プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

英語の仮定法過去の考え方として、「現実から距離感を感じるから過去形を使う」という説明を耳にします。その根拠はどこからきているのでしょうか、もしくは何なのでしょうか。というのは、他のヨーロッパの言語では仮定法(接続法)の語尾変化は過去形ではないと思うからです。実際のところ、仮定法の考え方と過去形には関係があるのでしょうか。それとも長い歴史の中で英語の仮定法が「たまたま」過去形を用いるようになったのでしょうか。

A 回答 (5件)

古典ラテン語からすでに “事実に反する仮定と帰結“ は似たような構成で表します。

よく言う「時制を一つ過去の方へずらす」方法です。現代語ではこういう用法で使う動詞の形が直説法と同じになったものも、接続法としての特別の形を保っているものもあります。前者に属する代表が英語やフランス語で、後者に属する代表がドイツ語です。

現在の事実に反する仮定

英語:if 仮定法過去、助動詞の過去+原形
仏語:si 直説法半過去、条件法現在
独語:wenn 接続法2式、接続法2式(or 助動詞の接続法2式+不定詞)
ラテン語:si 接続法過去、接続法過去(助動詞的なものはまだ確立されていない)

いずれも過去の事実に反する場合は時制が一つずれます。英語の仮定法過去は be を除いて直説法と同形なのはご存知の通り。フランス語の半過去は未完了過去で、現在(未完了現在)に対応するもの、条件法は構成こそ違うものの英語の would に似ているところがあります。ドイツ語の接続法2式は過去形をもとに作ります。古英語もドイツ語と同じような感じですが、直説法との違いはドイツ語に比べると小さいものでした。中英語期にはほぼ現代語と同じようになります。
ついでにスラブ系は、古いところは知りませんが、現在に反する仮定も過去に反する仮定も動詞は同じ形で表します。#1でも触れられていますがロシア語の “бы + 過去形” というのは形態的には西欧語の過去完了(大過去)に相当するもので、現在に反するものまでこの形で表すのは特異ですが、時制はやはりずれています。スラブ系は一部を除いて過去時制を一本化する傾向が強く、過去完了は使われなくなりつつあります(ロシア語に至っては過去系の時制は一つしかありません)。そのため本来の「過去完了」は現代では「仮定法」あるいは「接続法」と感じるのが普通です。

接続法現在まで含んで接続法全般の用法となると、時代が下るほど使用範囲が狭くなる傾向がありますが、その用法は言語によりさまざまです。じかし時制をずらす「反実仮想」については何らかの形で受け継がれていると言えます。

「なぜそうなるか」について説明されていることはほとんどなく、そういう決まりだと書かれていることがほとんどです。ただ、あるラテン文法書に次のような記載があります。


…事実が明らかに存在しない場合、事実とは反対に<かりにその事実があったら>とという状況を考えることも、ひとしく<主観的内容>であることにかわりはない。(←これ(主観性)がそもそも接続法(仮定法)を使う根拠)
そしてこの時は、話者の心中に<回想>が働くため…(以下、用法の説明。回想を時制がずれる根拠とし、日本語の「~だったら」と比較している)


これも一つの考えに過ぎないもので、本当のところは分からないというのが実際でしょう。「距離感」というのも、ことに接続法が単純化して形態というより用法に重点が置かれる英語において(特に広く教えられている英語であるからこそ)考え出された便法であると思います。距離感だけでは時制がなぜ “古い方へずれる” のか説明がつきません。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

幅広い言語からの説明ありがとうございました。英語における「仮定法では時制を一つ前にずらす」という考え方(教え方)と、他の言語における「接続法には接続法の活用がある(≠単純に直説法で一つ前にずらせばいい)」というのが自分の中で矛盾していたので質問させていただきました。
ありがとうございました。

お礼日時:2010/12/01 22:04

be動詞についてのみ説明


この仮定法でつかわれるwereというのは古英語(日本で言う古典のようなもの)のなかで、仮定法でつかう仮定形のwereというのが今の仮定法でのwereなのです。したがってbe動詞の過去形のwereではありません
    • good
    • 0

簡単に「過去形」と言いますが、英語には「直説法過去形」と「接続法過去形」があることをご存知でしょうか。

http://www.fortunecity.com/bally/durrus/153/gram …を参照のこと)
>英語の仮定法過去の考え方として、「現実から距離感を感じるから過去形を使う」という説明を耳にします。
「仮定法過去」という構文は「現在における非現実な条件文」というべきですが、それで使われる動詞は「接続法過去形」ですよ。
問題は、「接続法過去形」がなぜ「現在における非現実」を表現するのかということですね。
「接続法」は話し手が「出来事」を想定していることを表すのに使われます。その過去形を使って出来事を想定するときは、現在と過去を比較して過去にはそうだったかもしれないが現在の現実はそうではないのだがということを頭に思い浮かべているということになります。つまり現在における現実性はかなり低いということになりますね。
>実際のところ、仮定法の考え方と過去形には関係があるのでしょうか。
だから、ある意味であるといえますね。
>それとも長い歴史の中で英語の仮定法が「たまたま」過去形を用いるようになったのでしょうか。
英語の接続法は時代とともに衰退していき、直説法と同じ形に多くがなりましたが意味的には違うものであるということを忘れてはいけません。

以上、参考になれば幸いです。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ありがとうございました。英語の仮定法があまりにも変化・活用が簡素化されていることが疑問になったのです。(現実の仮定なら過去。過去の仮定なら過去完了というように)他の言語の接続法には膨大な活用が残っているにもかかわらずです。そこで「仮定法は距離感を表すから過去形にするんだよ」という省略された説明に違和感を感じたしだいです。

お礼日時:2010/12/01 22:13

直説法(普通の)過去形


仮定法過去形

これは同じ過去形でありながら,使い方が違うというのでなく,
本来別の形ということです。
古代の英語では別の形だった。

直説法過去形
仮定法過去形
という別の形として分類されていました。
形が似ていることもあり,同じく「過去形」となっています。

現代の英語でも,常に were を用いるところに,本来別の形であった名残があります。
もっとも,最近の英語では(特に略式では)was を用いることも多く,
両者の区別はほとんどなくなっていると言えます。
すなわち,現代では英語圏の人は特に両者を区別せず,とにかく過去形として感じている。

ドイツ語の接続法第二式などを見ても,過去形と似ています。
どこかに,いわゆる仮定法は過去と関係があるのは間違いありません。
ただ,本来,英語でも普通の過去形とは別の形。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ありがとうございます。英語の参考書には仮定法過去形の活用表が載っていることは皆無なので(不要だからかもしれませんが)、文法的に言ったら説明足らずではないかと疑問に思ったのです。

お礼日時:2010/12/01 22:18

さあね、ドイツ語では過去形と接続法II式の形が似ております。

フランス語では直説法の半過去を用います。ロシア語では仮定法は 過去形+быで作ります。日本語でも非現実の仮定には「~ったら」というように過去を表す助動詞を使います。
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!