No.1
- 回答日時:
MRIの素人でNMRの経験者です。
撮影時間が長いのは、積算回数の問題でしょう。
プロトンNMRの場合、一回のデータ積算に数秒かかります。
MRIについては分かりませんが、同程度の時間がかかるとすれば、積算をくりかえせば時間は数分~数十分かかるはずです。
複雑なパルス系列を用いていれば、より積算時間は増えるでしょう。
(2)無理だと思いますが。超伝導磁場に被検体(この場合は人間)が入っていないとシグナルを得られませんから。
将来、もっと強力な磁場が形成できれば、今のトンネル状のやつから少しはましになるかもしれませんが・・・
(3)これも磁場を使っているので当然です。
金属(というか磁性体)があると、超伝導磁石の磁場が乱れ、正常なシグナルは得られません。
(4)これは分かりませんね。音といっても、何の音か分かりませんから答えようがない。
(5)
MRIは体の中の水素原子(水の水素原子だったと思う)由来のシグナルを分析する手法です。骨の中にも、細胞や血液のように十分に水が分布していればその情報が得られるでしょうが・・・私も医学およびMRIのプロではないので詳細は分かりませんが、骨の中に水があまり無いか、あっても環境の変化をあまり反映してくれないのでしょう。
No.2
- 回答日時:
(1)たくさんの理由があります。
#1様の言われる積算回数というのは、一回のデータ収集では信号微弱雑音多大なので、複数回データ収集して加算平均して雑音を押さえるということです。なぜ信号微弱雑音多大なのかは、水素原子核のほんの一部(ppmオーダ)からしかNMR信号が出てこない、人体から熱雑音が出ている、など。磁場強度を上げれば信号は比例して強くなりますが、磁場強度は技術的な限界に近い。3テスラ程度まで来ていますが。
複数回の加算平均でなくても画像は撮れますが、もう一つの本質的な理由として、励起してから所定の時間経過後にMRI信号をとります。また、一回MRI信号をとったら次にとるまで所定の時間経過が必要です。時間経過に対するMRI信号の応答のしかたを画像にしているからでして、本質的に一瞬の撮像は不可能なのです。
これ以上はちょっと難しい話になります。
(2)開放的な装置はあります。結構使われていますが。でも磁場が弱い(せいぜい0.5テスラとか)ので信号弱くて画質が良くない、画質を上げるために複数回撮像の加算平均にするとよけいに撮像時間がかかる。
(3)金属が絶対にいけないわけではありません。磁性体はNGです。磁場が歪んで画像にならないほかに安全上の問題。非磁性の金属なら寸法形状にもよりますが、こういうのはOKとか病院が判断してくれます。体内に補綴物を入れた患者は一切ダメというのは困るので、MRI対応の金属補綴物は結構あるのです。
(4)傾斜磁場の音ですね。一言で言えばローレンツ力。撮像中に静磁場(1.5テスラとか)を揺り動かすために、傾斜磁場コイルにパルス状の電流を流します。磁場の中にパルス状の電流を流すと、傾斜磁場コイルはローレンツ力を受けて歪んだり動いたりします、がつんがつんと。まさにスピーカの原理。
(5)カルシウムはMRIでは見えません。水素原子核からの信号ですから。しかし、カルシウムを見ないと骨診断ができないというわけではないです。水に限りません、脂肪でも筋肉でもいいですが。骨髄(水気たっぷり)からは結構信号出ます。従って骨病変の診断にもMRIは結構有用なのです。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
(1)と(5)については、No.1の方の回答のとおりだと思います。
(2)閉所恐怖症について:-
MRIで鮮明な画像を得るためには、優れた均一性を持つ強い静磁場が求められます。そのため、ソレノイド型(円筒型)のコイルを用いた超伝導マグネット(電磁石)が用いられ、患者が狭い空間に閉じ込められることから閉所恐怖症が問題視されていました。ところが最近では鉄心を使ったオープン型(開放型)のマグネットが出現し、閉所恐怖症から逃れる選択肢がでてきました。ソレノイド型にくらべると性能面では見劣りがするようですが・・・。
(3)金属の存在:-
二つの問題があります。一つは安全面の問題で、体内に鉄などの磁性体があるとそれがMRI装置の強い静磁場と反応して動くため、周辺の組織を損なう危険があります。特に脳内に磁性体がある場合は致命傷になりかねません。さらには、金属と高周波磁場との相互作用により金属が発熱する危険性もあります。
次に画質上の問題があります。金属は磁力線を通しやすい性質があるため、金属の周りの磁場の均一性が乱れます。局部的な磁場の乱れ(変動)は、体内の水を構成する水素原子を磁気共鳴させるというMRIの基本的な作用に対して、大きな擾乱となり正しい情報を得られません。
(4)検査音について:-
MRI装置では三種類の磁場を使います。(2)で述べた静磁場、(3)で出てきた高周波磁場、そして三次元情報を得るために使われる傾斜(勾配)磁場です。この傾斜磁場はX,Y,Z方向に一定の傾きを持つ磁場をパルス的に繰り返して出すものですが、コイルへの通電のON、OFFのたびにコイルは磁場との相互作用によって激しく振動して断続的な音を発生します。この音の大きさを軽減する技術は、メーカー各社の腕の見せ所の一つといえるでしょう。
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