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最近、新聞やテレビで鳥インフルエンザの報道をよく目にします。
備えておくべきもの、心がけることなど、大切な情報だとは思うのですが、どうして今、こういう報道が集中しているのでしょうか。

インフルエンザ流行の兆しが出ているのでしょうか。
それに、普通のインフルエンザは冬にはやるものです。
どうして今多いのか不思議なのです。
食品の確保も、マスコミによって「4~5日分」から「一か月分」まで異なります。 

情報に過剰に反応してしまうのもどうかと思うのですが、死亡率60%という数字も恐ろしいです。
やはり備えておいたほうがいいのでしょうか。

アドバイスをお待ちしています。

A 回答 (2件)

 獣医師です。

鳥インフルエンザの研究者というわけではありませんが、そのものズバリの仕事をしているので、ここでは専門家を名乗らせて頂いても良いかと。

 まず最初に、鳥インフルエンザとヒトのインフルエンザは別物です。
 ウイルスとしてはほぼ同じものですし、ヒトのインフルエンザ(A型)は全て歴史を辿れば鳥由来なのですが、現在はヒトのインフルエンザはヒトで、鳥のインフルエンザは鳥の間で流行して、相互の感染は基本的にありません。
 その鳥のインフルエンザが「ヒト型」に変異して、ヒトの間で流行するようになるかもしれない、というのが危惧されている新型インフルエンザというわけです。

 現在の情勢をごく簡単にまとめますと、東南アジアでは数年前から高病原性の鳥インフルエンザ(HPAIと呼びます)が流行してまして、防圧に失敗して流行を終息させることができない状態にあります。
 その中で、基本的にヒトには感染しないはずの鳥インフルエンザがヒトに感染する例が多数見られ、致死率も非常に高いです。質問者さんが言われる60%というのは、おそらくこの数字ですね。
 ですから現在のところ、新型インフルエンザは東南アジアで発生する危険性が最も高いと危惧されているわけです。(でも私個人的には最近ちょっと違うのではないかと思い始めてますが)

 日本では4年前と昨年にHPAIが発生したのは記憶に新しいと思いますが、いずれも比較的早期に防圧に成功しています。

 韓国ではこの数年、日本で発生する1ヶ月ほど前に韓国でHPAI発生、というパターンを繰り返しています。4年前の山口・大分・京都での発生時と昨年の宮崎での発生時には、いずれもその1ヶ月ほど前に韓国で発生していました。
 そんなわけで、中国から渡り鳥で韓国~日本にウイルスが運ばれているのでは・・・と疑われているわけです。

 で、今年なのですが、これまでのパターンとはちょっと違って4月になって韓国でHPAIが発生しました。これまでは12月だったのですが。
 これまでのパターンだと1ヶ月ほど遅れて日本でも発生、という可能性が高いはずなのですが、現在のところ発生には至っていません。
 これはこの時期は中国から韓国を経て日本に来る渡り鳥の飛来シーズンではないことや、過去数度の発生を経験して養鶏農家が相当厳重にウイルス侵入防止対策を実施していること、などが要因としてあるのでしょう。

 で、韓国のHPAIは現在、ほぼ韓国中に拡大してしまって悲惨な状況にあるわけですが、そのような中で十和田湖と北海道で白鳥の死体からHPAIのウイルスが分離されたわけです。
 これらのウイルスは韓国株と遺伝的に近いということで、つまり韓国で発生しているHPAIのウイルスを白鳥等の大型鳥類が北に帰る渡りの際に拾って日本に持ってきているのでは、という推測ができるわけです。まあ確実にそうだとまではいえないのですが。
 
 というわけで、現在はやはり日本でHPAIが発生する危険性が非常に高い、というわけでピリピリしている、というわけです。

 なので別に今すぐ新型インフルエンザがどうの、といった話ではないので、一般の方は特に戦々恐々とされる必要もない話かと。
 感染した白鳥の死体を触った程度ではヒトに感染することもそうそうないので、そんなに神経質になる必要もないのですが、まあ触らないに越したことはないです。
 それと現在養鶏農家に侵入してHPAIが発生しているわけでもないので「鶏肉を食べない」といったことも不要です(それこそ風評被害です)。
 発生している状況ですら、鶏肉や卵は普段どおりに食べて頂いてけっこうなのですが。

 ちなみにA型インフルエンザウイルスは、HA亜型で1-16、NA
亜型で1-9まであります。つまり組み合わせで合計144種類のインフルエンザウイルスが存在するわけです。
 ヒトで流行しているのはそのうちH1N1とH3N2の2タイプ、現在HPAIで問題になっているのはH5N1というタイプです。
 野鳥からインフルエンザウイルスが分離されること自体は、別に珍しくも何ともない普通にあることです。日本の湖沼に集合するカモ類の糞などから、144種類のほとんどの型のインフルエンザウイルスが分離されています。

 ただ、HPAIを起こす「高病原性」はちょっと特殊で、本来の自然宿主であるカモ類ではほとんど病原性もないウイルスが鶏に感染すると、鶏はインフルエンザウイルスに非常に感受性が強いので、ウイルスが鶏の体内で非常によく増殖するわけです。
 また、鶏は家畜で密集した状態で飼われていますから、鶏→鶏の感染も効率よく起きるわけです。
 すなわち、鶏に感染したウイルスは、自然宿主のカモに感染している時とは比較にならないほど激しく増殖することになります。
 その結果、感染した鶏を全て殺してしまうような「狂い咲き」のウイルスが出現してしまう、というわけです。これがHPAIのウイルスで、新聞報道などでは「高病原型」とか「強毒型」などと呼ばれているものです。

 ですから、カモや白鳥から単にインフルエンザウイルスが分離された、というだけでしたら、別に何と言うことはない当たり前のことです。例えそれがH5N1型であっても。
 今回のように「強毒型」が分離された、ということは、他の地域で鶏で発生しているHPAIのウイルスを、その白鳥が持ち運んできた、ということを意味するわけで、その意味する重要性が異なるわけです。
 まして東南アジアからウイルスを持ってこられたら、それは比較的容易にヒトに感染する可能性があるウイルスなわけで、しかもヒトに感染した時の病原性も強いわけですから、緊迫度もさらに強くなりますよね。
(過去に日本で発生したものや韓国のものは、同じH5N1でもヒトには感染しづらいタイプ)

 まあ、東南アジアでもう何年もHPAIが流行し続けているのに、韓国や日本で同タイプのウイルスが分離されたことがない、ということは、渡り鳥のルート等からはそう簡単にはウイルスが来ない、ということなのでしょうけど、今後も絶対に来ない、という保証もありませんし。

 ちなみに今回も、報道されている秋田と北海道以外でも、野鳥の調査はされていますが、当面HPAIウイルスが分離されたという報告はありません。

 というわけで、総括すると現状はたいして心配する必要はない、ということですが、野鳥の大量死などを見つけたら、触らずに然るべき機関に通報してください。
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この回答へのお礼

大変丁寧に、そのうえ詳しく説明してくださり、ありがとうございます。
マスコミの情報だけ聞いていると、とてもおそろしい状況のように受け止められますが、「今すぐではないけれど、早めにすこしずつ用意をしておけ」ということですね。

鶏肉や卵を食べても今のところ大丈夫だと聞き、安心しました。
東南アジアへ旅行する人がウィルスを持ち込むのではという心配も、今のところ人から人へうつるウィルスではないということで、よかったです。 (私の夫も近々中国に出張します)

あまり神経質にならず、地震などの非常用も兼ねて、ゆっくり食品や日用品を用意して行きます。
ありがとうございました。

お礼日時:2008/06/03 07:49

http://www.mutusinpou.co.jp/news/2008/04/1801.html

十和田湖でGWに鳥インフルエンザウイルスに犯された白鳥が見つかったからです。
このウイルスが強毒性だったので、他の鳥が感染していれば一気に広がる危険性があります。
お隣観光でも4月に確認されています。
備えるとすれば鳥肉は口にしないことしかないと思います。

一大観光地として知られる十和田湖は風評被害が大きく、観光客が相当減っていると聞きます。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080421/kor0 …
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この回答へのお礼

参考URLをありがとうございました。
知らなかったので、びっくりしました。
外国のこととばかり思っていたのですが・・。

子供たちにも、病気や死んでいる鳥に触らないように、しっかり言っておかないと。

ありがとうございました。

お礼日時:2008/06/02 22:43

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