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半導体レーザーでDH(ダブルへテロ)構造を用いたキャリアの閉じ込めについてなんですが、この場合電子が伝導帯に出てくるヘテロ障壁によって閉じ込められることは分かるのですが、正孔は価電子帯にあると思うので、ヘテロ障壁が価電子帯に出てきても、ヘテロ障壁がエネルギー的に低い側にできてしまって、正孔がより安定なエネルギーの低い方へ行くとすれば、正孔は閉じ込められない気がするのですが、どう考えれば良いですか?
あと、半導体レーザーは消費電力が小さいということなのですが、一般的なレーザー(He-Neレーザーなど)と比べると、どの程度消費電力が小さいのですか?

A 回答 (2件)

ANo.1 です。


式(1)を訂正します
【正】   η = P/E = S*( 1 - Ith/Iop )/Vop --- (1)
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(正孔の閉じ込めについて)


参考資料 [1] の図3(2ページ目)に、DH構造のバンドラインナップが出ています。DH構造とはヘテロ接合が2つあるだけでなく、以下のような構造をいいます。
  (1) 発光材料となる活性層が、活性層よりバンドギャップが大きいクラッド層で挟まれている
  (2) 活性層の伝導帯下端はクラッド層の伝導帯下端より、エネルギー的に低い位置にある(これにより電子を閉じ込める)
  (3) 活性層の価電子帯上端はクラッド層の価電子帯上端より、エネルギー的に高い位置にある(これにより正孔を閉じ込める)
  (4) 活性層の屈折率はクラッド層の屈折率より大きい
(2) と (3) がキャリア(電子・正孔)の閉じ込めに関連する項目です。電子はバンド図の下側(エネルギーの小さい方向)に落ちようとする性質があり、正孔は上に昇ろうとする性質があります(電子を玉、正孔を水の中の泡と考えてください)。正孔については、(3) のように価電子帯上端がクラッド層の価電子帯上端より高い位置にあるので、クラッド層から活性層に注入された正孔は活性層両側の価電子帯不連(壁)にはばまれて閉じ込められます。(2) と (3) が成り立てば、(1) は自動的に満たされます。(4) は周期律表の同じ族の半導体なら通常成り立ちます(バンドギャップが大きい材料ほど屈折率が小さくなる)。

(消費電力について)
He-Neの消費電力は知りませんが、半導体レーザのエネルギー変換効率は10-60%程度です。半導体レーザには「しきい値電流」というのがあって、これ未満の電流では発振(発光)しませんので、「しきい値電流×そのときの電圧」の電力が、発光に寄与しない損失になります。しきい値電流より大きな電流を流せば、その電流増分に比例した光パワー(W単位)が出てきます。つまり、光出力を P [W]、動作電流を Iop [A]、しきい値電流を Ith [A] とすれば
   P = S*( Iop - Ith )
で表わされます。S はスロープ効率 [W/A] とよばれる量で、電流によらずほぼ一定です。

動作電流での電圧を Vop [V]とすれば、動作時の電力消費 E [W] は
   E = Iop*Vop
ですから、エネルギー変換効率 η は
   η = P/E = S*( 1 - Ith/Iop )*Vop --- (1)
となります。Ith は一定値なので、動作電流 Iop が大きいほど効率が大きくなります(上限は S*Vop)。

資料 [1] の9ページにDVD用の赤色半導体レーザの特性例が出ています。光出力 7mW を出すのに必要な電流(動作電流)は 35mA、そのときの電圧は 2.2V なので、エネルギー変換効率は
  η = 7/(35*2.2) = 0.091 = 9.1%
となります。21ページに光出力-電流特性(L-I 特性)が出ていますが、25℃でしきい値電流は Ith = 35mA、スロープ効率は 0.71 W/A 程度になります。Ith は温度が高いほど大きくなるので、高温でのエネルギー変換効率は、式(1) の Ith の増分に従って低下します。

[1] 半導体レーザカタログ http://www.semicon.toshiba.co.jp/docs/catalog/ja …
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この回答へのお礼

inaraさん、ありがとうございます。正孔はエネルギーの高い側に行こうとするんですね。知らなかったです・・・
分かりやすい回答で理解できました。

お礼日時:2007/11/08 16:18

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