が存在するようですが、金属結合では各原子当たり1ヶから2ヶ程度の電子だけが結合に寄与する点だけでも弱くても当然でしょう。
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