No.4
- 回答日時:
>ナイロン66ならばモノマー2つ、開始剤はなしという認識で大丈夫ですか?
ナイロン6・6(ろく・ろく)(「ろくじゅうろく」ではないことに注意)
酸とアミンとの組み合わせによって、初めて反応するので
モノマー2つという言い方はあまりしないと思います。
ポリマーの中にはモノマーの種類が1種類のものを
ホモポリマー
複数のモノマーを使って重合したものが共重合体
(2種類のモノマーでコポリマー、3種類でターポリマーと
言ったり、とにかく複数ならばコポリマーと括ってしまうなど
種々言い方があります。)
ナイロン6・6を共重合体とは普通言いません。
複数種類の酸を用いる、複数種類のアミンを複数用いるなどしたら
共重合体になると思いますよ。
まは、付加重合の場合、触媒的な働きをする物質が
反応の進行とともに消費してしまうので、「触媒」と
いう用語を使わず、「開始剤」という用語を使っていますが
ポリアミド(ナイロン)やポリエステル(PET)など
重縮合の場合、基本的には通常の縮合反応なので
触媒を使用します。
その場合は、開始剤ではなく、重合触媒と表記します。
ですから、ナイロン6・6の場合は、モノマーは1組(1種類)
重合触媒を使う。
No.3
- 回答日時:
>目的の物質になるのは開始剤が変化するのですか?
目的の物質になるのは?というご質問は、モノマーがポリマーになるには?
ということでしょか?
反応の前にモノマー(スチレン、酢酸ビニルなど高分子の原料になるもの)を
重合釜に仕込みます。
溶媒などとともに重合開始剤も添加します。
通常用いる重合開始剤は、モノマーに対して1%未満です。
開始剤の分解によってその切片がポリマー末端に結合し、
モノマーが繰り返し反応して、その結果ポリマーが生成しますが
ポリマー中に存在する開始剤成分はごく微量で99%以上が
モノマー由来の成分なのですよ。
ですから重合開資材は、他の化学反応における触媒的な働きを
しています。
触媒は、反応の経過に従って再生され見かけ上変化しませんが、
付加重合における重合開始剤は、反応の進行とともに分解し
消費されてしまいます。
それ故、触媒という用語を使わずに開始剤という用語にしているのです。
重縮合や付加縮合では、付加重合と異なり消費されないので
重合触媒という言い方をし、重金属酸化物や重金属塩などが
使われます。
>それとも求核剤や求電子剤が変化するのですか?
これは、付加重合の内、重合機構がイオン反応で進行する
カチオン重合やアニオン重合に関連する質問ですよね。
質問者さんは、他の質問でカチオン重合とアニオン重合について
質問されていますよね。
そちらで回答が出ているのでそれを尊重して、回答を控えていました。
付加重合はビニル基(ーCH=CH2)へ開始剤がアタックして
反応が開始します。
一般的にモノマーをCH2=CHXと表記するとXの種類によって
ビニル基の反応性が変化します。
Xが電子吸引基の場合、ビニル基の電子密度が低下するので
やや陽性(δ+)になっています。
それ故、そこへマイナスイオン(求核剤)が攻撃し重合が開始します。
Xが電子供与性の場合はその逆です。
ですからビニル基に結合している官能基の種類の違いによって
付加重合でアニオン重合しやすいもの、カチオン重合しやすいもの
電子吸引性も電子供与性もそれほど極端に大きくないものは
ラジカル重合しやすいなど
原料の違いによって開始剤の種類を選ぶのです。
ですから、求核剤、求電子剤、AIBNのようなアゾ化合物、過酸化物など
付加重合からすれば、どれも開始剤です。
逐次反応は CH3COOH + CH 3CH2OH → CH3COOCH2CH3 + H2O
のようなエステル化反応では、酢酸とエタノールが衝突し、酢酸エチルと
水が生成して、1回の反応が完結します。
しかしながら、R・(ラジカル)+ CH2=CHX → R-CH2-CHX・
付加重合では、モノマーに開始剤が付加してできた生成物が
完全な生成物ではなく、不安定なラジカルです。
ですから1回の付加で反応は完結せず、
R-CH2-CHX・ + CH2=CHX → R-CH2-CHX-CH2-CHX・
と繰り返し反応してしまいます。
これが連鎖反応です。
身の回りでは、燃焼・爆発が連鎖反応です。
ガソリンと空気の混合ガスに着火源を近づけると
爆発的に燃焼します。
高速度カメラで確認すると炎が着火源から周辺に広がっていくことが
観察できます。
実際に燃焼(反応)するのはガソリンと酸素です。
連鎖反応による重合では、実際に反応するのはモノマー
反応を開始する着火源が開始剤です。
No.2
- 回答日時:
No1の回答を一部訂正します。
臭化水素の付加反応で、イオン反応機構による逐次反応では
特別に酸触媒を使う必要がないので、「酸触媒ならば」を
削除して訂正します。
紫外線照射下での付加反応は連鎖反応ですが、
ラジカル反応機構となります。
No.1
- 回答日時:
連鎖重合ではなく、連鎖反応による重合。
逐次重合ではなく、逐次反応による重合ですよね。
逐次重合では、重合釜にモノマーを逐次、段階的に投入して
いくというイメージと混同してしまいます。
まず質問者さんは、連鎖反応と逐次反応との違いを
理解されていますか?
例えば、ビニル基への臭化水素付加反応において
酸触媒ならば逐次反応で進み、触媒を使わず
紫外線照射下での反応ならば連鎖反応で進みますよね。
酸とアミンとの縮合反応は、フラスコの中で
ある場所で分子が衝突して縮合反応が起きたとしても
他の分子に影響を与えません。
ある場所で縮合が起こり、また他の場所で縮合が起こる
反応が逐次的に起こりるわけです。
燃焼現象は、一旦どこかで酸化反応が起こると
それが他の分子に影響し、ドミノ倒しのように
次から次へと反応していきます。
核分裂反応も1つの原子核の分裂によって生じた
複数の中性子が他の原子核にぶつかり分裂させます。
1つの核分裂から複数の中性子が発生するので
次から次へと連鎖的に反応して、中性子を吸収するなどの
制御をしなければ、原爆になってしまいます。
これが連鎖反応です。
重縮合は、縮合反応なので逐次反応で進みます。
反応時間とともに重合率(反応率)が高まり
それとともにポリマーの分子量も比例して高まっていきます。
付加重合(ラジカル重合、イオン重合)は、開始剤が
分解してラジカルやイオンを生じることによって
連鎖反応で重合します。
こちらも反応時間とともに重合率は高まりますが
分子量は逐次反応とは傾向が異なります。
今一個の開始剤が分解して、重合が開始し、
生長反応(この反応が連鎖反応)、停止反応を経て
1本の高分子が生成したとします。
フラスコ内の別の部分で他の開始剤分子が連鎖反応によって
高分子鎖がまた1本生成する場合、前に生成していた
高分子鎖の分子量は変化しません。
ですから、連鎖反応による重合の場合は
逐次反応では反応率とともに分子量が高まるのとは違い
初めから高分子量のポリマーが生成します。
例えば、重合率1%の時には高分子量のポリマーが1%存在し
他の99%は未反応のモノマー。
反応時間が経過し重合率が5%、10%・・・と高まっていくにつれて
高分子のポリマーが5%、残り95%がモノマー、
高分子のポリマーが10%、残り90%がモノマーと
ポリマーとモノマーの混合物という形で重合が進むのが
連鎖反応による重合の特徴です。
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