
取得時効後の第三者の関係の質問です。
<事例>
Bは甲土地を他人の土地と知りながら自己の通行のために舗装し、20年以上占有した。
その後Aが甲土地を譲り受け、登記を備えた。
AはBが占有している事実を知らなかったが容易に知ることは出来た。
定番の問題なのでBがAに所有権を対抗出来ないのは明らかですが、
なぜか地役権は登記なくして対抗できるようです。
理由は
「Aが容易にBの長年の占有を知ることが出来たにもかかわらず、Bが地役権を対抗出来ないのは妥当ではない。
通行地役権は物理的状況から何らかの利用権の存在を認識できる特殊性があるので、
(1)承益地が継続的に利用されていることが客観的に明らかであり、かつ(2)Aがその事実を知り得た場合には、登記のケンケツを主張する正当な利益がないため」
だそうです。
なぜこの理論が所有権にも当てはまらないのでしょうか。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
No.2の回答に対する補足欄にさらに回答します。
御質問の全体の雰囲気からして、現実に困った事案があるということではなく、
学習なり試験対策の関係で質問されているのだと思います。
>という感じでバランスを考えた、と理解して大丈夫ですかね?
私は新司法試験のことはわからないのですが、
旧司法試験の論文式では、論点間の整合を現場で考えさせる
モノがあり(「ひねり」などと言っておりました)、
仮に「地役権の場合と所有権の場合のそれぞれについて論ぜよ」という問題が出た場合、
淡々と判例の帰結を書くだけでは今一つで、
整合を「敢えて図る」か「敢えて図らない」か
対応する必要があり、No.2は私なりの両方の作戦の例であるとも言えます
(その説得力は保証しません)。
私の「敢えて図らない」作戦の理解としては真意が伝わっているものと
思いますが、H10年判例が地役権事例についてあの結論を立てるとき
「隣地等の通路について所有権時効が問題となる場合」とのバランスを
考えていたかどうかはわかりません。
判例はおそらく考えていないと推測しますが、仮に質問者さんがゼミの発表であるとか
卒論の課題等でこの疑問に取り組んでいるのだとしたら、
H10年判決の調査官解決を読むことは必須でしょうし、
判例評釈も読み潰していくべきかと思います。
論述式の試験対策として勉強中に浮かんだ疑問なら、
こんなことは事前に準備してもキリがないので、
現場で考えるべきことと開き直ったほうが合格に近づくと思います。
>10年(もしくは20年)占有できれば、時効取得できることは決定ですよね?
まあ、そう考えてよいと思います。
ただ、厳密なことをいうと、細かいですが、
H10年判決は「特段の事情」の留保をつけており、
若干の例示もしているところです。
参考URL:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_2010031912 …
最後まで回答して頂き本当にありがとうございました!
長々とすみませんでした。
「バランスを図る」か「敢えてバランスを図らない」か・・・
判例も「敢えてバランスを図らない」ものはちょいちょいありますよね。
そうですね。こんなことを考え始めたらキリがありません!
私の悪いくせで一度疑問をもったらついつい深入りをしてしまうんですよね・・・
特に文系(?)は深入りはまずいです。
とは言っても今回はkumahigecoffeeさんのおかげでだいぶスッキリしました!
ありがとうございました!
今日はいい日になりそうです!
No.3
- 回答日時:
えっと、No.2を読みかえして、最終三行がわかりにくいかもしれないので訂正。
【訂正前】
占有者は排他的利用をしている者といえ、
権利の存在についての善意・悪意を問わず、登記をすべきではないかと
評価できるように思われるからです。
【訂正後】
占有者は排他的利用をしている者といえ、
その排他的利用の反面として
権利の存在についての善意・悪意を問わず、登記を要求してもよいのではないかと
評価できるように思われるからです。
No.2
- 回答日時:
補足がついているのに気がつきました。
もう見てないかもしれませんが、ひとまず再度回答を。
補足を見て、相談者さんの問題意識がわかりました。
なるほど難しいですね。先の回答は質問の真意とは
かみ合っていなかったかもしれません。
いわゆる「取得時効と登記」の論点については、
昭和41年には時効完成の前後で区別する、御承知のとおりの判例理論が確定して
いたところ、平成10年という比較的最近の時点に地役権についての
判例が出たわけですよね。
「取得時効と登記」の論点にも、学説上は類型説と呼ばれる説があり、
境界紛争型の事案については占有優先とする考えがあったわけですが、
平成10年判決はあくまで177条「第三者(×権利変動)」の解釈の中でありますが、
類型説と若干類似したアプローチをとり、
通行地役権については原則的に地役権者側の保護を優先したものと
言えるように思われます。
さて、このように考えると質問文の
「なぜこの理論が所有権にも当てはまらないのでしょうか」
というのも、若干ぐらついてきませんか?
通路開設等による認識可能性(=取得者の帰責性)に鑑みれば、
通路地所有権(地役権ほど一般的ではないでしょうが、
境界を勘違いし、開設した通路を塀で囲うなど排他的に利用する場合など
ありえなくはないと思われます)についても、
認識可能性はほぼ同じである以上、
同様の基準で取得者の第三者性を否定することもありうるように思います。
他方、地役権について打ち立てた理論を、所有権では区別し
あえて打ち立てる必要はないという逆の考えも成り立ちえます。
これは地役権が他人の土地を少しお裾分けしてもらう権利であることに対し、
所有権は排他的権利であり、その時効取得が問題となる場合は
占有者は排他的利用をしている者といえ、
権利の存在についての善意・悪意を問わず、登記をすべきではないかと
評価できるように思われるからです。
回答ありがとうございます!
少しわかったような気がします…(^_^;)
難しいですね…
要するに
所有権には排他性があり、地役権には排他性がないため、
排他的権利である所有権までをも主張したいなら移転登記請求できたんだから登記くらい備えろ、という感じですかね…。
地役権も登記請求できるが、
そこまで強力な権利でもない(排他性がない=第三者にもそこまで酷じゃない)し、地役権を主張できないとするのは可愛そう…
だから登記なくして主張させてあげよう。
という感じでバランスを考えた、と理解して大丈夫ですかね?(本当にめんどくさいヤツですみません…)
あと最後に
この理論でいくと地役権は、
第三者が取得時効完成前に現れるか完成後に現れるかを問わず、登記なくして対抗できそうですね…
10年(もしくは20年)占有できれば、時効取得できることは決定ですよね?
No.1
- 回答日時:
おそらく御承知とおもいますが、
177条の「第三者」は、判例・多数説では、
「登記のケンケツを主張する利益を有する者」という
価値評価を比較的大きく含む実質的な基準と解されているわけで、
それゆえ背信的悪意者論とかがあるわけです。
地役権を所有権と対比した特殊性は、
・第三者側から見て、地役権の存在が所有権の場合より明白である。
例えば通路の開設など「表現かつ継続」の典型例は、
「公然平穏」の場合よりも明白であると思われる。
・占有者側から見て、地役権を登記することはほとんどなく、
承役地所有者に登記協力請求を提訴などの行為を
要求するのは酷である。
ということが言えると思います。
ニュータウンのようなところではなく、
それ以外の私道に囲まれている従来型の日本の住宅地についての
現状認識があれば、地役権の特殊性を認めたH10年(だったか?)判例は、
結論において妥当であり、よって特に反対説も見当たらないのだと思います。
この回答への補足
回答ありがとうございます。
(1)第三者側から見て、地役権の存在が所有権の場合より明白である。
⇒そうですね。
Bは舗装までしているし、第三者(A)から見て、何かしらの利用権があると思うのが自然です。
しかし、なぜその「利用権」の中に地役権が含まれるのに所有権が含まれない理由を知りたいです。
むしろ本件Bは舗装までしているし、一般人や第三者から見れば甲土地はBの所有している土地だと考える方が自然ではないでしょうか。
なぜ「地役権の存在の方が所有権より明白」だと言えるのでしょうか。
(2)占有者側から見て、地役権を登記することはほとんどなく、
承役地所有者に登記協力請求を提訴などの行為を
要求するのは酷である。
⇒これに対しては所有権の場合でもあてはまると思います。
本件でBは特に地役権の設定を受けたわけでも、土地を譲り受けたわけでもないので、どちらにせよ登記の協力を請求することを要求するのは酷な場合もあると思います。
だから時効完成前の第三者との関係では登記なくして対抗できるんですよね。
ちょっと反論みたいな感じになってますけど、どうか気を悪くされないでください…。
本気でわからないんです。
判例は結論は妥当だと思いますが、論理一貫していないように感じてしまいます。
本当にお願いなんですが、私にも判例の本旨を教えて頂けると嬉しいです。
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