プロが教えるわが家の防犯対策術!

病院でインフルエンザと診断していただき、タミフルカプセル75を頂きました
投薬&安静3日目なのですが、熱が安定しないので質問させて下さい

タミフルはウィルスの働きを抑えるまでも死滅させないと聞いたのですが、
ではインフルエンザはどのように体内から消滅するのですか?

尿や汗などから出る?
完治のための補助になるような食事(栄養素)はある?

A 回答 (1件)

 獣医師でウイルスに専門知識を有する者です。



 「タミフルはインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬剤で、死滅させるわけではない」というのは、それはそのとおりなのですが、そもそもウイルスは"増殖以外の生命活動をしない"微生物ですから、増殖しないウイルスを「死滅していない」と言えるのかは疑問です。死滅させるのと本質的に同じ効果を持つと考えても良いような気はします。

 で、最終的なウイルスの末路ですが、正確にはタミフルは細胞内で増殖したウイルスが(インフルエンザに限らず全てのウイルスは細胞内でのみ増殖可能です)、細胞の外に出ることを阻害する薬剤です。
 つまりタミフルがうまく効いた状態では、ウイルスは細胞内に極めて多数存在しているわけですが(細胞内での増殖は続いている)、細胞から外に出ることができないため、次の細胞に感染することが不可能な状態なわけです。閉じこめられているわけですね。

 そういう状態でしたら、マクロファージなどの食細胞がやってきて、そのウイルスが閉じこめられた細胞ごと食ってしまって終わり、です。

 あとは栄養をつけてゆっくり寝ていれば治癒も早くなるでしょう。

 そもそもウイルスに対して「殺す」という言葉自体があまり意味があるとも思えません。
 細菌でしたら増殖を抑えても代謝活動はしているわけですし、毒素だって出すかもしれませんが、ウイルスは増殖以外の生命活動をしませんから、増殖をしないウイルスはもはや「生命」とは呼べない状態です。
 それって「殺した」と言っても良いような気がするんですけどね。

 ちなみに体外では消毒薬で「ウイルスを殺す」という言い方をしますが、これは正確には「感染能を失わせる」ことを指しています。細胞に感染できなくなったウイルスは増殖することができませんから、ここでは「殺した」と表現していたりするわけです。その感染能を失わせるということは、極めて単純にウイルスの構造蛋白を物理的に壊しているだけの話です。ウイルスが細胞に侵入するには、細胞の「鍵穴」に対する「鍵」が必要ですから、物理的にその「鍵」を壊してやれば、ウイルスは感染能を失うわけです。

 体内でそんな薬剤を使えば、「鍵」と同時に「鍵穴」まで壊れてしまいます。つまり細胞が壊れてしまうので、ウイルスと共に身体にも多大なダメージを与えてしまいます。まあ消毒薬を体内に注入すれば、その人は悪くすると死んでしまいます。
 なので「抗ウイルス薬」というのは、
1.ウイルスが細胞に侵入する
2.細胞内でウイルスが自己複製をする
 a.ウイルス遺伝子の複写
 b.ウイルス遺伝子の転写によるウイルス粒子の複製
3.増殖したウイルスが細胞から出て次の細胞に感染する
 この行程のどこかを阻害してやるわけです。
 それらはたいてい、ウイルス独自の酵素を阻害するような薬剤になりますから、抗生物質のような広い範囲の細菌に効くようなものではなく、ウイルスと薬剤は1対1の関係になることが多いです。
 タミフルは3の行程に関与するノイラミニダーゼというインフルエンザウイルスが持つ酵素を阻害する薬剤です。この酵素を持つのはインフルエンザウイルスAとBだけですので、これ以外のウイルスには効かない、というわけです。

 ま、繰り返しになりますが、ウイルスはこの1-3の行程を完遂できて初めて「生命」と呼べるので(それ以外の"生命"としての活動をしていない)、これを阻害するタミフルが「インフルエンザウイルスを殺すわけではない」と言われているのは、少し違和感があります。
 「インフルエンザウイルスは低温・乾燥の状態で活発化する」などという「科学的に非常に不正確な」記述は気にしないのに(保健所などの公的機関のサイトでもよく見かける)、こんなところだけやけに正確になるのはどうしてなんでしょうかね?
 (厳密に言えば細胞内でウイルスは増殖しているので、「殺しはしない」は間違っちゃいないが・・・)
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