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抵当権者と抵当権設定者との間で抵当権の目的となる不動産に賃借権を設定しない契約はいいですか?

抵当権の性質(抵当権設定者は自分の土地を使いながら抵当権設定できる、物権は強行規定)と契約自由の原則(公序良俗の規定に違反しない限りオッケー)とどっちが優先されますか?


判断基準はなんですか?

A 回答 (3件)

抵当権と賃借権とでは,行使できる権利の部分で競合するところがありません。

よって,どちらが優先ということもありません。

抵当権は優先弁済権があるだけで,抵当物に対する使用収益権がありません。ただ物権であることから,登記すれば第三者にもその存在(優先弁債権があること)を対抗できます。

対して賃借権は賃貸物の使用収益権があるだけです。債権であることから無占有状態で使用収益権を主張できる相手は債務者である賃貸人だけで,第三者にはその存在を対抗できません。

抵当権者には抵当物の使用収益権がありませんが,別途賃貸借契約を締結すれば,抵当物を借りることもできます。
逆に,賃借権を設定させない契約(典型契約の中にはそういうものはありませんから,無名契約ということになるでしょうか)というのも契約自由の原則があるので可能ではありますが,これは債権であるためにその効果は第三者には及びません。その無名契約の債務者である所有者が,その無名契約の内容に背いて第三者に賃貸することはできてしまいますし,その第三者が占有を開始すれば対抗力のある賃借権となり,抵当権者はその賃借権を否認することもできません。

賃借権と競合するのは抵当権ではなく別途締結したその無名契約であり,あとはそれぞれの対抗力の問題になるにですが,無名契約は法律に定めがありません。賃借権は占有をもって第三者に見える公示ができるのでそれを対抗要件としますが,無名契約にはそれがないので債務者以外には対抗できないこととなり,債務者である所有者から違約金を取れるにとどまります。あまり有効な契約とは言えません。

というか,抵当権者は被担保債権を返済してもらうのが第一の目的です。住宅ローンのような貸付金の使途限定のローンを除いて,いざとなったら抵当物件を貸して賃料収益を得てでも弁済をして欲しいので,賃借権設定を排斥するような契約を結ぶような,自分の首を絞めるだけの行為をすることはしないでしょう。

むしろするなら,抵当権の債務不履行を停止条件とした賃借権設定契約(賃借権の譲渡転貸特約があるもの)をしておき,いざというときはそれを実行して,譲渡又は転貸をすることでその対価を返済に充てようと思うところでしょう。
でもこの手法も,だいぶ前の判例で否認されています。それ以前のノンバンク融資では,①抵当権設定,②抵当権の被担保債権の代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記,③抵当権の被担保債権の債務不履行を停止条件とする賃借権設定仮登記の3点セットをよく付けていましたが,判例の結果を受けて,今やどこもそんなことはしていません。
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そういう契約をしても構いませんけど、後から登記された賃借権は先順位抵当権者すべての同意がない限りそれらに優先しないので、意味ないっス。

「抵当権者と抵当権設定者との間で抵当権の目」の回答画像2
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「抵当権設定者は自分の土地を使いながら抵当権設定できる」が、貸すことを禁止している訳ではないです。


「物権は強行規定」ではない。「物権」は債権と共にある権利です。
「強行規定」は、法律内にある任意規定と共にある規定のことです。
「抵当権者と抵当権設定者との間で抵当権の目的となる不動産に賃借権を設定しない契約はいいですか?」は、内部的には構いませんが、外部的には対抗力がないです。
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