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無限に長い一様なソレノイドコイルは内部に強い磁界(磁束)を持ちますが隙間なく巻くと外部に磁界が存在しないと言われています。コイルに流れる電流が作る磁界が隣同士で漏れをキャンセルするからと理解しています。ところでコイルの外側で回転方向でかつ電流の向きにベクトルポテンシャルが存在します。私の質問はこの空間に存在するベクトルポテンシャルが持つ電磁気的エネルギーを定量的に知りたいための質問です。


1.電磁場の空間のエネルギー密度は1/2[eE^2+uH^2]ですからこの式に従えば磁場を持たないベクトルポテンシャルの持つエネルギーは存在しないことになりますがこれで正しいのでしょうか。

2.電流をゆっくり時間変化させたとき回転方向に電場が生じます。E=-dA/dt これははっきり値を持ちますのであたかも無から有を生じたことになります。どう考えればよろしいのでしょうか。

3.誘起された電気エネルギーがソレノイドから離れた空間で値を持つとすればそのエネルギーは電流源から供給されたことにするのが合理的ですが、空間が離れているため磁界も存在してポインティングベクトルを構成する必要があるように思います。磁界はこのシステムでは漏れない構造ですから外部に現れようがありません。
エネルギー移動がどのような仕組みで起きると考えればよろしいのでしょうか。

よろしくお願いいたします。コメントでも結構です。ご回答をお待ちします。

A 回答 (3件)

1.電界と磁界のもつエネルギーについては考察され、了解されています。


 ところが、「ベクトルポテンシャルの持つエネルギー」という表現は聞きません。
 すなわち「電界と磁界のもつエネルギーをベクトルポテンシャルで表わすと」みたいな言い方になるのではないでしょうか。

2.疑問の意味をとらえかねますが、逆に考えるとコイルを貫く磁束があってもコイルには起電力は発生しません。磁束が変化すれば、起電力が発生します。すなわち、あなたの言い方をすれば、「無から有を生じたことになります」

 ただし、コイルの電流が変化したとき、外部に電界が生じるかは私にはわかりません。

3.たとえば、点電荷があれば、離れたところに電界エネルギーがあります。これをポインティングベクトルと関連付けることはできません。
 なお、ポインティングの定理は、何でもかんでも電磁エネルギーの伝送を意味しているわけではありません。

 ポインティングの定理を使用すると電磁エネルギー伝送としてとらえられる場合がある(あるいはこれでしか理解できない)ということです。

 たとえば、別々の静電界と静磁界を直交させた場合は何のエネルギー伝送もありません。けれども、この場合もポインティングの定理は成立しています。

この回答への補足

さっそくご回答ありがとうございました。質問を少し捕捉させて頂きます。

1.>ところが、「ベクトルポテンシャルの持つエネルギー」という表現は聞きません。

私も今まで考えたことがありませんでした。しかしベクトルポテンシャルAが時間変化するとその場で変化の速さに応じて電場が発生します。もっともAを変化させる信号がどこかからその空間の1点に到達しないとAは変化しません。するとその信号にエネルギーが載っているのかも知れませんね。そこのところが解らなったわけです。

2.誤解を生む質問の仕方でした。もし磁場を伴わないベクトルAがエネルギーを持たないと認めればコイルの外部に電磁気的エネルギーはないわけですからコイルの電流と離れたあらゆる場所で電場のエネルギーが生まれることを無から有が生じると表現したわけです。エネルギーが空間を伝わるなら問題はありませんがその時には磁界も存在しないとエネルギーをコイルの電流近辺からあらゆる空間にエネルギーを運べないのではと思ったわけです。
もしエネルギーが運ばれなかったらもともとAしかない空間に電場のエネルギーが生じたことになります。これを質問しようとしたわけです。それから回転方向という言葉を使いましたがこれはコイルが巻かれている方向ということです。

>コイルの電流が変化したとき、外部に電界が生じるかは私にはわかりません。

ベクトルポテンシャルAは電流の向きです。離れると小さくなります。

3.電磁エネルギーを空間的に移動させるときには必ずポインテイングベクトルが発生します。そうでない場合は経験したことがありません。私の質問は漏れないコイルなので困ったなあということです。電界が時間的に変化するときに磁界が発生して(rotH=dD/dt)ポインティングベクトルを構成するのでしょうか。

>点電荷があれば、離れたところに電界エネルギーがあります。これをポインティングベクトルと関連付けることはできません。

この電界は縦波ですから確かにポインティングを構成しませんね。今は横方向電磁界で考えています。

よろしくお願いします。

補足日時:2011/06/10 01:04
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1.無限長、直流ソレノイドコイル外のエネルギ密度


 電磁気学の標準解釈によればエネルギは零でしょう。

2.電流をゆっくり時間変化させたときの電場
 周回方向に関する限り電場は零です。巻線導体が存在します。導体に沿った電場は零 が電磁気学のお約束です。磁場の変化による誘導電場 -dA/dtは確かに生じますが、それが導体電流によるなら電場は零に相殺されます。電場の式は、E=-dA/dt ではなく、E=-gradV-dA/dt でしょう。E=-gradV-dA/dt が零になるよう、導体内の電荷は密度分布を変え、静電ポテンシャルを変化させます。

http://okwave.jp/qa/q5967876.html  のANo.4を参照してください。図にワンターンコイルにおける電荷密度の具合を描いてあります。このリングが直列に接続されてスタックされたとしましょう。電荷密度はスタック毎に累積的に変化します。従って、ソレノイドの軸に平行な電場は零ではありません。その累積がソレノイドコイルの端子間電圧に相当するのです。周回方向では、-dA/dt を -gradV が打ち消す一方で、軸方向には -dA/dt が零の為、-gradV が積み上がるという具合でしょう。なお、この電場のエネルギは、電源から調達される場合と、ソレノイドの内部磁場エネルギの変化から調達される場合が考えられます。

3.トランスとしての電磁誘導のしくみ
 無限ソレノイド単体では外部の磁場はありません。ソレノイドを二次巻線で囲みましょう。この状態では大した変化はありません。しかし負荷電流を取れば状況が変わります。二次巻線の電流によってその内側、すなわち、一次ソレノイドとの間の円筒形の隙間に磁場が生まれます。軸に平行な方向です。この部分のポインティングベクトルは一次巻線円筒から二次巻線円筒に放射状に向かう事になります。ポインティングベクトルは E×H では無く、エネルギ流の実態 -dA/dt×Hで計算することに注意して下さい。 ちなみに外部回路との接続部では、-gradV×Hで計算する事になります。

単位長にV[V]が生じ、電流がI[A]だとして、ポインティングベクトルの総電力が V I [W] になるか検証してみましょう。一次二次巻き数密度を n[1/m]、半径 a[m]とします。 H = nI、-dA/dt = V / n / (2πa) であり、ポインティングベクトルの大きさは、- dA/dt H = ( V / n / (2πa) ) n I 、整理して、
V I / (2πa) [W/m^2] となります。
単位長の電力は、円筒の単位長面積(2πa)を乗じて、うまく V I [W] になるようです。

この回答への補足

veryyoungさん、ご回答ありがとうございます。少し補足させていただきます。
1.については同じご意見でありがとうございます。

2.>電場の式は、E=-dA/dt ではなく、E=-gradV-dA/dt でしょう。
ソレノイドの外側で軸の周りを1回転したときスカラーポテンシャルはもとに戻りますから最初から0にして考えております。わずかなソレノイドの傾きから生じる電界は考えることができますがさらに半周回転して元の位置で電場の線積分は0になります。この理由でE=-dA/dt としました。細線化の極限状態を考えれば良いと思っています。

>導体に沿った電場は零 が電磁気学のお約束です

これは境界条件のお話ですね。導体近傍ではその通りですが少し離れると値を持つ場合はいくらでもあります。準静的ではない変化をした場合と言ったほうが正確かもしれません。境界条件は遠方まで場に強く制限をかけることはできないと思いますがいかがでしょうか。この意味で電流に時間変化をさせたとき必ず少し離れた空間には回転方向の誘導電場が現れるのではないかと思ったわけです。自信はありません。

>軸方向には -dA/dt が零の為、-gradV が積み上がるという具合でしょう

軸方向の電場はいくら細線でも積みあがった有限な値を持つことはよく理解できます。そうでないとコイルの両端には電圧が生じないことになりますから。


3.>無限ソレノイド単体では外部の磁場はありません。

この問題をトランスで説明されても理解に苦しみます。私はあくまで空間のエネルギー移動を問題にしているのです。磁場が全くなければ私の知る限り電場だけでエネルギーは勝手に移動することはできません。供給源は特定できても移動のメカニズムは別の問題と考えています。また2次側のコイルの電流が作る磁場で説明されてもこれとは全く別の問題設定になります。私はあくまで磁場の漏れないコイルの外側のエネルギー移行を論じたかったわけです。

よろしくお願いします。

補足日時:2011/06/11 12:56
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ANo.2にいただいたコメントに関してです。



>ソレノイドの外側で軸の周りを1回転したときスカラーポテンシャルはもとに戻りますから最初から0にして考えております。

スカラーポテンシャルが零では、コイルの両端に電圧が生じませんよ。コイルの両端に観測されるのは、導体の存在によって、その周回方向で誘導電場 -dA/dt とバランスがとれるように、帯電によってもたらされたスカラーポテンシャルだと思います。周回方向電場が零になるよう、誘導電場 -dA/dt が導体の帯電による -gradV と相殺するからこそ、コイル両端に誘導電場の積分値がスカラーポテンシャルとして結実するのでしょう。 コイル両端電圧を交流電圧計で測るとして、その測り方はスカラーポテンシャルの測定になっていますよね。

>>導体に沿った電場は零 が電磁気学のお約束です
>これは境界条件のお話ですね。導体近傍ではその通りですが少し離れると値を持つ場合はいくらでもあります。準静的ではない変化をした場合と言ったほうが正確かもしれません。境界条件は遠方まで場に強く制限をかけることはできないと思いますがいかがでしょうか。この意味で電流に時間変化をさせたとき必ず少し離れた空間には回転方向の誘導電場が現れるのではないかと思ったわけです。

誘導電場と、真の電荷による電場の二つがありますよね。二つの合計が(断り書きなしの)電場です。ソレノイドの周回方向電場は遠方に至るまで零だと思います。しかし誘導電場 -dA/dtは存在しています。なおエネルギは誘導電場では無く「電場」で計算する筈です。また軸と平行な電場は電荷由来で生じます。

>2次側のコイルの電流が作る磁場で説明されてもこれとは全く別の問題設定になります。

2次にエネルギが取り出される前に、ポインティングベクトルによる放射、つまりエネルギの散逸があっては困るではありませんか。あなたの設定は磁場もれの無いソレノイドですよね。 2次側電流でポインティングベクトルが作られている事が、因果律的に許せないという事でしょうか。ローレンツゲージでのエネルギ伝搬的な記述を期待されているのかもしれませんが、状況が不向きではありませんか。交流の定常状態をクーロンゲージ(全世界が即時に関連進行するバランスの世界)で感じる例では駄目なのでしょうか。

この回答への補足

コメント頂いたお蔭で大分問題点が整理されてきました。多くの点で考え方の一致をみて心強く思いました。しかし幾つかの点でいまだ見解が分かれています。私の問題設定の説明が曖昧なためと図面を使っていないせいではと思っています。

>誘導電場と、真の電荷による電場の二つがありますよね。二つの合計が(断り書きなしの)電場です。なおエネルギは誘導電場では無く「電場」で計算する筈です。また軸と平行な電場は電荷由来で生じます。

ここは全く見解が一致しております

>ソレノイドの周回方向電場は遠方に至るまで零だと思います。

このポイントが相違しています。問題はスカラーポテンシャルの勾配の回転方向成分の考え方の違いです。私は前回述べたように軸方向は値を持ちますが回転方向は無視できるという見解を述べました。細線の極限を考えての意見です。したがってーdA/dtを打ち消すことはできません。それにスカラーポテンシャルはソレノイド場を表すことはできませんから1周積分すれば0になります。回転方向の電界がなければもともとこの問題提起はありません。

veryyoungさんもご指摘のように磁界を伴わないAはエネルギーを持ちません。Aが時間変化して誘導電界が現れるならそのエネルギーはどこから供給されたのかというのがこの問題の出発です。veryyoungさんは回転電場は現れないとおっしゃるgradVがうまく打ち消してくれるからという論調です。私もそうなればすっきりすると思うのですが・・・。

ベクトルAの満たす波動方程式はご存知のように波源が電流です。したがってその事象は光速で径方向に広がっていきます。いわゆるハンケル放射です。なぜ放射するかということですが時刻0に平衡状態にあるAと電流の組み合わせを考えます。A(t=0,r),  この点rに向かってベクトルAの変化が広がって足しあわされます。この時-dA/dt が発生して電場が現れます。磁界はrotAによってt=0の直後からソレノイドの軸方向に生じます。したがって外向きのポインティングベクトルができあがりエネルギーを放射すると考えるようになりました。

これだともともとのベクトルポテンシャルがエネルギーを持ってなくても外向き
円筒波が電流からエネルギーを運ぶわけですから問題はありません。そのとき同時にベクトルポテンシャルの変化の事象は到達してdA/dtは値を持ちます。放射エネルギーが広がるのを避けることはできませんがアンテナを構成していて特別問題ありません。面白いアンテナができそうです。

したがって
>2次にエネルギが取り出される前に、ポインティングベクトルによる放射、つまりエネルギの散逸があっては困るではありませんか。

については困りません。

>2次側電流でポインティングベクトルが作られている事が、因果律的に許せないという事でしょうか。ローレンツゲージでのエネルギ伝搬的な記述を期待されているのかもしれませんが、状況が不向きではありませんか。

場のゲージ不変性がありますからゲージについては特に問いませんが伝搬的とおっしゃたことをまさに考慮しなければこの問題は本質が見えないと思いました。ご議論に感謝いたします。非常に近接した距離の問題を静電磁場の問題として解けないのは大変面白いことです。想像ですが特殊な漏れないコイルを持ち出したからではないかと思います。


漏れないソレノイドコイルの電流を変化させたとき綺麗なTE01モードのハンケル放射が起きるとは予想外でした。またベクトルAがエネルギーを持つためには波源から信号とエネルギーが到達することが必要であることもわかりました。多くのコメントをいただいたことを感謝いたします。

これですべてのつじつまが合いましたので議論を打ち切りたいと思います。
ありがとうございました。

補足日時:2011/06/12 20:00
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この回答へのお礼

ご議論ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

お礼日時:2011/06/12 20:01

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