No.5ベストアンサー
- 回答日時:
すいません。
もう一箇所訂正します。>まず「取消がいつか」ということを考慮する必要があります。
と書きましたが必要ありません。
単純に、
強迫の場合には詐欺取消しと異なり、第三者保護規定がないので第三者は保護されません。取消しによって代理人の行為は無権代理となりますが、場合によっては、表見代理の適用により保護される余地があります。
だけで十分です。
もう少し説明を付け加えるなら、
取消し後に委任状を取戻さないで放置したために無権代理人が当該契約を締結したなどの事情があれば帰責性を認定できるので表見代理の成立が認められることもありますが、契約が取消し前であれば、帰責性を認定できることは稀だと思います。
くらいを書けば良いと思います。
つまり、取消しがいつであろうと、第三者保護規定がない以上は、相手方は保護されないのが原則であることに変わりはなく、無権代理となることにも代わりもないですし、それが表見代理によって保護される余地があることにも変わりはありません。単に、取消しのタイミングによって帰責性があるかどうかに影響することが考えられるという「事実上」の違いがあるというだけです。ですから、法律的な構成としては全く同じなので特に区別する必要はなく、ただ、帰責事由の有無に事実上の影響がありうるということに留意するために一応の区別ができるという程度の話に過ぎないということです。
この回答へのお礼
お礼日時:2011/01/28 16:31
前回に引き続き、お世話になり、どうもありがとうございます。
実はまだまだ自分では理解できないことがあります。もちろん、理解するために、伊藤真さんの本を読んだりもしているのですが、なかなか・・・。
もしかしたら、また質問するかもしれません。
もし、縁があれば、また面倒見てください(笑)
本当にありがとうございました
No.4
- 回答日時:
一つ間違えました。
>2.代理人Aと相手方Cの関係は、代理権の消滅により売買契約が無効となった場合には、無権代理人の責任(民法117条1項)を問うことができます。先の質問同様、不法行為の成否を論じることもできますが、通常は117条責任だけで十分です。有効ならば何もありませんね。
と書きましたが、
2.代理人Aと相手方Cの関係は、代理権の消滅により売買契約が無効となった場合には、無権代理人の責任(民法117条1項)を問うことができます。先の質問同様、不法行為の成否を論じることもできますが、通常は117条責任だけで十分です。また、判例では、表見代理が成立する場合でも、相手方は117条1項の責任を追及することができます。つまり、表見代理の成立と117条1項の責任は、相手方が任意に選択することができます。
と訂正します。
No.3
- 回答日時:
ご要望にお応えしてやってきました(今日は割と暇なので。
いつもこうとは限りませんので、過剰な期待はしないでくださいね。)。1.覆せないです。前の質問の回答でもさんざん書きましたが、「代理行為は代理人には一切効果帰属しない」です。つまり、「代理人は代理行為によって利益も不利益も受けない」のです。
そのために、民法102条に「代理人は、行為能力者であることを要しない。」という規定があります。即ち、代理人が未成年者(制限行為能力者)であっても代理行為には影響しないということです。代理人が制限能力者であることによる不利益は、その代理人を選任した本人が負うだけなので代理人自身に取消しを認める必要はないし、そのような人物を代理人に選んだのは本人の落ち度なのだから本人が責任を負うべきだということです。よって、代理人の制限行為能力を理由に代理人はもちろん本人も代理行為を取り消すことはできません。
と、これだけで十分なのですが、補足説明をしておきますと、代理権授受の原因となった契約を「代理人が」制限能力を理由に取り消した場合、代理行為の効果はどうなるのか?という論点はあります。代理の法的性質論とも絡む話なのですが、通説的には、原因契約の取消しにより代理権授受の効力もまた消滅する(有因)が、それは、将来効のみであり、取消し前の代理行為には影響しないと考えます。取引の安全を図って相手方を保護する必要と代理人には効果が帰属しないので遡及的に無効にする必要がないという二点が理由になります。なお、逆の場合、つまり、「本人が」取り消した場合は話が違います(これが2の問題ですね)。詳しい話は、適宜の民法の教科書を読んでみてください。
2.通説の線で簡単に言ってしまえば、民法96条1項により「強迫による意思表示は取り消すことができる」のでBはAとの委任契約または代理権授与行為を取り消すことができます。意思表示を取り消せば契約は遡及的に無効となり、代理権授受の効力もまた遡及的に消滅すると考えます(代理の法的性質論によっては違うことがあります)。そして、強迫の場合には、詐欺の場合と異なり96条3項のような第三者保護規定がありませんから、第三者Cは保護されません。これが原則論です。まず、これを押さえておきます。
しかし、例外的に保護される場合がないわけではありません。問題の趣旨がそこまで答えさせるものかどうかは判りませんが、仮にそこまで答えるものとすれば、まず「取消がいつか」ということを考慮する必要があります。
a.取消しがAが代理人として行った売買契約締結「前」の場合には、Bが委任契約を取り消せば代理権もまた遡及的に消滅し、Aの代理行為は無権代理となります。つまり、取消し後の第三者については、無権代理の相手方保護の問題として表見代理の成否を論じることになります。例えば委任契約を取り消したにもかかわらず、委任状等を回収せずにいたりすればBの帰責性を認めることができるので、表見代理によってCを保護することができる余地が出てきます。
b.取消しが売買契約締結「後」だった場合はどうでしょう?これも無権代理になるのは同じなのですが、aとは違って帰責性を認定できることはまずないでしょう。すると、原則どおり保護されないと考えるしかありません。取消し前の第三者については、詐欺であれば96条3項によって保護することが可能ですが、強迫の場合にはこれはできません。
というわけで、
1.本人Bと相手方Cとの関係は、代理権が消滅すれば原則として売買契約は無効ですが、例外的に、表見代理の適用によって有効とする余地があります。
2.代理人Aと相手方Cの関係は、代理権の消滅により売買契約が無効となった場合には、無権代理人の責任(民法117条1項)を問うことができます。先の質問同様、不法行為の成否を論じることもできますが、通常は117条責任だけで十分です。有効ならば何もありませんね。
3.代理人Aと本人Bとの関係は、委任契約を取り消しても売買契約が有効となった場合には、これも先の質問同様、不法行為の成否を論じることができます。委任契約自体は取り消していますし、委任契約の履行上の問題により損害が発生しているわけではないので債務不履行の問題ではなく不法行為で構成します。
無効ならば何もありませんが、別途、強迫行為それ自体を捉えて不法行為を論じることはできます。もっとも、そこまで論じる必要はないと思います。ことに、民法総則の問題であれば、不法行為は一切考慮しなくてかまいません。
ところで、売買の目的物が「不動産」なので、177条の対抗問題または94条2項類推を検討することができそうにも思えますが、順次売買により所有権が移転したという場合ではないので、論じるのは的外れでしょう。
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