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おはようございます。早速質問です。
債権総論で出てくる受領遅滞の効果のひとつとして
「相手方(債権者)の同時履行の抗弁権を奪う」
とあります。これは法定責任説でも、債務不履行説でもこの効果があることには差異はないはずです。(債務不履行説では弁済の効果だとされていると思いますが)
しかし、債権各論において
「Aが買主、Bが売主として、BがAのところに物をもって行ったが、Aが物の受領を拒絶した。後日再びAが物を持ってBのところにもっていった時にも、Bは物をもらうまではお金は払わないよという同時履行の抗弁権をもっている」
という記述はありました。

2つの「」の記述は矛盾しているように感じます。抗弁権を奪うと前の「」では言っているのに抗弁権は持っていると後の「」では言っているからです。どういうことなのでしょうか?すいません、ご教授ください。

A 回答 (3件)

おそらく、


債権総論のほうに出てくるのは「債務不履行=解除」の問題で、
債権各論のほうに出てくるのは「契約総論=同時履行の抗弁権」の問題ですね。

ふたつの結論が意見矛盾するように見えるのは、端的に申し上げれば、本来の契約上の給付の履行について買主の同時履行の抗弁権を封ずるためには、売主は、目的物の提供は「継続」していなければならない、というところに原因がありそうです。
つまり、売主としては、買主に代金の支払を請求するためには、いつでも買主が受領できるような状態に給付の目的物を保持しなければならないわけですから(昭和34年5月14日最高裁判所判決・判例時報191-23)。
裁判所のこの考え方は、大審院時代から「同時履行ノ抗弁ハ当事者ノ一方ガ曾テ一タビ履行ノ提供ヲ為シタルコトアルモ其提供ニシテ継続セザル以上ハ相手方ニ於テ主張スルコトヲ得ルモノトス」(明治44年12月11日・民録772)とされていたようです。
通説は反対しているようですが…。

判例の立場を前提とすると、一度提供しても、売主が給付の目的物を持ち帰ってしまった以上、それは、買主に付遅滞の効果を発生させること(そして、それを原因として契約を解除すること)は可能であったとしても、買主に本来の契約上の義務を求めることはできないと、私も思います。
(この場合、買主に本来の契約上の義務を求めるためには、売主は、給付の目的物を持ち帰ることなく、即時供託しなければならなかったのでしょう。それが、物理的に可能であったかどうかは、一応別にして。法律論としては。)。

提供を継続しなくても買主の同時履行の抗弁を封ずることができるのは、買主が契約の存在そのものを否定するなど、売主の給付を受領しないことが客観的に明白なケース(たとえば、昭和32年6月5日最高裁判所判決・判例タイムズ72-56のようなケース)に限られるのではないでしょうか…。
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 債権各論の方の記述の後段のAとBが入れ替わってしまっているようですが、常識の範囲で読み替えます。



 債権総論に出てくるという方は、「一方が債務の履行と同視できる債務の提供をしている場合に、相手が自分の意思で受け取らない状況では、公平性の観点から、自身の債務履行について同時履行の抗弁権により拒否することはできない」という当然のことを言っています。
 これに対して、債権各論の記述は、「最初の現実の提供のあと、Aは物を引き上げていて、一旦提供はなくなっているから、同時履行の抗弁権を奪う効果もその時点で切れる。だから、後の機会においても相手に履行を求める場合には、再度現実の提供をしない限り、相手は同時履行の抗弁権を行使できる」ということで、特に矛盾はないと思います(後のケースでも、現実の提供をすることにより、それを相手が受領拒否すれば、総論の方の話になって、相手の同時履行の抗弁権はなくなります)。
 受領遅滞になっているからといって、先履行の義務が発生するわけではありません。

 履行遅滞の場合で、反対債務が履行されている場合と履行されていない場合を考えると分かりやすいのではないでしょうか。
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テキストの記述を引用します。



・・・解除に関するかぎり、買主(債務者)はは約定の期日に履行しない
ことによって、同時履行の抗弁権を失った(すなわち、遅滞に陥った)と
解すべきだからである。もっとも、この場合に、売主(債権者)が-解除
するのではなく―あくまでも買主の本来の給付たる代金の支払いを請求する
ときは、買主はなお同時履行の抗弁権を有し、売主は、移転登記と引換に
支払いを命ずる判決を得ることができるだけであることに注意しなければ
ならない。
(有斐閣双書民法(5)-契約総論)
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