人生で一番お金がなかったとき

法律素人です(大学で少しだけ法律学びました)。
裁定力とは裁判において有効であることを指すのだろうと考えてますが、
憲法には裁定力はあるのでしょうか?
憲法違反であるとして訴訟を起すことは可能なのでしょうか?ついでに、
法律と憲法が矛盾していると判断されるようなケースでは
どちらが優先されるのでしょうか?
ケースバイケースである場合、具体例を教えていただけるとありがたいです。
法的知識のある方お願いします

A 回答 (2件)

 違憲を理由に相手を訴えることができるかどうかというご質問ですが、その相手が国家か私人かということがまず問題です。

相手が国家であった場合は、国家の何らかの作為(一切の法律、命令、規則又は処分)が憲法に違反する疑いのあった場合は裁判所がこれを具体的事件につき違憲性を判断することができます(81条)。ただ、具体的事件に関する主張でない場合(自衛隊は9条違反である等の主張)は、これを判断する権限は裁判所にはありません。例えば、ある人が身体的な理由で学業の履修が困難であるとして、公立高校が入学を拒否した場合は憲法26条違反を理由として処分の取消しを争うことができます。ただ、条文によっては、それを具体的請求の根拠にすることが困難なものもあります。例えば、国家は自分に対して十分な社会保障をしてくれないから、これは憲法25条違反だと主張しても、憲法25条はプログラム規定(国民の具体的な請求権を認めたものではなく、国家に政治的・道義的義務を課したに過ぎない規定)と解されていますので、この主張は認められません。

 相手が私人であった場合、憲法の条文を適用できるかどうかという問題ですが、法は、その性格上、公法と私法に分けられます。国家対私人に関する事項を扱う法を公法、私人対私人に関する事項を扱う法を私法と呼び、憲法は公法のひとつと考えられています。よって、例えば学校のともだちに差別を受けたからと言って、直接的に憲法14条違反を根拠に相手を訴えることは、理論上不可能ということになります。しかし、これを厳格に貫けば、私人対私人の問題に対しては、憲法が全く適用できないという不合理が発生してしまいます。したがって、今日では憲法(その中でも特に人権規定)は公法・私法を包括した全法秩序の基本原則であると解されており、場合によっては私人間にも適用されると考えられています。

 憲法が私人間に適用されると理解した場合でも、憲法上の条文を直接的に適用すると(直接適用)、憲法本来の趣旨が形骸化してしまいます。そこで、憲法を私人間に適用する際は、他の法律を介在させて間接的に適用する(間接適用)という手段が取られます。例えば、「日産自動車事件」(最判昭和56・3・2)では、定年時の年齢における男女差別は憲法第14条に照らせば違憲ですが、直接適用することは避け、民法90条に反するとしてこれを不当な差別と判断しました。
 
 最後のご質問ですが、憲法は他のあらゆる法律、命令、詔勅及び国務に優先します(98条1項)。憲法に矛盾すれば、当然に無効となります。ただ、条約と憲法の関係については、どちらが優先するか意見が分かれます。もっとも、いったん締結した条約の効力を否定するほどの権限は憲法にはないでしょうから、実質的には条約の効力が優先するということになるかもしれません。
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この回答へのお礼

たいへんまとまったご解説ありがとうございました。
とても勉強になりました。

お礼日時:2001/12/09 17:22

ppooooさん、こんにちは。


憲法違反の審査は、付随違憲審査制ですので、法律を憲法違反として訴えることはできません(例:警察予備隊訴訟は、直接最高裁に出訴した訴えを却下した。男女別定年制は、民法90条違反としただけで、違憲とはしなかった)。
憲法と法律がぶつかれば、上位規範である憲法優先です。
ケースバイケースではなく、絶対憲法優先です。
法律学習った人なら、常識の範囲ですよ。
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