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A,B,Cの3人が不可分債権(負担分は平等)としてXに対して自動車引渡し債権を有している場合、AがXと自動車の代わりに150万円の給付を受けるとの更改契約を締結。 この場合、この更改契約は、AX間の相対的効果でB,Cに何ら影響はないので、B、CはXに対して引続き自動車の引渡請求ができるが、本来Aに分与すべきであった利益(自動車の3分の1)をXに償還しなければならないとあります。 自動車の3分の1の償還とは、自動車の価格の3分の1をBCがXに還す??ということでしょうか。 そして、その3分の1はXからAへ渡される?ということなのでしょうか? どうも、BCが自動車の引渡しを受けたときのAの受け取分が分かりません。 又、Aが150万円を受け取ったら、債務が消滅し、この消滅は絶対効だからBCの自動車引渡し債権も消滅し、AはB,Cへ50万ずつ渡すということでしょうか? だとすると、結局、AX間の更改契約は、BCにも影響することになりますが?? どうも混乱しています。 お教えくだされば幸いです。

A 回答 (1件)

429条ですね。


429条は不可分債権者一人について生じた事由は428条が定める債権の正常な履行以外のものは他の不可分債権者に対して効力を生じないという原則を示し、ただ、その債権者の一人に実質的に帰属する利益について簡易な決済方法を定めた条文です。

設問では、不可分債権者Aが債務者Xと、自動車引渡し債権を150万円の金銭債権とする更改契約を結んだわけですが、債権者の一人Aと債務者Xとの間に生じた事由の効力はAについてのみ生じ(相対的効力)他の債権者BとCには及ばないから、BとCはなおXに対して自動車引渡し債権を有するわけです。
 ここまでが1項の前段です。

 次は1項の後段「この場合においては」以降の理解で、誰が誰に償還するかの問題。
 後段は、A以外の弁済を受けた債権者(Bが履行を受けたらB、Cが履行を受けたらC)から直接債務者Xに返還することを定めたものです。

 なぜ履行を受けた債権者から債務者に返還するかという理由は次のようになります。
 前段だけなら428条と異なり、BとCはなお本来の給付、つまり自動車一台の履行を請求出来るのですが、それだけで終らせると履行を受けた他の債権者、即ちBまたはCは更改または免除をしたAに利得を分与し、Aは分与された利得を債務者Xに返還しなければならなくなります。しかし、それでは二重の手間でわずらわしいだけでなく、分与を受けたAはさらにそれを不当利得として債務者Xに償還しなければならなくなります。そうすると債務者Xは履行を受けた債権者BまたはCと分与を受けた債権者Aと二重の無資力の危険を甘受しなければならなくなるため、Xの受ける危険を防止する為です。

 次は、債務者Xに返還するものは何か、です。
 債務者Xに返還すべきものが更改または免除をした債権者Aに分与すべき物の持分か価額かについては説が分かれますが、「価額」と解釈されています。ただ設問では150万円という金銭になっていて、金銭はその価額がそのまま価値ですから、持分にしても価額にしても同じです。

 二つめの質問はご自分でも仰っておられるとおり混乱の結果です。質問の後段に「又、Aが150万円を受け取ったら、債務が消滅し、この消滅は絶対効だからBCの自動車引渡し債権も消滅し……云々」とありますが、全く仰る通りです。が、条文は「更改または免除」と定めていて「弁済」は入っていません。ですからこの質問はあなたが混乱された結果の誤りで、理解としては正しいのです。

 最後に、民法が更改または免除とした理由を書いておきます。
 AとXの契約でBとCに対するXの債務者の地位を変更させたり失わせたりすることは出来ないからです。このことは、AとBCの関係においても同じで、Aが不可分債権者でなくなるのは債務者Xに対する関係においてであって、BとCに対する関係では依然として不可分債権者の地位を失わず、ただ債務者Xに対する関係では従来の債権を喪失し、それに基づく請求も出来なくなるということです。

 勉強、頑張ってください。先生も応援しています。
 こういう質問は、昔、教えていた当時を思い出します。物権法より債権法の方が面白いですね。
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この回答へのお礼

詳細なご回答ありがとうございました。
感謝いたします。

お礼日時:2012/03/15 21:53

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