一回も披露したことのない豆知識

 質問自体がうまくまとめられていないかもしれないのですがよろしくお願いします。
1) 動産先取特権による物上代位の目的となる債権について、一般債権者が差押又は仮差押をした後であっても、先取特権者は物上代位権を行使することができるとされます。
 この理由はそもそも一般債権者の仮差押えはもちろん差押えも304条にいう「払渡し又は引渡し」には当たらないからだと思うのですがそういう理解でよいのでしょうか。とするとこの場合、先取特権者は差押えなしに先取特権を行使できるということでよいでしょうか。

2)他方、債権について一般債権者による差押えと抵当権者の物上代位権による差押えが競合したときは、前者の差押命令の第三債務者への送達と後者の抵当権設定登記の先後によって優劣を決すべきだとされていると思います。(最判平10.3.26)

 そこで疑問なのですが第一に1)のように一般債権者の差押えが「払渡にも引渡し」にも当たらないのであれば抵当権設定登記が差押え命令の送達の後であっても、抵当権者が自ら差押えれば物上代位権を行使できるということはないのでしょうか。
 債権譲渡の場合には、その対抗要件が備えられた後であっても抵当権者は自ら差押さえれば物上代位権を行使することができるとされることとの対比で差し押さえの場合に登記の先後がなぜ優劣の基準となるのか理由がわかりません。

 第二は一般債権者の差押えが「払渡にも引渡し」にも当たらないのであれば1)と同じように抵当権者は登記さえ備えておればそもそも差押さえをする必要すらなく、一般債権者による差押命令の送達に対抗することができるということはないのでしょうか?

 第三は上記判例では一般債権者による差押命令の第三債務者への送達と抵当権の登記の先後が問題とされていますが送達されるよりも前に差押えの登記が入れば優劣は両者の登記の先後となるのでしょうか。

A 回答 (4件)

>本来、譲渡禁止特約がついている債権の債権者は第三債務者にとって差押さえ債務者として特定されていると思います。

しかし、第三債務者に転付命令が送達されると仮にそれが確定していなくてもあたかも差押え債権者に債権譲渡されたかのように受け取られるのではないかと思った次第です。

 債権者不確知による弁済供託はできませんが、執行供託をすることができます。差押え等が競合している場合は供託をするのは義務ですが(義務供託)、そうでない場合も供託をすることができます。(権利供託)
 なお、第三債務者は転付命令の確定を知らない間は、執行供託をすることができるという供託先例があります。本来でしたら、転付命令が確定すれば執行手続は完了ですから、確定後に執行供託をすることができないはずです。しかし、それを無効としてしまうと、事実上、第三債務者に転付命令が確定しているかどうか調査する負担をしいることになり妥当ではないからです。

民事執行法

(第三債務者の供託)
第百五十六条  第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2  第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
3  第三債務者は、前二項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
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この回答へのお礼

 わかりました。なんどもお手を煩わせ、申し訳ありませんでした。おかげさまで喉に刺さった骨がとれたようで先に進むことができます。本当にありがとうこざいました。

お礼日時:2011/11/03 10:24

1)今回の回答で「((3)について)債権譲渡の場合で考えてください。

設定登記前に債権譲渡がなされて債権譲渡の対抗要件が具備されたとしても、物上代位を認めるという結論になってしまいます」とあるのですが「債権譲渡」と「差押さえたにすぎない場合」を同じに考えるという趣旨と理解すればよろしいでしょうか。

 判例は、抵当権に基づく物上代位の「差押え」の意義と先取特権のそれとは別の物と捉えているようです。抵当権の場合、差押えはもっぱら第三債務者の保護の趣旨であるのに対し、先取特権の場合は、第三者の利益を保護する趣旨も含むとしています。
 抵当権においては、「差押え」を第三者保護のためとしては機能させないので、別の基準をもって来ざるを得ず、それが登記だとしています。そうすると、競合する債権者が差押えしたに過ぎないかどうかというのは、抵当権においては意味を有しないと言うことなのでしょう。

2)この違いは動産先取特権には公示方法はないが法定担保物権なので特に保護されるが抵当権は約定担保物権なので設定登記なくしては対抗力を有さず、保護されないからということなのでしょうか。

 前述の通り、抵当権においては、「差押え」は第三者保護の機能を有していないのです。一方、動産先取特権の場合、動産先取特権の公示方法がないので、「差押え」に代わる第三者保護の基準がありません。
 この説明に引っかかりを感じるのであれば、御相談者は、判例の第三者保護説はおかしいと感じているからでしょう。

>「優先権保全説の立場からしても、少なくても配当要求までであれば物上代位を認めてもバランスを失しないでしょう」とのことですが「配当要求まで」と限定されているのは直接取立てることまではできないという意味と理解すればよいでしょうか。そしてその実体的意味は差押さえ債権を独占して満足を得ることはできないということでしょうか。

 一般債権者Aが甲債権を差押えた後に、一般債権者Bも甲債権を差し押さえをした場合、Bは配当を受けられるか。

>4)転付命令が確定していなくても第三債務者は差押さえ債権者に弁済しても構わないということですがということはもし当該転付債権が譲渡禁止特約付債権だった場合には転付命令が確定していなくても第三債務者は債権者不確知を理由とする弁済供託ができるのでしょうか。

 先の質問では、差押債権者が一人だけだと思って回答したですが、もしかして、差押債権者が複数いる場合の話だったのですか。

>また実務上、第三債務者は執行抗告がされて転付命令が確定していないということを通常、知り得るもの(ー知るのが普通)なのでしょうか。

 確定しているかどうかは、申立人に確定証明書を見せてもらうか、第三債務者自身が裁判所に確認するしかないと思います。
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この回答へのお礼

 低水準な質問にも関わらず何度も回答を頂き、本当に感謝に耐えません。
1)今回の回答を頂きようやく私の根本的な間違いがわかった?ように思います。私は第三債務者の保護も第三者の保護も一緒くたにしてしまい、どうちらも対抗問題になると考えていました。そのために、H10.3.26の判例とS60.7.19の判例の違いがわからなかったのだと思います。お恥ずかしい話ですが前提問題として第三債務者と差押さえ債権者がまるで対抗関係にあるかのように考えるという初歩的な誤りに陥り、自ら混乱していたのではないかと思います。

 このような混乱に陥った原因について弁解的に言いますと私の理解では優先権保全説の場合、抵当権においても「差押さえ」が「公示」として位置づけられ、第三者対抗要件として扱われているように思ったということがあります。そのために「差押さえ」がすべての学説及びすべての担保権に共通して対抗要件として扱われているかのように「思い込んで」しまったのではないかと思います。
 そして、その誤りを前提にして先取特権と抵当権における差押さえの意味の違いについて判例の説くところを理解できなかったために、さらに混乱に拍車がかかったのではないかと思います。
 お手数をおかけし申し訳ありませんでした。

2)親切な回答を何度も頂き、この上に追加して質問するのは本当に恐縮なのですが債権者不確知を理由とする弁済供託の件についてもし可能ならご教示頂ければ幸いです。

 本来、譲渡禁止特約がついている債権の債権者は第三債務者にとって差押さえ債務者として特定されていると思います。しかし、第三債務者に転付命令が送達されると仮にそれが確定していなくてもあたかも差押え債権者に債権譲渡されたかのように受け取られるのではないかと思った次第です。
 つまり、転付命令が確定すれば差押え債権者に債権の帰属は確定するが転付命令が送達されただけでは債権の帰属はいまだ確定しているとは言えないのであれば(?)、依然として元の差押え債務者に債権が帰属しているという可能性もあるため、第三債務者は債権者が不明であるとして債権者不確知を理由に供託できるのかと思った次第です。(もっとも前回の回答でご教示頂いたように転付命令が確定していなくても債務者に送達されてから一週間経過すれば直接取立てできるということからすると上記のケースがありうるのはその一週間の間に限られるのかとも思ったりするのですが・・・・・)

お礼日時:2011/11/02 09:34

1)


(1)「差押さえや仮差押は304条にいう払渡し又は引渡しには当たらない」という意味と理解して良いです。特定性維持説からすれば当然ですが、後述(2)のように優先権保全説からでも説明をすることができます。

(2)先取特権の物上代位ではなく、先取特権に基づいて差押えをした場合で考えてみると良いでしょう。例えば、一般債権者が債務者の預金債権の差押えの執行をしたとしても、債務者の従業員が給与債権の先取特権に基づき、配当要求終期までに差押え又は配当要求をすれば従業員は優先的に配当が受けられるわけです。であるのであれば、優先権保全説の立場からしても、少なくても配当要求までであれば物上代位を認めてもバランスを失しないでしょう。

2)
(1)触れていないのは、差押えの執行が払渡し又は引渡に該当しないということが、当然の前提になっているからでしょう。

(2)H10.3.26の判例ではなく、H10.1.30(民集52巻1号1頁)の事案の方が判例理論の肝が分かると思います。1月の判例は、差押えが「払渡し又は引渡し」に該当するかどうかが問題になったのではなく、対抗要件を具備した債権譲渡が、払渡し又は引渡しに該当するかが問題になったのです。この債権譲渡がどうやら執行妨害を目的としていたようで、物上代位を認めるという結論は妥当としても、その結論を出すために第三債務者保護説というべき理論展開をしたため、かなり抵当権を保護してしまう結果になってしまいました。いわば、牛刀を以て鶏を割いてしまったということでしょうか。

(3)これも、債権譲渡の場合で考えてください。設定登記前に債権譲渡がなされて債権譲渡の対抗要件が具備されたとしても、物上代位を認めるという結論になってしまいます。いくらなんでも、抵当権者を過度に保護し、あまりにも第三者を利益を害することになります。先取特権の場合、判例は、対抗要件を具備した債権譲渡は、払渡し又は引渡しに該当するとして、物上代位を否定しています。

3)

第一 判例は区別していますね。2)(3)の判例は、抵当権と違って先取特権は公示制度がないので、払渡し又は引渡しの趣旨は、第三者の利益を保護する趣旨を含むとしています。

第二 そもそも特定性維持説というのは、先取特権等の担保権は目的物の交換価値を把握する支配権であり、物上代位の対象(代償物)は目的物の交換価値が現実化した物だから、物上代位というのは当然の制度と捉えているわけです。そして、差押えの意義は、代償物が債務者の一般財産に混入して担保の対象が不明にならないようにするからです。そうすると、転付命令を受けたとしても、その添付命令を受けた差押え債権者が第三債務者から弁済を受けるまでは、債権自体は存在しいるわけですから(差押債権者の一般財産に混入していない。)、物上代位を認めているのです。ただし、民事執行法との整合性は説明しづらいですよね。

第三 債務者に差押命令が送達されてから一週間が経過すれば、差押債権者に取立権が生じますよね。転付命令が確定していなくても、差押えの執行が取り消されておらず、かつ、他の差押等の執行が競合が生じていなければ、第三債務者は差押債権者に弁済しても構わないわけです。
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この回答へのお礼

 懇切丁寧な回答を頂きありがとうございます。勉強不足で理解が足らず、何度も同じような質問を繰り返して恥ずかしいのですがもういちどだけ教えていただけると幸いです。お手数をかけ恐縮ですがぜひよろしくお願いいたします。

 1)今回の回答で「((3)について)債権譲渡の場合で考えてください。設定登記前に債権譲渡がなされて債権譲渡の対抗要件が具備されたとしても、物上代位を認めるという結論になってしまいます」とあるのですが「債権譲渡」と「差押さえたにすぎない場合」を同じに考えるという趣旨と理解すればよろしいでしょうか。
 もしそうであるとすると確かに債権譲渡の場合であれば抵当権の設定登記前に債権譲渡の対抗要件が備えられているにもかかわらず、物上代位権を行使することができるとするのは抵当権者を過度に保護することになると思います。しかし、それと304条の払渡し・引渡しには当たらない「差押さえたにすぎない」場合を同じに考えるという意味がいまひとつわかりかねるのですが・・申し訳ありません。「差押さえたに過ぎない場合」はまだ差押さえ債権自体は債務者に帰属しているのではないのでしょうか。

2)私の当初の疑問の出発点はS60.7.19の判例において先取特権の場合は一般債権者の差押さえの後であっても先取特権者は物上代位権を行使できるとされているにもかかわらず、H10.3.26の判例において抵当権についてはその設定登記が一般債権者による差押さえ命令の送達前になされていなければ物上代位権を行使できないとされているのはどうしてなのかという点にありました。
この違いは動産先取特権には公示方法はないが法定担保物権なので特に保護されるが抵当権は約定担保物権なので設定登記なくしては対抗力を有さず、保護されないからということなのでしょうか。

3)「優先権保全説の立場からしても、少なくても配当要求までであれば物上代位を認めてもバランスを失しないでしょう」とのことですが「配当要求まで」と限定されているのは直接取立てることまではできないという意味と理解すればよいでしょうか。そしてその実体的意味は差押さえ債権を独占して満足を得ることはできないということでしょうか。

4)転付命令が確定していなくても第三債務者は差押さえ債権者に弁済しても構わないということですがということはもし当該転付債権が譲渡禁止特約付債権だった場合には転付命令が確定していなくても第三債務者は債権者不確知を理由とする弁済供託ができるのでしょうか。また実務上、第三債務者は執行抗告がされて転付命令が確定していないということを通常、知り得るもの(ー知るのが普通)なのでしょうか。

お礼日時:2011/10/31 10:23

>この理由はそもそも一般債権者の仮差押えはもちろん差押えも304条にいう「払渡し又は引渡し」には当たらないからだと思うのですがそういう理解でよいのでしょうか。

とするとこの場合、先取特権者は差押えなしに先取特権を行使できるということでよいでしょうか。

  最判昭和60年07月19日民集第39巻5号1326頁は、先取特権者が物上代位に基づいて差押えをしている事案であり、先取特権者が差押えしなくても先取特権を行使できるとまでは言っていません。
 物上代位の差押えの意義について、従来、学説では特定性維持説と優先権保全説の対立がありました。確かに特定性維持説の立場からすると、差押は優先弁済の対象の特定性を維持するためですから、それを突き詰めれば、担保権者自身が差押えしなくても良いというという結論になり得ます。しかし、第三債務者の立場からすると、差押えもしていない担保権者から、「自分に優先権があるので差押債権者ではなく自分に支払え」と言われても困ることになるでしょう。そこで特定性維持説の立場でも、第三債務者に対しては物上代位の意思を明らかにするため、担保権者自身の差押えを要するとしている立場が多いと思います。
 また、差押えをした一般債権者が取立権に基づいて第三債務者から弁済を受けた場合、差押債権者に対して優先権(不当利得返還請求?)までも認めてはいないのではないでしょうか。現実問題としても、自分自身で差押えせざるを得ないでしょう。
 特定性維持説と優先権保全説の違いがなくなってしまうように思えますが、特定性維持説で担保権者自身の差押えを必要とする説は、他の差押債権者が転付命令を受けた場合や債権譲渡された後でも、差押えをして物上代位を行使することができるとしています。
 一方、優先権保全説は、他の一般債権者が差押えをしても、配当要求終期までに差押えすれば優先権を主張できるとしています。ただし、他の債権者が転付命令を受けたり、あるいは、債権譲渡されてしまたった場合は物上代位できないとしています。
 ところで平成10年の判例は、第三者債務者保護説と言うべき理論構成を採っていますが、結果的には、特定性維持説と同様な効力を認めています。しかし、差押債権者が申し立てた転付命令が確定する前に、抵当権者が物上代位による差押えをした事案では、転付命令が第三債務者に送達されるまでに差押えしなければ物上代位は認められないとする判例(最判平成14年3月12日民集56巻3号555頁)を出しており、第三債務者保護説からすると説明しずらい結論を採っています。(優先権保全説の方が説明しやすい。)
 以上の点を踏まえて、もう一度、ご質問を整理されてはいかがでしょうか。
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この回答へのお礼

 大変、丁寧で専門的なアドバイスを頂き、ありがとう御座いました。しかし貴重なアドバイスを頂いたにも拘らず、私には不確かな知識しかないため、依然として自分がどこで考え違いしているのかよくわからない有様です。お手数をかけ申し訳ありませんが、追加で質問させて頂いてよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

1)
(1)S60.6.17の判例において「目的債権について一般債権者が差押又は仮差押の執行をしたにすぎないときは」としている意味は「差押さえや仮差押は304条にいう払渡し又は引渡しには当たらない」という意味と理解してよいでしょうか。
 またこれは3つの学説のどの立場でも同じ見解でしょうか。

(2)この(1)の場合、差押さえ後であっても動産先取特権を行使できるのは「(一般債権者が)差押さえたにすぎない場合」には「担保権にもとづく物上代位権の行使」とはそもそも「対抗関係にたたないためである」と理解してよいのでしょうか。(但し、その場合であってもどの学説によっても先取特権者自ら差押さえることは要する)。

2)
(1)平成10.3.26の判例は「債権について一般債権者の差押えと抵当権者の物上代位権に基づく差押えが競合した場合には、両者の優劣は」と問題を立てていますが1)で取り上げたように「債権の一般債権者の差押さえ」が304条ただし書に言う「払渡し又は引渡し」に当たるのかどうかという点については触れずに、差押さえの「処分禁止効の効力発生時期と抵当権の登記の時期の先後を両者の優劣の判断基準として取上げ、前者については「差押命令の第三債務者への送達によって生ずる」としているように思うのですが読み方としてそれでよいでしょうか。

(2)ところで前述したようにS60.6.17の判例は効力発生時期の先後ではなく、そもそも一般債権者の差押さえは304条にいう「払渡し又は引渡し」には当たらないとしているように思うのですがこのH10.3.26の判例はS60.6.17の判例を前提とした上で差押さえの処分禁止効の効力発生時期を優劣の判断基準としているのでしょうか。

(3)しかし私は当初の質問にも書きましたように一般債権者の差押えが「払渡し又は引渡し」に当たらないとしたらその処分禁止効の効力発生時期がいつになったとしても物上代位権の行使にとって関係がないと思うので、仮に抵当権設定登記が差押え命令の送達の後であっても、抵当権者が自ら差押えさえすれば物上代位権を行使できるのではないかと思ってしまいました。
確かに抵当権の場合、登記が第三者対抗要件として必要なので差押命令の送達時期と抵当権の登記の先後が問題になるのかとも思ったのですが動産先取特権は法定担保物権とはいえ公示方法がないことを考えれば、一般債権者が差押さえをした後になって不意打ちを受けるという点では抵当権設定契約は行われたが未登記の抵当権も先取特権も同じとは言えないのでしょうか。
 にもかかわらず、動産先取特権は送達の後であっても物上代位権を行使できるのに、後に登記を備えた抵当権者は登記が送達に遅れたことをもって物上代位権を行使できないとする理由がどうしてもわからないのです。私の陥っている誤りはどの点にあるのでしょうか。別次元の問題を混同してしまっているのでしょうか。

3)回答について
「特定性維持説で担保権者自身の差押えを必要とする説は、他の差押債権者が転付命令を受けた場合や債権譲渡された後でも、差押えをして物上代位を行使することができるとしています。一方、優先権保全説は、他の一般債権者が差押えをしても、配当要求終期までに差押えすれば優先権を主張できるとしています。ただし、他の債権者が転付命令を受けたり、あるいは、債権譲渡されてしまたった場合は物上代位できないとしています」との回答を頂いたのですが

 第一に前者について登記された抵当権者が物上代位を行使する場合と公示のない動産先取特権にもとづいて物上代位を行使する場合を区別する必要はないのでしょうか。抵当権と違って先取特権は公示がなされないので、債権の譲受人には、物上代位の可能性すらも確認できないということは考慮しなくてもよいのでしょうか。

 第二に債権譲渡と転付命令を受けた場合も区別する必要はないのでしょうか。最判14.3.12は「転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは転付命令の効力を妨げることはできず」としていますが特定性維持説に立つとなぜこのような民執195条3項の規定がある転付命令を受けた場合であっても物上代位権を行使できることになるのでしょうか。

 第三に本筋の質問ではないのですが転付命令の申し立てに対して執行抗告された場合、転付命令は抗告裁判所の決定があるまでは確定しないことになると思うのですが他方、執行抗告によっては執行そのものは停止しないとすると差押さえ命令と転付命令は結局、第三債務者に送達されてしまうことになるのでしょうか(差押命令の申し立てと転付命令の申し立ては通常一体で行われると聞いているので・・・)。
 もしそうだとすると送達を受けた第三債務者は当該送達をもって債権者の地位は差押さえ債権者に移転したとみなして弁済することはできることになるのでしょうか。転付命令が確定していないのにそんなことができるのかと思った次第です。しかし第三債務者とすればそんなことは知る由もないということはあると思うので両者の関係がよくわからなくなりました。

 以上、長々と書きましたがお手数ですがよろしくご教示頂ければ幸いです。

お礼日時:2011/10/26 08:19

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