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建築確認処分の取消しを求める利益は、建築物の建築工事の完了によって失われる(最判昭59.10.26)のに対し、土地改良事業の取消しを求める利益は工事や換地処分がすべて完了しても失われない(最判平4.1.24)のはなぜでしょうか?
当方法律初学者ですので猿にもわかるような説明で教えていただけるとありがたいです。

A 回答 (1件)

●建築確認処分の取消しを求める利益は、建築物の建築工事の完了によって失われる(最判昭59.10.26)。


⇒これについては、解説し論ずるまでもないでしょう。

●土地改良事業の取消しを求める利益は工事や換地処分がすべて完了しても失われない(最判平4.1.24)。
⇒これについては、下記最高裁判決の内容を見る限り、概ね以下のようなことだと思われます。

すなわち、土地改良事業が既に完了していたとしても、原告側の訴えの利益は直ちに失われるものでなく、仮に、当該事業処分等が違法であるならば、本件訴訟の判決主文において、その旨宣言すべきものだということ。

しかしながら、現実問題として、既に土地改良事業は完了しているわけですので、いまさら、当該行政処分等の取り消しを認めて事業前の状態に戻させるということも不利益が大きく、現実的には困難。

なので、仮に、本件行政処分等が違法であるものの、当該事業処分等を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合においては、その訴訟に係る判決の結論としては、「処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しない」ものとして請求を棄却すればよい(行政事件訴訟法第31条)ということなのであります。

したがって、以上のような観点を踏まえると、単純に、本件「土地改良事業施行認可処分取消請求訴訟」に係る「訴えの利益がない」と判断することはできないということなのでしょう。

【最高裁判決】(最判(第2小法廷)平4.1.24)※神戸地裁へ破棄差戻し
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/476 …

●行政事件訴訟法
(特別の事情による請求の棄却)
第三十一条 取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
2 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
3 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。
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この回答へのお礼

詳しく解説して下さりありがとうございました。
おかげさまでよく理解することができました。
また、よろしくお願いします。

お礼日時:2022/01/22 17:58

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