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  減圧蒸留の実習で、粗製アニリンを使用したのですが、
 減圧蒸留は、沸点の高い物質の時行うんですよね?
 ちなみに、アニリンの沸点は184~186℃ですが、どの程度の沸点の
 物質が常圧蒸留で、どの程度の沸点の物質が減圧蒸留で、とかいうのは
あるんでしょうか?(ボーダーライン的なものとか・・)
 加えて減圧蒸留について情報がありましたらお願いします!何でもいいです!!考察の参考にしたいと思います!!

A 回答 (4件)

工業的には、蒸留の減圧度は、次のようなポイントで決めます。


  1:蒸留中にその物質が受ける熱履歴が、分解温度、変質温度などの下限を
    越えないように、蒸留系全体の温度を下げたい時は、
    そういう減圧度に設定する。
  2:その蒸留設備で使用出来る熱源の種類が 熱媒なのか、高圧スチームなのか
    低圧スチームなのか。
    一般的な高圧スチームである10Kスチームの場合、塔底温度(釜温)は
    160~165℃が実用上の限界です。
    その範囲内で収まるように減圧を加減します。
  3:分離したい成分どうしの分離度が温度に依存します。
    2成分で比較する比揮発度αで言えば、一般的には高温下のαよりも、
    減圧をかけた低温下のαのほうが大きくなっています。
    単蒸留の際には殆ど影響はないですが、異性体分離のように
    100段以上の蒸留塔で10以上の還流比を掛けるような連続蒸留に於い
    ては、このαの変化は見逃せないポイントです。
  4:逆に、真空を引き過ぎると、同じ蒸留塔での処理能力が落ちます。
    フラッディングが起きるなどして、蒸留が成立しなくなりますので、
    塔径を大きくするとか、塔頂コンデンサーを大きくするなどの対応が
    必要になります。そうならない範囲内で可能な限り減圧するのが
    一般的だと思います。
  5:設備材質 加熱源が熱媒などで200℃OKでも、グラスライニングの
    プラントなどで、テフロンパッキンを使用している場合は、パッキンの
    材質の限界で、200℃加熱が出来ない場合も有り、それに合わせて
    減圧します。

例外として、石油精製で、1本の連続蒸留塔で塔頂、塔中、塔底の3ヶ所から製品を抜き出す為には、スーパーヒートした温度での原料供給が必要で、この時も減圧蒸留(というか圧力差)が必要になります。

まとめとして、物性に依存して減圧度を決めるよりも、設備の事情で決定される
パターンが多いと思います。
ラボでの場合、これから蒸留しようと思っている物質に色が付いていたら、
「合成した反応液であり、雑多な不純物や触媒が残っている」とか「不安定な
化合物で買った試薬でも色が付いている」と想像出来ますから、蒸留温度が
高くならないように最初から減圧系で器具を組めば良いと思います。

ラボの減圧蒸留でのポイントを下記に列記します。
 1:単蒸留については、
   常圧(に近い)蒸留の場合沸石を使うと思いますが、真空ポンプを使う
   ような減圧蒸留の場合、沸石はだめです。減圧度が変化すると沸石が死
   ぬ事が有りますので、キャピラリーを使いましょう。
 2:バッチ精留
   還流のかけ方と、分取の方法がポイントです。
   塔頂液を分取する際に、いかにして真空の変動を少なくするか。
   私は贅沢に2台の真空ポンプを使いました。
   よく、ガラス空塔にヘリパックなどを詰めてカラムにしますが、
   その回りに直接リボンヒーターを巻いて加熱している合成屋さんを
   見かけますが、リボンヒーターはダメ。
   (中の様子が観察出来ない+過熱しても気が付かない)
 3:温度記録
   打点式の連続温度記録計は必須です。アレが無い蒸留塔は
   レコーダーの無いガスクロみたいなもんです。
   最低3ヶ所(塔頂、塔中、塔底)の記録が必要です。
   望ましくは5ヶ所。
   回分精留で高沸不純物をカットする場合、塔頂組成を一定に保つには
   還流比を徐々に増加させないといけません。
   温度のレコーダーがあれば、塔中温度の推移で、その加減が良くわかります。
 4:圧力調整
   これも、難関です。私の時代には自動で良い物は有りませんでした。
   真空ポンプ、ニードルバルブ、マノメーターの組み合わせで調節していました。
   真空度が安定しないと、蒸留として成立しません。
 5:バッチ精留での微量の低沸不純物カット
   バッチ精留は微量の高沸をカットするのは得意なのですが、逆に微量の
   低沸不純物をカットするのは苦手です。
   塔頂まわりの液のホールドアップをいかにして少なくするかがポイントです。
   私は不精して、全還流&一気抜きが出来るような器具を自作していました。
   本当は釜とタワーの間を、大きなバルブか何かで一気に遮断するのが良いと思います。
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>減圧蒸留の実習で


丸善の
実験科学講座.基礎操作

のあたりを読めば見当つくでしょう。
上流には.単に大気圧で蒸留する場合.減圧している場合の「真空上流」.分子を飛ばす場合の「分子蒸留」が.動作圧力の違いです。
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蒸留は専門でないので参考になるかどうか解りませんが、



濃縮の場合、次のような理由で減圧で濃縮します。
溶液の沸点が低くても、濃縮液の物性が、高温で変質してしまう場合。
少ない熱量で濃縮する場合。
短時間で濃縮する場合。
等です。

酢酸ブチル(沸点126℃)は、常圧で蒸留しているのを見たことがあります。
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専門家ではありませんが、知っているところで。

減圧蒸留は実際に石油精製に利用されています。ナフサなどの軽質油成分は常圧蒸留塔で蒸留して、重油などの重質油成分を減圧蒸留しています。
ボーダーラインということですが、加熱のためのコストや物質そのものが熱によって影響を受ける場合など、まちまちではないかと思います。なにせ外気とは遮断しても発火点より高い温度にするわけには行かないでしょう。
石炭などを分離するためには重質油などで溶融及び抽出して蒸留する方法もあるそうで、人造石油などに利用されるようです。
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