A 回答 (3件)
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No.1
- 回答日時:
分析判断のことを言っているのだろうと思いますが、そうだとしたら、別に重要な箇所ではないでしょう。
しかし、先生独自の立場と考え方がありますから、講義を聞かないことには、どういう意味で、重要と言っているのかは、わかりません。大学の講義は先生によって、内容が違うのですから、こういう場所で聞いても無駄です。
No.2
- 回答日時:
このところ、かなり頭がヘタってるんで、どこまで書けるかわかりませんが、なんとかがんばって書いてみます。
ここ、邪魔くさいところで、岩崎武雄も『カント』のなかではあっさり流してるんだよね。だから、ちょっと説明に危ういところがあるかもしれませんが。わからないところ、意味不明のところがあったら、遠慮なく聞いてください。神の存在証明のところですよね?
まず、この主語-述語のもんだいは、遠くギリシャ時代、アリストテレスが言った「実体は文の主語となり述語とならないものである」、これが根本にあります。
これはどういうことか詳しく書いていたら絶対に終わらないので、アリストテレスはそういうふうに規定した、そしてこの「実体」を文の構造(主語-述語)でとらえるやりかたというのは以降の哲学(形而上学)の根本となった、と理解してください。
カントも人間の認識を主語-述語の関係でとらえようとしています。先天的総合判断も、カテゴリーも、全部そうです。
いっぽう、西洋では、アンセルムスやトマス・アクィナスらによって、神の存在証明がなされています。
まず、カントは従来の神の存在証明を、こうしたものだ、と命題化します。
----(神の存在論的証明)------
最も実在的なもの(=神)とは、「存在する」ということを、あらかじめうちに含んでいる。
というのも、最も実在的なものとは、一切の実在性を有するものであるから、「存在する」ということも当然そのなかに含まれているからである。
神が存在しないとなると、神=最も実在的なものという概念と矛盾する。
したがって、神は存在する。
--------------
この証明のしかたは誤っている、とカントは言ってるんです。
その批判の部分がご質問の箇所だったと思います。
まずカントは「あるものが実際に存在している」というのは、分析判断か、総合判断か、と問題を設定します。
-------
(用語のおさらい)
・分析判断とは、述語の概念がすでに主語の概念に含まれている判断。
→「すべての物体は延長している」:「延長している」という性質は、「物体」という主語のなかに初めから含まれている(えと、これはデカルトの定義を引き継いでます。ここは大丈夫だよね?)。
・総合判断とは、述語の概念が主語概念のなかに含まれていない判断。
→「すべての物体は重さを有する」:「重さを有する」という述語は「物体」という主語概念の意味のなかにはない。
・分析判断は先天的に(経験とは無関係に、ただ概念の分析のみによって)可能な判断であるが、すでにわれわれの所有している概念を分析して意味を取りだしてくるのみの、学問的に大きな意味を持つものではない。
例:独身者は未婚である。→新しい概念をなにひとつつけ加えるものではない。
・総合判断は主語概念を、そのなかに含まれていない概念と結合するものであり、われわれの認識を増大させていくものである。
例:カントは生涯独身であった。→「カント」という主語に「生涯独身であった」という新しい述語を付与している。
経験的認識は総合判断である。けれども経験によらない総合判断はあるのか。あるとしたら、それはどのような判断なのか。
→カントはここから先天的総合判断がいかにして可能かを証明します。
(!この部分までは大丈夫ですね!)
-------
「あるものが実際に存在している」この命題は分析判断か、総合判断か。
・もしこれが分析判断であるとすると……。
「あるもの」という主語概念も「実際に存在している」という述語概念も、あらかじめわたしたちがよく知っている概念で、なにごとかを新しくつけ加えるものではない。
それゆえに、「あるもの」という主語概念を想定するとき、わたしたちはすでに「存在するもの」として「あるもの」を認識していることになる。したがってこれは同語反復以上のものではない。
つまり、「あるものが実際に存在している」という命題は、分析判断ではない。
したがって、存在に関する判断は、すべて総合判断である。
総合判断ならば、「存在している」は主語に含まれる属性ではないことになる。つまり、「存在している」とは、「あるもの」に属する性質ではない。ゆえに、「あるもの」という主語概念をいくら分析しても、そこに「存在している」は含まれていない。
ところが、ほんとうにそうなんだろうか。「存在者」ということを考えていくと、「存在する」という述語概念が導かれていくのではないだろうか。
カントはここで「存在する」という述語の特殊性から、述語概念をふたつに分類します。
ひとつは「論理的述語」……現実に存在することを示すものではない、論理学的整合性のみを求め、内容とは無関係の、いかなるものでも設定しうる述語
もうひとつは「実在的述語」……概念を規定するような述語
そこで、ご質問の
>「ある」(「存在」)は明らかに何ら実在的述語でない、すなわち、あるものの概念に付け加わり得るなにかあるものについての概念ではない
につながっていきます(ふう、やっとスタートラインにたどりついた)。
ここまで見てくると、だいたいわかってきますね。
「存在する」という述語は、実在的述語ではない。主語概念に、何かをつけ加えるような述語ではない。
ここからカントは、「存在する」というのは、主語概念の事象内容を示す述語ではないと考えていきます。
ならば一体どのような働きによって、事物は「現実的に」存在するのか。
ここからカントはその働きを認識主観の「定立作用」ということに話を進めていくんですが、そこはまたちがう話だね。
あ~、もうすんごい疲れた。後半、頭、回ってません。雑になってると思うんだけど、読み返してもわかんない。ごめんなさい、わかりにくいところがあったら聞いてください。だけど、答えられるかどうか、わかんない……。
この回答へのお礼
お礼日時:2005/07/25 02:28
ありがとうございます!!とてもわかりやすく書かれています☆講義で興味をもてたんですがこのレベルになるとまだちょっと一人では理解しがたいところがあります・・・。よかったら、カントに限らず初心者が読むのにお手ごろな本を教えていただけますか??
No.3
- 回答日時:
上のほうにも同じ質問が出てるし、あー、シマッタ、またレポートに答えちゃった、と思っているワタシです(笑)。
ま、いいや、ご質問のおかげでカントの存在論的証明のところをひさしぶりに読んだから。確かにこの部分、普通、基礎レベルではここまで読みません。読むのは×江先生くらい……(笑)。
普通は「カントの存在論的証明」というのは、
・従来の「神の存在証明」というのは「必然的存在者(=神)は存在する」という命題をたて、もし必然的存在者が存在しないとなると、存在する者は存在しない、という矛盾に陥る、ゆえに必然的存在者は存在する、というものだった。
↓
・カントは主語と述語の関係は、論理的関係にすぎず、実際に「存在する」ということを保証するものではない。
例:「三角形は三つの角を持つ」
これは主語と述語の関係は必然的であるが、三角形が現実に存在することを示すものではない。
↓
単なる概念としては、現実的な100ターレルも可能的な100ターレルも同じであるが(つまり、お財布のなかに入っている一万円札も、頭のなかにある一万円札も、一万円という概念では同じってこと)、財産状態としてはまったく異なっている(この部分だけはメチャクチャ頭に入りやすい:笑)。
↓
神についても「現実に存在する」と言いうるためには、単なる概念を越えて「経験的直観」を必要とする。
↓
しかし神についての経験的直観を得ることは不可能であり、したがって、われわれには神の現実的存在を証明することはできないのだ。
というぐらいに留めるものなんです(というか、岩崎武雄の『カント』ではそう書いてあります。ともかく、こういう流れで話は進んでいく、ということを押さえておくのは見取り図がつかめていいか、と思いますが)。
ただ、「存在する」という述語は「論理的述語」であって、主語を規定したり、意味をつけ加えたりする「実在的述語」ではない、という部分は、ものすごく重要です。今日的には「神の存在証明」より、こっちのほうが重要でしょうね。しっかり頭に入れておいてください。
うーん、どういうのがわかりやすいかっていうのは、人によってちがうからなー。
純粋な好みですが、哲学史の流れを追うものとしては、中山元『〈ぼく〉と世界をつなぐ哲学』(ちくま新書)これなんかはすごくわかりやすいんじゃないか、少なくとも、わたしは楽しく読めました。
あと『思想の用語辞典』(筑摩書房)。
#2の回答の「主語と述語」が西洋哲学を規定しているというあたりを書くときも、この本を一部参考にしています。
この本では、たとえば「現象」「表象」「贈与」という項目で、さまざまな哲学者はこの言葉」をどのような意味で使ったか、がわかりやすく紹介されています。わたしは基本的に哲学は言葉の勉強(というか、言葉の重層性をたどっていく学問)だと思っているので、いまだに「これってどういうことなんだろう」と思ったとき、まず開くのは、この本かもしれない。\2400だけど、コスト・パフォーマンスは高いです。
質問者さんはすごくいい先生に教わってるんだから(勝手に×江先生と決めている:笑)、がんばって勉強してください。いまはすぐわからなくても、二年ぐらいしたら、ああ、そういうことだったんだ、ってわかってくるところがあちこち出てくると思います。
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