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我が国には天皇陛下がいるので独裁者は出現できないという説がありますが、本当ですか?

A 回答 (5件)

そもそも「独裁者ってなに?」ということを考えないといけません。



たとえばドイツのヒトラーやソ連のスターリン、カンボジアのポルポトなどは独裁者の代表格ですが、彼らがなぜ「独裁者」なのかというと「国内において、彼に対抗できる権力が無いから」です。

だから好き勝手できるし、独裁者を倒すのは大変なことになるわけです。

しかし日本の将軍などは、天皇の許可をもらった統治権力者です。独裁者という点なら、むしろ後醍醐天皇のほうが独裁者としての地位が近いですが、しかし天皇は日本唯一の統治権能者ですので、天皇が好き勝手やって困るなら、天皇という君主そのものを廃絶する易姓革命しかありえない、わけです。

しかし日本では易姓革命も近代市民革命も起きていないので、今も天皇は日本の元首として存在していて、将軍も関白も内閣総理大臣も常に天皇の任命によって統治権を行使してきたわけです。

この形がつづくなら「日本から独裁者は生まれない」ということになりますし、鎌倉幕府以来1000年近く独裁者が生まれていないのですから、独裁者を産みにくい土壌であることは確かでしょう。

では、なんで独裁者を産みにくいか、というとこれも天皇制と関連があります。ただし「天皇がいるから独裁者がでない」のは結果であって「天皇がいるから」は理由そのものではありません。

そもそもなんで独裁者が生まれるのでしょうか?
それは「外国に支配されない強い国を作るには、能力のある人物が指導者になる必要があるから」です。

ヒトラーが生まれたのがまさにその理由で、第一次世界大戦で敗戦したドイツは賠償金で国内が不況になり、軍備も制限されていたので近隣諸国からの圧迫に対抗しずらく、ドイツ国民自体がものすごく不満を持っていたのです。

そこに現れた「救国の志士」がヒトラーで国民の絶大な人気を得て、合法的に法律を変えて、独裁者になっていきます。
 ナポレオンやポルポトなどは内戦から勝ち上がった軍事指揮官で「彼が最高指揮官になれば、この国はよくなる」と周りの人たちが支持したから最高指導者になったのですが、ただ本人の野望が独裁者として歴史に名を残すことになります。

独裁者というのは「外国に対して負けない強い国家を作れる人」という国民の要求があるからこそ、生まれるものだと言えます。

日本はその点「諸外国が簡単に侵入できる国ではない」ので、明治維新までの騒乱はすべて内戦になっています。

内戦で済むということは「外国が則りたいから、天皇という権威まで全部壊す」ということにならず、逆に「犠牲や被害を最小限にしたいなら、天皇に任命してもらうのが最優先」にもなるわけです。

もし日本で本当の独裁者が現れるとしたら、天皇を廃絶して自分が統治者だと名乗り、さらに日本国中の人々を力で制圧するしかなく、それを行えるだけの兵力を日本国内で作り出すことはそもそも無理、であるわけです。

日本は変な国で、誰かが天皇から「この国の政治を行う許可を得た」とすると、それに反抗する者はすべて国賊になります。

 たとえば豊臣秀頼は父秀吉と違って関白就任より前に家康によって滅ぼされています。

もし家康が関ヶ原を行う前に、秀頼が関白に就任したら、家康が秀頼を殺すことは「国賊行為」となったわけです。

明治維新も「錦の御旗」の元に官軍が日本の正式な軍隊、この時点で幕府は「国賊」になったわけです。

これは逆を言えば「日本では、天皇が存在する限り、独裁者を「国賊だから討て」と命令でき、それに従う人たちが必ず出てくる」ということでもあります。

独裁者には必ず敵がいるからで、たとえばポルポト亡き後のカンボジアは誰が政治を敷くかでむしろ内戦が激しくなった、という経緯があります。
 結局カンボジアは国連が介入し内戦を終結させたものの、各地の軍部(有力指導者)たちはお互いに猜疑心を払拭できず、民主化や選挙ができない状態でした。

そこに亡命していた元カンボジア国王が帰国し、各軍部が「カンボジア国王が復権すれば、国王に忠誠を誓い、武器を置く」としたので、国王は復帰してその後立憲君主制で選挙もでき、議会や政府も成立しました。
(ただ、選挙の際に、日本から警備派遣された警察官が、選挙反対のゲリラに狙撃され犠牲になっています)

日本以外の国でも、多くの国民が認める「権威」が存在するなら、独裁者生まれにくいです。カンボジアの場合は、共産主義革命として国王を亡命させたうえで共産主義そして独裁になっています。

日本も天皇が廃絶、または亡命するような事態になれば独裁者が生まれるかもしれませんが、1000年近く安定した権威だったし、海に囲まれた日本では他の政治権力や軍事実力者が生まれる可能性は非常に低いので、独裁者が日本で生まれる可能性は低いですね。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。大変勉強になりました。目からウロコが落ちました。

お礼日時:2022/05/05 16:18

古代天皇の中には、雄略天皇などかなり独裁性が強い天皇がいましたし、中世でも後醍醐天皇は短期的ではありますが独裁者でした。



武家政権も体裁は独裁体制でしたし、そのようなことは無いでしょう。
ただ、祭祀上の最高権威者を上に頂くことで、見た目の独裁制が弱く見えることは間違いなさそうです。
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権力分立という考えがあります。



その中で、三権分立てのは、御存知の
ように、国家権力を、立法、行政、司法に
分けて、別の人間に担当させる。
というものです。

そうやって独裁を防止しようとしたのです。

似たようなことは天皇との関係でも
行われています。

つまり、権威と権力を分散して、独裁を
阻止しようとする手法です。

天皇=権威
将軍=権力

天皇が将軍を任命する、という形を採る
ことにより、権威と権力を分散するわけです。

現代でも、総理大臣の任命権が天皇にある
のは、そうした意味があります。

これで、実際に、どこまで独裁が阻止
出来るかは判りませんが
独裁を狙う人間にとって
天皇が邪魔であることは確かでしょう。

例えば、巨大宗教団体のカリスマトップが
政権を握った場合、天皇は邪魔だと
思うはずです。
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その説は知りませんが、それは難しいと思います。


なぜなら、その説が正しいならば、江戸時代以前の征夷大将軍や太政大臣たちはなんなのか、独裁者じゃなかったのか、となるからです。

まあ、現代で言うなら、ヒトラーのように異様なカリスマ性を持った人物が現れ、首相に就任し、そのまま永遠に居座る――という形でしょうか。
日本は、各党が代表の任期に制限をつけることはありますが、首相に任期はありませんので。

ちょうどプーチンが似たような状況ですね。
民主的に選ばれたのは事実ですが、その後強引な手を使って永遠に大統領でいようとしていますし。

あと、現在の皇族は国民から一定の支持を得ていますが、将来は何がきっかけで天皇廃止論が盛り上がるか分かりません。
それこそ女性・女系天皇問題や皇位継承者不足や小室さんの話もありましたし。
そうなると、もし天皇がいることで独裁者が出現できないという説が正しかったとしても、今後の日本に永久に独裁者が生まれないかというと、それはどうだろう?となると思います。
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事実的な観点から、間違いです。


天皇の歴史は2千年以上ですが、日本の歴史において、武将などのその時代時代の多くの独裁者に利用されてきた経緯があります。

大戦以降は特に、法的に天皇は政治に関与することが禁じられたため、ますますその時代の権力者に利用され易い環境にあるのかもしれません。(ただしそのおかげで、かえって皇室存続が、純粋な日本の精神・文化・伝統として守られることになったようにも思います。)
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