No.6ベストアンサー
- 回答日時:
三端子レギュレータの出力電流は最大電流値に制限されるので、低ESRのコンデンサで突入電流が大きくなるというのは間違いです(済みません)。
最大電流値が一定なら、出力に 0.1Ωをつけても突入電流が減るわけではないのでこれも間違いでした。LM317とLM338では電流検出抵抗が違うために最大電流が違います(LM317が0.4A、LM338が1A)。このためLM338のほうが過渡的な温度上昇が大きく、それによって温度保護回路が働いているものと思われます。出力コンデンサの容量を小さく(例えば10μF)すれば正常動作するかもしれません。>LM338は時間依存型電流制限機能というものが付いているようですが
データシート2ページの電気的特性のICLを見ると0.5msの短時間なら12Aまで流せるようですが(データシート3ページの右上に電流制限値と時間と関係が出ています)、これはVIN - VOUT < 10V のときで、今回のように、起動時に VIN - VOUT が 80V を越えている場合、その下の欄の VIN-VOUT = 30V の条件に相当すると思われます。
VIN - VOUT の過電圧を監視しているのが内部回路(データシート8ページ)のD2、D3などがある部分です。VIN - VOUT が12Vを越えると定電圧ダイオード(D2, D3)が動作してR24に電流が流れQ24のエミッタ電圧が上昇します。Q24のエミッタ電圧は、電流検出抵抗R26に流れる電流(=出力電流)が大きくなったときにも上昇するので、VIN - VOUT が12Vを越えると、出力電流が小さくても電流制限回路を動作させるようになっているようです(VIN-VOUTが大きいときは発熱が大きくなるので)。したがって、VIN - VOUT が 80V と大きい場合には、電気的特性のICLは下段の1Aになっていると思われます。
仮に1Aの電流で100μFが充電されたとすると、コンデンサの電圧が 30V に達するまでに 3ms かかる計算になります。VIN = 80V のとき、VIN - VOUT が 10V 未満になるまでに 7ms かかります。ICの熱容量や過渡的な熱抵抗が分からないのでこの間のチップ温度変化を見積もることはできませんが(データシート3ページの右上の電流制限値と時間と関係から過渡的な温度上昇が計算できる気もしますが・・)、この間にチップ温度が150℃を超えると温度保護回路が働きます。LM317ではVIN - VOUT が10V以上のときの制限電流値は0.4Aと低いので、LM317のほうが発熱は少ないと直感的には思えますが、制限電流値が少ない分、出力コンデンサが充電される時間も増えるので、チップの温度上昇はLM317のほうが大きいのではという疑問が生じます。このあたりはちょっと考えて見ますが、出力コンデンサの容量を小さくすればチップの温度上昇は抑えられるので正常動作すると思います。
No.7
- 回答日時:
> LM317(LM338も同様)はIN-OUTの差が40V以内であれは高い電圧でも扱えると理解しています。
それは正しいのですが,設計経験のない人は,正常動作の定常状態しか見ない欠点があります.
電源回路設計においては,定常状態の正常動作は当然として,電源オンの起動時,オフの停止時,過電流保護時,サージ電圧入力時の回路動作を検討します.
FIg.11のベース出力間に入っている1N3031(30Vツエナー)が,電源オンの起動時と過電流保護時にLT317(LM317同等品)の入出力電圧を30Vに制限します.
aurorasounさんなら,120V入力100V出力で入出力電圧20Vだから不要と思われるかも知れませんが,必要なんですね.
入出力間に入れた1N4004は,電源オフの停止時に,トランジスタとLT317が逆バイアスされるのを防止します.
今回の負荷がスピーカのフィールドコイルとゆうことですから,コンデンサ容量を増やす必要があります.
コイルのエネルギーはオフ時にLI^2/2で,そのエネルギーをコンデンサが受け止めてCV^2/2となります.
つまり,容量を大きくすれば電圧上昇を少なくできます.
入力部分の容量がどれくらいかわかりませんが,オフ時の電圧上昇を見て決定するとエエです.
LTの資料は古すぎるため入っていませんが,ブリッジ整流器につながるトランスの巻き線間には,CRスナバ(Cは250V0.1μFフィルムコン,Rは10Ω酸金1W程度)を入れておくと,ノイズ対策になります.
No.5
- 回答日時:
>LM317はIN-OUTの差が40V以内であれは高い電圧でも扱えると理解しています
定常状態ならそうですが、過渡的には(電源ON時)IN-OUTの差は40Vを越えます。LM317の場合もそういう状況になりますが、LM317が誤動作しないのは、過渡電流(出力コンデンサまたは負荷に流れる過渡的な電流)が LM338 より小さいために、チップの一時的な温度上昇が少ないと思われます(チップ温度が150℃を越えると保護回路が働きます)。1kΩの負荷抵抗をつけたときだけ誤動作するのは、無負荷だとギリギリ保護回路が働かず、1kΩをつけることで増えた過渡電流によって保護回路が働くのかもしれません。
内部回路を見ると、LM317とLM338の違いは電流検出抵抗 R26 の値だけのようで、LM317が 0.1Ω、LM338が0.03Ωとなっています。過渡電流はこの抵抗で制限されますから(抵抗だけで決まるわけではありませんが)、抵抗が大きいLM317のほうが過渡電流が小さく、チップの(一時的な)温度上昇も少ないため、LM317では正常動作するのではないでしょうか。
出力コンデンサの容量はいくつでしょうか? 低ESR品でしょうか。三端子レギュレータの出力インピーダンスは低いので、大容量コンデンサをつけても意味がありません(安定動作のために数μF程度つける必要はあります。これはNECの資料にも書いてあります)。出力コンデンサの容量が大きいと、過渡電流の流れる時間が長くなってチップ温度が上昇します。ESRの低いコンデンサだと過渡電流自身が増えチップ温度が上昇します。
もし、出力コンデンサの容量が過度に大きいわけでなく、低ESR品でもないのなら、対症療法ですが、以下のように、三端子レギュレータのOUT端子に0.1Ω程度の抵抗を入れて過度電流を制限してはどうでしょうか。
IN ┏━━━┓OUT
─┨LM338 ┠ 0.1Ω┬─
┗━┯━┛ R1
ADJ ├────-┘
0.1Ω を入れたままだとロードレギュレーションが悪化するので、電源電圧が安定してから、リレーなどでこの抵抗を短絡するのが良いかもしれません。根本的にはanachrocktさんご紹介のFigure 11のようにして、電源ON時にIN端子へ過渡電圧がかかるのを制限するのが良いと思います。
ありがとうございます、まさにプロのご回答です。半導体の中身まで踏み込まないと使い方のコツがわからないのですね。
出力コンデンサは普通の100uFです。これではおおきすぎるのでしょうか?また低ESRはよくないのでしょうか?
LM338は時間依存型電流制限機能というものが付いているようですが、これでパワーオン時の大電流をしばらく流せるようにはなっていないのでしょうか?
No.4
- 回答日時:
それは,多分,起動時に70V以上が加わって.LM338がブレークダウンするからでしょう.
LM317は電流が小さいためブレークダウン電圧が高く,LM338は電流が大きいためチップに余裕がないと思われます.
対策は,ここのp.6「Figure 11」のようにすれば(トランジスタは電流だけでなく,許容損失も見て選びます)OKでしょう.
http://www.linear-tech.co.jp/pc/downloadDocument …
「Figure 11A」では2000V出力可能になっているから,高耐圧MOSFETを使って熱対策すれば,数100Vまでは作れますね.
拝啓 FIg.11は面白い回路ですね、これはと問えも参考になりました。
私の今の回路はINPUTは90Vでそれを IN-OUTの差が40V以内になるように抵抗の値を決めて可変しています。保護用のダイオードは全部入れております。LM317はIN-OUTの差が40V以内であれは高い電圧でも扱えると理解しています。データシートにも出力は絶対値の1.2-37Vではなく出力電圧範囲として1.2-37Vとなっています。こういう理解でよろしいでしょうか。もちろんIN-OUTの差が大きくなると出力できる電流は小さくなるということです。いまのところLM317で問題なく50-85Vで200mA-350Aは出ており、ドイツの古いフィールドスピーカはよくなっています。しかし余裕を見てLM338にしてみたいのですがうまくいっていません。
No.3
- 回答日時:
>NECの資料はとても参考になりました
このサイトの常連さん(anachrockt さん)の回答で紹介されたものです。とても良い資料だと思います。
>私のつかっているのはLM338だけ
LM338の最大入出力電圧差は40Vですので、入力電圧を 75V程度にして、出力電圧を 35V~70V の範囲で可変する電源でしょうか
>どうやってUPするか調べております
私は複雑な回路を書くときはここ(http://aikofan.dee.cc/)を利用しています。以下の手順でupできます(あとで削除も可能)。
【upload手順】
(1) http://aikofan.dee.cc/
(2) 左のメニュー欄の一番下にある「汎用うp1M」をクリック
(3) 右上の「うpするファイル(1000Kまで)」のところの「参照」をクリックして、upするファイルを選択する
(4) その下の「コメント」に題名を記入
(5) その下の del pass に削除用のパスワード(半角英数字)を記入
(6) 「Send」をクリック
【uploadされたファイルの閲覧】
(7) upされたファイル一覧が更新され、今upしたファイルが一番上の行に表示されるので、その名前(f1335.jpgなど)をクリック
【uploadされたファイルの削除】
(8) ファイル一覧にある該当ファイルの左端にある「D]をクリック
(9) (5)で記入したパスワードを記入し「削除」をクリック
LM338データシート http://www.national.com/JPN/ds/LM/LM338.pdf
No.2
- 回答日時:
これは、正と負の2つの三端子レギュレータを使って可変トラッキング電源を作り、その出力電圧差を取り出して高電圧(70V)を作る電源でしょうか。
その場合、設計がまずいと、レギュレータの一方しか動作しないということが起こります。正負のレギュレータのGND側を共通にして、正負の出力間の電圧差を出力とする電源に負荷をつけてONした場合、正負のどちらかの電圧が先に立ち上がると、反対側の出力に逆電圧がかかり、保護回路が働いて一方しか動作しない場合があります。それを防ぐために、参考URLの12ページの図4-2のように、出力端子と共通ライン間に保護ダイオード(D11とD11' )を入れて、三端子レギュレータの出力に逆電圧がかからないようにします。
IN┏━━━┓OUT
+40V ─┬┨LM317┠┬─┬──┐1.25V~+35V
│┗━┯━┛ │ │( GNDに対して+2.5V~+70V)
Cin ADJ Cout │
│ 共通ライン │ │
0V ─┼───────┤ 負荷
│ │ │
Cin ADJ Cout │
│┏━┷━┓ │ │
-40V ─┴┨LM338┠┴─┴──┘-1.25V~-35V
IN┗━━━┛OUT ( GND)
上図のように、出力端子に保護ダイオードがない場合、負荷に何もつながっていなければ、正負のレギュレータの出力は分離しているので、どちらのレギュレータが先に立上がっても、時間が経過すれば両方のレギュレータの電圧は正常値に落ち着きます。レギュレータの出力にはコンデンサCout がつながっていますが、これは0Vラインをはさんでいるので、LM317の出力が先に立上がっても、LM338の出力端子が正電圧になることはありません。
ところが、負荷(1kΩ)がつながっている場合、LM317が先に立上がると、LM338の出力端子の電圧は、負荷を介して持ち上げられ、正電圧になります。すると、LM338のIN-OUT間の電圧差が、絶対最大定格の40Vを越えてしまい、レギュレータの保護回路が働いてLM338の出力を絞ってしまいます。そうなると、電源全体の出力電圧(GNDに対するLM317の出力電圧)が30V程度にしかならないということが起こりえます。
参考URLの図4-2のように、出力端子と共通ライン間に保護ダイオード(D11' )を入れた場合、LM338の出力電圧は+0.7Vより大きくならないので、LM338がラッチダウンするのを防ぐことができます。一般に、正負電圧のどちらが先に立上がってもラッチダウンしないように、正負のレギュレータの出力それぞれに保護ダイオード(D11とD11' )を入れておきます。
なお、電源スイッチを切ったときに、Cout あるいは容量性の負荷に溜まった電荷によって、レギュレータの入出力端子間に逆電圧がかかる可能性がある場合(最悪の場合レギュレータが壊れる)、図4-2に書かれているように、レギュレータのIN-OUT間に保護ダイオード(D12とD12' )を入れます。
参考URL:http://www.necel.com/nesdis/image/G12702JJAV0UM0 …
すばらしいご回答ありがとうございます。
NECの資料はとても参考になりました。あそこまで詳しいのは今まで見たことがありません。感謝いたします。
さて、私のつかっているのはLM338だけです、プラス版の5Aバージョンです。回路図をUPいたしますので教えてください。LM317では負荷をつないだままOnしても問題ないですがLM338では電圧が出ません。
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