人生最悪の忘れ物

死因贈与契約の執行者について

ご指導をお願いいたします。
死因贈与契約書の執行者を指定する場合、遺言執行者の場合と同じように
・相続人全員に告知義務
・財産目録の交付義務
が必要なのでしょうか?

また上記告知義務等の手続きをしていない場合、何か責任を問われたり、贈与契約が無効になることなどあり得るのでしょうか?
以上の点、ご指導いただけると助かります。

A 回答 (1件)

死因贈与の執行者には,相続人全員に対する死因贈与自体の告知義務はあるものの,財産目録の交付については死因贈与の範囲内ですれば足り,それ以外の部分についてはないものと考えます。



死因贈与は,贈与者の死亡によって効力を生じる贈与(契約)です。「すべての財産を贈与する」という贈与契約も可能ではないかと思えないこともないですが,それでは遺言による相続や遺贈といった法律に定められた承継をないがしろにしてしまうものになってしまう(民法554条は「遺贈に関する規定を準用する」となっているので,遺贈の規定の方が優先される)ために,特定物の贈与に限って認められるべきものだと思います。

特定物に限った契約であるならば,その契約義務の履行義務者である執行者の権限もその範囲でしか存在しません。告知義務については死因贈与に関してのみで足りるし,財産目録を作成するとしてもそれは死因贈与の範囲内に限られるはずです(相続全体に関して財産目録を作成するにはその全体に関する調査権限が必要であるところ,執行者には死因贈与の範囲でしか権限がないので調査ができない)。

告知義務があるのは,死因贈与も遺留分の計算において算入すべきものになるからです。これを秘密にされてしまうと民法に定められた遺留分の行使の妨げになります。また財産目録はそのために作成されるようなものです。執行者は死因贈与者の代理人であり,そして死因贈与者は被相続人でもあります。相続人の権利侵害にならないように配慮する義務があると言えると思います。

告知も死因贈与財産の目録も,死因贈与契約書を提示すれば,それで新贈与契約の存在とその範囲を明確にすることができるはずですからそれで足りるはずです。ただ,死因贈与の対象を「自宅の土地建物」なんて書いてしまうと,別筆になっている庭や家庭菜園,駐車場,前面道路等はその範囲から外れるという解釈もできてしまいます(そういうあいまいな表現が「争族」を生じさせる)。死因贈与契約だけでなく遺言を作る際のもこれは気を付けるべきことですし,そういう表現になっているようであれば調停の利用なども検討すべきかもしれません。
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この回答へのお礼

丁寧なご回答ありがとうございました。

お礼日時:2023/02/15 17:56

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