量子力学では、調和振動子の問題の解法には2通りの方法がありますよね。
(1)シュレーディンガー方程式を解析的に解く方法
この方法では、エネルギー固有値がとびとびの値を持つのは、無限遠方で波動関数が0になることを要請した(束縛状態)結果だと理解しています。
(2)生成消滅演算子を用いて解く方法
位置演算子(x)や運動量演算子(p)の線形結合を取って生成消滅演算子(a)や(a*)を定義すると、エネルギー固有値は個数演算子(a*a)だけで書くことができて、その結果エネルギー固有値がとびとびの値を取ります。
(1)の方法では、境界条件が重要だったのに、(2)ではそのような境界条件を課すことなく、エネルギー固有値がとびとびの値を取るのは何故ですか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
波動関数は無限遠で0になるというよりL^2に属するということを基本的な要請と考えた方が良いでしょう。
L^2に属する → 無限遠で0になる。
ということは言えますが、
無限遠で0になる → L^2に属する。
ということは言えません。生成消滅演算子もL^2上でしか定義されていません。固有値が離散的になることを言うためにはどちらにしてもL^2に属することが必要になります。
回答ありがとうございます。
早速ですが、「生成消滅演算子がL^2上でしか定義されていない」ことは、どこで分かるのでしょうか?
それと、波動関数がL^2に属すると、無限遠方で0になるのも知りませんでした。
これは、当たり前のことなんでしょうか?
No.5
- 回答日時:
生成消滅演算子が二乗可積な空間でしか定義出来ない、
または定義しても有効でない、ということは
生成消滅演算子を用いた固有関数の構成の議論を
位置表示で全部やりなおしてみればすぐわかると思いますよ。
たとえば,
H=1/2{-(d/dx)^2+x^2}
=1/2{(a^+) a -1}
a = (d/dx + x)/sqrt{2}
a^+ = (-d/dx + x)/sqrt{2}
とおいて,通常a,a^+ でやる議論を全部やりなおしてみてはどうでしょう。
生成消滅演算子を使った議論も,
境界条件が暗に仮定されていることが分かると思います。
No.4
- 回答日時:
#3のKENZOUです。
う~んん、質問に引き釣りこまれてついついボロがでそうですが、、、(笑い)
>まさに質問したいことは、「一般に微分方程式を解く場合には境界条件が必須となるが、代数的解法ではそんなうるさい事を考えなくても済むという大きな利点がある」ということの本質的な理解なのです
本質的な理解と言われると私の力には負えない質問となりますが、そこはまぁ気楽に考えることにします。
grothendieckさんが書かれているように波動関数は無限遠で0になる2乗可積分関数でなければなりません。これは
数学的には∫[-∞,+∞|ψ^*ψ|]dr<∞ということで、物理的には#3で書いたようにψ^*ψは確率密度を表しますから、波動関数は無限遠で0に収束してくれなければ確率解釈ができなくなり、言い換えると量子力学は一から構築し直さなければならないということになります(確率解釈の例として1個の電子の全空間に存在する確率は∫[-∞,+∞|ψ^*ψ|]dr=1で量子力学の基本が組み上がっている)。
生成消滅演算子aやa*は演算子qやpを1つの衣にくるんだようなもので、これを使って調和振動子の問題を解くのは丁度ハイゼンベルグの運動方程式が演算子(物理量)の時間変化を追うのとよく似ていると思います。この場合、シュレーディンガーの方程式とことなり、波動関数(状態)はモロにでてこないので波動関数の境界条件についての顕な議論はしませんが、結局系の物理的状態は演算子に波動関数を作用されることで得られますから、根底には波動関数の2乗可積分が前提となっているですね。以上、ぐだぐだと書きましたが、整理すると
(1)本質的理解・・・手に負える
(2)直感的理解・・・演算子を相手にするから波動関数の2乗可積分性の議論を後ろに隠すことができる
ということではないでしょうか。
>因にJ.J.Sakurai『現代の量子力学』は手元にあるのですが、今質問したようなことに対する議論は載っていなかったと思いますが...
すみません、ことば足らずでした。言いたかったことは#3での「普通その固有関数を|n>と書いたりしますが、この固有関数を具体的に書けば実はシュレーディンガー方程式を解いて得られた波動関数ψnであるとなる訳です。」という箇所は前著を参照されたし、ということでした。
(P.S)既によくご存知の初等的なことをくどくど言っているようであればご容赦ください。また、下記URLもよろしければ覗いてみてください。
参考URL:http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/hv.PDF
ありがとうございました。
「本質的な理解」と言ってしまったので後悔してますが、知りたかったのは「生成消滅演算子で議論する際、何処に境界条件が隠れているのか?」ということだったのですが、何やら波動力学と行列力学の等価性にまで話が広がってしまいましたね。
2乗可積分性の重要性をとても感じました。
No.3
- 回答日時:
調和振動子のシュレーディンガー方程式(偏微分方程式)を解く場合、その解となる波動関数は無限遠で0、つまりψ(ξ)→0(ξ→±∞)という境界条件を満たすように形を決めますね(←そうしないと確率密度が発散してしまう)。
生成消滅演算子を使って解くと、書かれているように、ややこしい微分方程式と真正面に取り組む必要がなく、代数的な演算で固有エネルギーを求めることができますね。普通その固有関数を|n>と書いたりしますが、この固有関数を具体的に書けば実はシュレーディンガー方程式を解いて得られた波動関数ψnであるとなる訳です。つまり、一般に微分方程式を解く場合には境界条件が必須となるが、代数的解法ではそんなうるさい事を考えなくても済むという大きな利点があるわけですね。この辺の議論はJ.J。Sakurai 現代の量子力学(上)に載っていますから図書館等でご覧になられてはいかがでしょうか。
ありがとうございます。
まさに質問したいことは、「一般に微分方程式を解く場合には境界条件が必須となるが、代数的解法ではそんなうるさい事を考えなくても済むという大きな利点がある」ということの本質的な理解なのです。
因にJ.J.Sakurai『現代の量子力学』は手元にあるのですが、今質問したようなことに対する議論は載っていなかったと思いますが...
No.1
- 回答日時:
生成消滅演算子を用いて解く方法では、
H=(hω/2π)(a^+ a +1)
の正定値性より固有値の下限が存在して
a|0>=0 s.t. <0|0>=1
なる規格化可能な最低エネルギーの状態から a^+ の演算によってエネルギー固有状態を作るのでしたね。解析的に解く方法で、同じように規格化可能な状態を得るためには微分方程式の境界条件を無限遠方で波動関数が0になることを要請して規格化可能な束縛状態として求めるということではないのでしょうか。
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