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民法191条はその法的性質は不法行為であるが、便宜上、「占有者と回復者の関係」の規定においてあり、その意味では不法行為の特則であると聞いておりましたが、条文を見ますと法的性質が不当利得の部分が混在しているように見うけられますが、不当利得の特則でもあるのでしょうか?

A 回答 (5件)

他人の物を占有している者が、目的物を滅失・損傷したり、あるいはこれに費用をかけたりすると、回復者との間でこれをどう処理すべきかが問題となります。

占有者と回復者との間に、正常な法律関係、たとえば賃貸借・寄託・地上権関係などが存在する場合には、その法律関係によって定まりますが、このような法律関係がない場合には、よるべき基準がなく、不当利得や不法行為に関する規定だけでは十分に解決し得ないため、本条は回復の請求を受ける者の占有を基準にして、特則を設けました(基本法コンメンタール物権)。
191条は、不当利得や不法行為に関する規定だけでは解決しきれない点を補充すべく置かれた特則なのですから、両者に対する特則と考えて良いでしょう。

>まあ内田先生の著書しか確認していないので、もし不法行為の特則という説が載っている文献を知っているなら教えてもらえれば、気が向けば、確認しますよ。

→「本条は、占有物について生じた損害のみに関するのであるから、そのかぎりにおいて不法行為の特則であり、その他の点について一般不法行為の原則を排するものではないと解すべきであろう(田中整爾・注釈(7)74頁以下参照)。」
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この回答へのお礼

懇切丁寧、論理明快な回答有難うございます。
今後ともご指導ご教授のほどお願いいたします。

お礼日時:2008/10/22 12:47

>不当利得法の特則


 今、確認しました、ありましたね。すいません、そこまで見なかった。物権法で、債権法の不当利得の効果があるという意味で特則ですね。
 
 同じ内田さんの、民法総則では191条のところは
サラっと述べただけだったので・・・
 それと、具体的利害調整の場において、191条では不当利得返還のようなシチュエーションが思い浮かばないんですが、どんな状況がありえるでしょうかね?

>現存利益
この言葉が正解なんですが、私個人は、現に有する利益だけ返せばよいって宅建取ったとき説明されたのでそのまま使ってしまった。スマンダス。

この回答への補足

回答有難うございます。

「滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度」について2つの場合を考えてみました。

前提条件として滅失又は損傷していない部分については、物権的返還請求によって取り戻したとしてその後のことについて記述します。

1.その物の一部が滅失又は損傷したもののその部分の価値が金銭等に変わっている場合(保険金等)。
この場合には、回復者は滅失等の部分の損失があり、占有者は滅失等による価値変換物という利得があるわけですから不当利得の要件を満たす可能性があります。

2.単にその物の一部が滅失又は損傷した場合。
  滅失又は損傷部分についての価値変換物がいわけですから回復者の滅失等いう損失があるのみで占有者の利得というものはありません。
  従って不当利得の問題には成りえず、回復者の損失のみが問題とな  り不法行為にもとづく損害賠償の法律構成となる。
  

つまり、191条は場合によって不当利得の側面と不法行為の側面があるということではないでしょうか?

補足日時:2008/10/21 06:06
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いや、内田先生は「不当利得法の特則」と言ってますよ。

むしろ不法行為の特則とは言ってないです。704条で悪意の受益者に損害賠償責任を認めているのでそれを考えれば、191条が損害賠償を認めるのは別に不法行為の特則であるからと考える必要はありません。むしろ、不当利得を根拠に現物の返還を請求する際、現物が毀滅、滅失していた場合の利害調整規定と捉えるべきで、それなら単なる不当利得の特則と捉えれば十分でしょう。
詳しくは東京大学出版会 内田貴「民法II 債権各論」の条文索引で191条が載ってるところをご覧あれ。

まあ内田先生の著書しか確認していないので、もし不法行為の特則という説が載っている文献を知っているなら教えてもらえれば、気が向けば、確認しますよ。

ちなみに法律用語としては“現存利益”と言うのが普通。条文上「現に利益を受けている」と表記してるんでこれに従えば“現受利益”と言う表現もありだとは思いますがね(使っているのは記憶にないが)。でも、現有利益とか現状利益なんて聞いたことないな。
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この回答へのお礼

回答有難うございます。
とても参考になりました。

お礼日時:2008/10/22 13:20

 こう申し上げては、気を悪くされると思いますが


いわゆる現有利益又は現状利益の部分の概念がまだ理解されていないんじゃないかと推測されます。

 現状利益にかんしては、例えば、他に民法121条がありますね。
 例えば未成年者にその親の許可無く100万の金銭消費貸借契約を結び貸したとしますと、未成年者は30万をパチンコ、40万をタンスを買った、それで残り30万って場合、残り30万とタンス代で、計70万の返還義務がありますよね。
 つまり、今ある利益のみ返還せよってことでしょ。

そうすると、
善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う

 ってとこは、上記と同様の解釈で、
「善意の占有者が占有したものを壊したり傷つけたとしても、残ったものだけ返せばよい」

 って意味ですよ。
 ある車が自分のものだと思い、善意占有したとして、その車を傷をつけても、そのまま返せばよいってことでしょう。
 そういうことが
「現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う」って意味です。
 正直、私も最初勉強した際、よくわからなかったです。
つーか、民法勉強して、最初につまずいた箇所です。
そういう、上記の例を現有利益って言うんだ!と、とにかく覚えましょう。
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>不当利得の特則でもあるのでしょうか?



 この条文の占有者の態様から見て、どういった不当利得がありえますかね?
 この条文は、占有者が、回復者に対してする賠償責任の条項ですよね。条文から見て、悪意、善意の占有者のどういった不当利得がかんがえられますか?

 例えば、民法196条からは、占有者から、回復者への利得返還請求が述べられてます。占有者の保存行為等は利得行為ですから、回復者は返還義務ありますね。
 条文の解釈上、民法191条には、どういたった利得行為があるのかよくわかりません。
 普通に読めば賠償請求に関する条文だと思いますがね。
 もしかしたら、利得行為に関する解釈をした逐条解釈本があるかもしれませんが、そういうのがあったら教えて欲しいです。

この回答への補足

回答有難うございます。

法的性質が不当利得の部分が混在しているように見うけられると申しあげた部分は次のうような部分です。
191条より抜粋:「善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。」

コンメンタール事務管理・不当利得・不法行為(我妻・有泉)55Pに言及があります。

補足日時:2008/10/21 01:42
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