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先日行った学生実験なのですが、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエンを主原料としてp-テルフェニルを合成しました。

まず、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエンに無水マレイン酸をDiels-Alder反応によって環化付加させ、これを強塩基で処理した後、フェリシアン化カリウムで酸化してp-テルフェニルを得ました。

そこで反応の機構なのですが、おそらく強塩基で処理することで無水マレイン酸に由来する環が開裂してジカルボン酸イオンの形になると思います。
ところが、ここからの酸化的脱炭酸の機構がどうしてもわかりません。

どなたか分かる方教えてください。よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエンを主原料とするp-テルフェニルの合成はフィーザー・ウィリアムソン有機化学実験に書かれていますが、そこでは無水マレイン酸ではなく、アセチレンジカルボン酸ジメチルを用いており、操作に関してはご質問に記述されたものと同じです。



アセチレンジカルボン酸ジメチルを用いた場合には、塩基の意味としては、はじめに生じる非共役ジエン1,4-シクロヘキサジエン環を共役ジエンである1,3-シクロヘキサジエンへと異性化する役割も持っています。それに続いてエステルを加水分解する役割も持っています。

ただし、無水マレイン酸を用いた場合には、できてくるのはシクロヘキセン環ですので、二重結合を異性化する意味がありません。もしも、無水マレイン酸を用いたということで間違いないのでしたら、酸無水物の部分を加水分解したということになるでしょう。

その後の脱炭酸は明らかに酸化的に行われています。酸化剤はフェリシアン化カリウムに含まれるFe3+であり、これがFe2+へと還元される際に基質を酸化することになります。
一般にこの手の酸化は、一電子移動を伴うラジカル反応(一電子酸化)を経由して進行します。そのため、電子の移動を表現する矢印などを用いて、反応機構を明確に表示することは困難です。
第一段階としては。-COO^-からFe3+へと1電子が移動して、-COO・(ラジカル)を生成し、それから脱炭酸が起こり、シクロヘキサン環上にラジカルが残り、隣接炭素上のHがラジカルとしてとれることによって、二重結合が生成し・・・・といった感じで進むことになると思います。
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この回答へのお礼

なるほど、ラジカル機構だったとは・・・
電子対の動きばかり考えていたので気付きませんでした。
「フィーザー・ウィリアムソン有機化学実験」という本、図書館で探してみます。
分かりやすく教えていただき、ありがとうございました。

お礼日時:2006/05/22 19:46

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