一回も披露したことのない豆知識

被相続人(父親)が亡くなり相続人はAさん、Bさん、Cさんの姉妹3人。

遺産総額9000万円。

Bさんだけは20年前、父から1500万円の土地を贈与され、その上に自宅(Bさんの夫名義)を立てて住んでいる。
Bさんも含め3人共Bさんだけは1500万円の生前贈与があると思っていた。
それを計算に入れて遺産を3等分する意向だった。

だが、登記簿を見るとは亡くなった父親からBさんの夫に所有権が移っていた事が判明。
(父親→Bさん→Bさんの夫 ではなく、父親→Bさんの夫)
途端にBさんは「父は私ではなくて私の夫に贈与したんだ。父は私に贈与したんじゃない。書類に私の名前が無いのが証拠。裁判したいならしろ。登記簿に私の名前が無い限り私の勝ちだ!」
と言い出す。
そして9000万円の3分の1の3000万円を主張。
当然AさんとCさんは不服である。
(今もBさんはその土地の上に住んでいます)

法律上ではBさんの主張は通りますでしょうか?

A 回答 (1件)

法律用語としての「生前贈与」は贈与税・相続税の清算制度でのみ用います。

ご質問のような状況では生前贈与ではなく、「特別受益」(民法903条)という言葉を用います。

民法903条によれば、相続人が被相続人から特別な利益を受けていれば、それを特別受益として遺産分割に考慮することになります。

さて、今回の問題は、被相続人(亡くなった父親)から、相続人(Bさん)の夫に対する贈与が、Bさんへの特別受益とみなせるかどうかということですね。確かに、法律の明文上は、相続人以外への贈与は、特別受益にはなりません。

しかし、下級審判例には、これを認めたものがあります。以下に、判旨を引用します。

(福島家裁白河支審決昭和55年5月24日・家庭裁判月報33巻4号75頁)
「本件贈与は、相続人である相手方乙川花子に対してではなく、その夫である乙川太郎に対してなされているのであるから、形式的に見る限り特別受益にはあたらないことになる。しかし、通常配偶者の一方に贈与がなされれば、他の配偶者もこれにより多かれ少なかれ利益を受けるのであり、場合によつては、直接の贈与を受けたのと異ならないこともありうる。遺産分割にあたつては、当事者の実質的な公平を図ることが重要であることは言うまでもないところ右のような場合、形式的に贈与の当事者でないという理由で、相続人のうちある者が受けている利益を無視して遺産の分割を行うことは、相続人間の実質的な公平を害することになるのであつて、贈与の経緯、贈与された物の価値、性質これにより相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められる場合には、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であつてもこれを相続人の特別受益とみて、遺産の分割をすべきである。」

まあ、遺産分割事件で最高裁まで行くことは少ないので、確固たる判断というわけではありませんし、実際に相続人であるBさんが受けた利益がどの程度になるのかといった事実認定の部分はそれぞれのケースで異なると思うので、特別受益であるとかならず認められるとは言い切れません。しかし、ご質問の事例によく似ていますし、少なくとも法律上Bさんが有利であるとはいえないと思います。

ご参考にどうぞ。

この回答への補足

ご紹介頂いた福島家裁白河支審決昭和55年5月24日・家庭裁判月報33巻4号75頁 についてですが、
弁護士に相談する際、弁護士はこの判例は知っているのでしょうか。

補足日時:2005/11/11 09:04
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この回答へのお礼

早速のご回答どうもありがとうございました。
経緯ですが、Bさんは父親が自分の夫に贈与した理由は
「こんなあばれ娘を嫁に貰ってくれてありがとうという気持ちで父は私の夫に土地をあげたんだと裁判所で言う」といきまいていました。
(それが父が自分の夫に土地を贈った経緯とする)
ちなみにその他の娘であるAさん、Cさんは(それぞれの配偶者も含め)父親から何も受けていません。
Aさんは父親と同居、CさんはCさんの夫の実家に同居でした。
父親は口では常々「Bには土地をやっているからAとCに多目に」と言っていてBもそれに納得していたので遺言書は作成していませんでした。
でも、死後にBさんの自宅の登記簿に自分の名前が無いのを見て、「遺言書が無いのだから、父親は生前そんな事(Bには土地をやっているからAとCに多目に)は言っていないと言い張れば終わり。私は裁判所ではそんな話聞いてないと言い張る。」
と言っています。
しっかりと父親から貰った土地に住みながら。
Bさんに言わせれば、「私が貰ったんじゃなくて夫が父親からもらい、夫の土地に住んでるだけ」なんだそうで、「夫から利益は受けても父から利益は受けてない」んだそうです。
AさんとCさんは「それは屁理屈じゃないのか。父親はあんたが住む家を建てるのだからって土地を贈与したんだぞ」というのですが、「書類に私の名前が無いのが全て。裁判は全て証拠がいるんだから。私には登記簿に私の名前が無いという証拠がある!」
だそうで。
AさんとCさんは悔しくてたまらない。

判旨を引用して下さりありがとうございました。
Bさんは自分の言い分が認められるまで最高裁までやるそうです。

お礼日時:2005/11/10 22:41

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