例えば、以下のようなことがあったとしたら、医師、友人、家族はどうすればいいのでしょうか。
(あくまでもフィクションの話です)
先日、友人が「妊娠した」と言って喜んで報告してくれた。ボクは「おめでとう」と言って温かく見守ることにした。
ところが先日、その彼が相談してきた。妊娠した子が奇形であったと。ボクはどうするべきか?
というのもコレは、私の友人(高校生)が受験した慈恵会医科大学での面接試験での話題の一部なんです
(伝え聞いたものを思い出して書いているので、多少のマチガイがあったらごめんなさい)。
つまり相談された「ボク」は医師であるようです。
私自身は何となく法律の道を進もうと思っているので、こういう話題にふれることは今のところないのです。
が、しかし法律、つまり社会と医療のつながりは深いです。
自分の倫理観を高めるために、質問してみました。
こうしたことに関して皆さんはどう思われますか?
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
1.法律の専門家と倫理
法律の専門家は、自己の倫理観に従うのではなく、「法」と「公序良俗」に従うのです。
公序良俗はひとびとの倫理観をベースにしています。そのひとびとのなかに、あなたも入ります。
しかし、あくまでも「ひとびとの総意」がベースになっているのであり、法律の専門家個人の倫理観が公序良俗のベースではありません。
よって、あなた自身がどのような倫理観をもっていようと、法律家となったあなたはその倫理観に左右されずに、法と公序良俗にしたがって判断するべきです。
2.医科大学の受験問題の回答
回答は、以下のようになります。
「医師が行うべきことは、
・妊娠している本人とその配偶者、
・必要なら、その他の、生まれてきた子どもを直接向かいいれる人たち
に対して、事実を伝えること。
その事実の中には、出生するときの状況、状態、および、その後の予測余命、などが含まれます。
そして、その事実に基づいて、堕胎が可能なケースであれば、
・堕胎の道を選択できること
・当然、堕胎を推奨しているわけではないこと
・出産を選択することができること
を伝えることです。選択は事実を伝えられた人たち、最終的には妊娠している本人が行うことです。」
3.障碍者は不幸か?
そもそも、なぜ、出産前に堕胎を選択するかどうかを問うのか、という倫理的問題が残っています。
その問題は、すなわち、「障碍者が不幸な人生を歩むため」という前提に基づいているように思います。
いえ、これ以外の前提があるでしょうか。
よって、不幸であることを、論理的に証明しなければなりません。
しかし、不幸というのがどのような状況なのかは、きわめて主観的な問題であり、本人以外が決められるものではありません。
例をだしましょう。
あなたは「おれなんか誰にも愛されていない」と毎日思っているとします。これは大変不幸な事態です。
しかし、あなたの周りの人たちは、あなたを大変愛しています。あなたにその愛が届いていないのです。
あるいは、あなたが愛だと感じられることは、他の人から見て、ずいぶんと基準の高いことかもしれません。
いずれにしても、あなたを愛している周りのひとも、不幸です、愛が伝わっていないからです。
しかし、あるとき、彼がその周りの人の愛を気づくときがきます。
このとき、あなたも周りも不幸ではなくなります。
彼にどのような変化があったでしょうか?
実はなにもありません。なにもしていません。気づいた、ただそれだけでした。
・・・何をいいたいか、というと、不幸であるかどうか、はあくまでも本人の意識の問題や、気づきの問題、発想の転換、あるいはものの見方の変わり方、光の当たり方、にすぎないものであり、他人(ひと)がとやかくいうことではないし、まして、比較することでもないのです。
よって、障碍者が不幸である、という前提そのものが成り立たないということがいえます。
ですから、その前提に基づく障碍者になる可能性のある胎児の堕胎を、「倫理的問題」と片付けることは出来ないのです。
あくまでも、個人の価値観の問題、となるのではないでしょうか?
回答ありがとうございます。
自分としては、「障碍者が不幸とは限らない」ことの論理的な説明がなされて読みごたえがありました。
不幸であるかは本人(その子の親)の考え方次第であるので、第三者、特に法律家や医師としては
>とやかくいうことではない
ということですね。
社会的スタンス(?・・・まぁようするに法律家がとるべき姿勢)については、答えが見えてきました。
もう一つ、別な角度からのアイデアが頂きたいです。
友人(法律家、医師でもない素人)がこの行為を、他人としてではなく自らに起こったこととして、一人の人間として考察したときです。
母親が、生むことは不幸だ、と考えて中絶を行うとしましょう。
・・・不幸なら中絶してよいのでしょうか。
「この子が生まれたら色々不幸だから」と母が思い、その子を殺す(法律的に中絶は殺人ではないとしても)ということは、倫理的にどうなんでしょうか。
これは個人の価値観の問題です。
皆さんは、その個人の価値観という物、どのようなものをもっていらっしゃいますか?
No.8
- 回答日時:
すでに、当初の質問の範囲を超えているようですから、この回答を最後にいたします。
1.幸福への態度
なにを幸せと考えるか、それは個人の考え方によります。
生まれてきた子どもが、幸せであらんと願うのは、すべての親に共通の気持ちでしょう(ごく一部に、そう思わない、親の欠陥品、とも言うべき人たちがいるのも、また事実ですが)。
そして、幸せを願う対象が、障碍を持って生まれてこようと、持たずに生まれてこようと変わりません。
だから、
・「障碍」を「困難な要因」と考えて、「なんとしてでも、自分の手で幸せにしよう」と決意するか、
・「障碍」を「克服できない不幸の源」と考えて、「こんな子どもは生まれてきただけで不幸だ」と落胆するか、
それは、親の判断の中にあるのではないでしょうか。
2.障碍の可能性
私自身は、障碍は誰にでも訪れるものと認識しています。
「老い」は、一種の障碍です。だれでも年をとります。
道を歩いていれば、暴走トラックに突然はねられて、一命はとりとめても半身不随になることがあります。
ある日突然網膜はく離になり、失明するかもしれません。
障碍者は特別な存在ではありません。
3.障碍は特徴
「障碍」は「特徴」なのだと思います。
たとえば、「走るのが遅い」のは「特徴」で、「歩けない」のは「障碍」だと区別する必要がどこにあるでしょうか?怪我をして歩けないのと、生まれつき脚の機能が弱くて歩けないのと、それは「一時的」か「定常的」かの区別しかありません。
もし、あなたが怪我をして松葉杖をついていても、自分を障碍者だと思わないのは、「必ずさまたげなしに歩けるようになる」と思っているからですが、脚に障碍があっても、社会的インフラや、道具の工夫で、歩けるのです。歩きにくいかどうか、ということはありますが。
辞書で「障碍」ということばをひいてみてください。
「障碍」とは「さわり」すなわち「さまたげ」なのです。何かをしようとしたときに「不便である」ということなのです。
確かに障碍を持っていれば、障碍のない人に比べれば
生活は不便です。だからといって、生活できないわけではないのです。
4.まとめ
障碍者を、弱者で、不幸な人たち、と決め付けることは、どれくらい傲慢で、そして、障碍をひとごとだと思っているのか、お分かりいただけるのではないでしょうか。
人の気持ちは「倫理観」でできあがっているのではなく、人の気持ちが「倫理観」を作っているのです。
障碍に対する態度は、現在の障碍および障碍者に対する無知と無関心から成り立つ部分が大きいのでしょう。
個々人が自分のことと思い、よく考えること、それが大切ではないでしょうか。
御回答ありがとうございます。
たしかに話が大きくずれていったので、この質問に関してはしめきらせていただきます。
皆さんの回答で色々考えることがありました。
私が障碍を不幸だと考えていた部分が多少ありました。
しかし、健常者が突然障碍を持たされること(上で述べられたような事故の例など)ばかり考えていては「障碍」は「不幸」と同一視しがちですが、「障碍をもっていること(障碍者であること)」という状態自体は不幸ではない、と思いました。
人は飛べない。
鳥は飛べる。
でも同じ動物であっても人は不幸じゃないですね。
羽がないことは、不便ではあっても、不幸の源ではないでしょう。
少なくとも、今まで障碍を不幸だと考えていたのは偏見だという気がしました。
とりあえずはまずはそういう人々について知ることをしたい(本を読むなりして)と思います。
(ただ受験が終わってから・・・明日慶応の法学部の試験が・・・汗)
皆さん御回答どうもありがとうございました。
No.7
- 回答日時:
どう対応するべきか、この質問に対して医者はアドバイスできますが、決してこうしなさいと義務付けることはできません。
あくまで本人の意志が尊重されるのです。やはり、妻と夫が相談して結論を出すのが妥当ではないでしょうか。No.6
- 回答日時:
疑問の投げかけを感謝します。
さて、「法」は世の秩序として存在するものですね。
>「奇形であっても一つの人格を持つ」とは子のことです。
・・・全くその通りです。
人は生まれながらにひとりひとり別々の人格を持って生まれてきます。
その人格は、親とは関係のないものでなければならないと、私は考えています。
でも、産み落とした子供を育てるのは親の義務ですね。
はばかりながら親であるなら、その放棄などは絶対に出来ませんね。
はじめから分かり切っている試練を受け入れ、ひとつの人間の命を育む勇気があるなら、
親も「人」としてさらに成長できるはずですよ。
それを産み落とす本人が望むなら、選択はその人の自由であり、
ある意味すばらしいことだと、私は考えますね。
>母が障害を持った子の中絶を望んだら、やはり中絶を行うべきなのでしょうか。
・・・全くその通りです。
私の見解は、それでも子を産みたいと望む母性があるならば、
他の誰もが人として、それを尊重せねばならないということです。
>何かの根拠として法が用いられているような気がします。
なぜ法が重要なのでしょうか。
・・・それは人の過去の歴史が「法」を生み出したからだと、私は考えています。
「法」はただの基準です。
奇形児を産み落としてはならないという「法」は、
この世には存在しませんね。
宗教的、思想的に考えれば、神様により与えられた命を絶つことは、絶対に許されない。
と、考える国や地域は、世界中にたくさんありますね。
それが正しいかどうかは、私にも分かりません。
下の5番の方の整理された理論は、私も納得できますよ。
No.4
- 回答日時:
ごく一般的に人が幸福を継続するためには、「法」に則した考え方を実践すべきかもしれませんが、
私の考えは、医師、友人、家族は、「本人(母性)の意志を尊重しなければならない」・・・です。
奇形で生まれてきても、一つの人格を持った人間に違いはないからです。
(優生保護法)
優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、
母性の生命健康を保護することを目的とする。
http://list.room.ne.jp/~lawtext/1948L156-old.html
(改正)→(母体保護法)
不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、
母性の生命健康を保護することを目的とする
http://list.room.ne.jp/~lawtext/1948L156.html
関連法の紹介、ありがとうございます。
(すみません、実は今初めて目を通しました。)
疑問に思ったのですが、
「本人の意志を尊重」とは母のことですが、
「奇形であっても一つの人格を持つ」とは子のことです。
母が障害を持った子の中絶を望んだら、やはり中絶を行うべきなのでしょうか。
あとこうした問題に取り組むとき、法の理解が求められます。
現状の理解、という意味では必要ですが、それだけではない、つまり何かの根拠として法が用いられているような気がします。
なぜ法が重要なのでしょうか。
No.3
- 回答日時:
こんばんわ、私には7歳下にダウン症という障害のある妹がいます。
私自身、幼児教育や障害児教育に色々な考えを持っているのでもう6年ほど前から様々な障害児とかかわるボランティアにも行っています。そんな中にもやはり様々な障害のある子とかかわってきました。知的障害、脳性麻痺、自閉症、奇形・・・ですが、やっぱり家族に障害児がいるせいもあると思いますが個人的には可能な限り産んで育てて欲しい、と思います。「この世に宿った命には1つも無駄なものなんてない」 私はそう信じています。もちろん、家族にしか分からない苦しみ、社会的な偏見、辛い体験、など様々なものがあります。ですが、やっぱり辛い中にもその子自身が一番家族の苦しみを知っていてその苦しみを知っているからこそ生まれる愛情も沢山あるんです。
例えば、大体平均的に健常の子どもは7~8ヶ月でお座りができます。ですが、様々な面で障害があると大きく遅れがちです。私の妹は1歳を過ぎてからやっと座れるようになりました。この時は、家族も、親戚も、母の友人家族もみんな嬉しくて大泣きでした。
今でも覚えていることはたくさんあります。初めて寝返りをうった、初めて「ママ」と言った、初めてハイハイした、初めて座った、死ぬ事もなく1歳になってくれた・・・これだけ子どもの成長一つ一つに涙を流せる子育て(もちろん健常であってもそういう感動はつき物ですが)を私はもっと多くの人が知って欲しい、と思います。
これを読まれた方でご気分を害されてしまう方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。
体験談、ありがとうございます。
やはりそうした人が身近にいない自分にとっては、こうした話は参考になります。
ただ一つ、当事者でないために湧き起こる不安があります。
全体としてどのくらいの当事者(家族などの関係者)が、こうしてポジティブに障害児と向き合っているのでしょうか。
世の中美談しか語られない、という不安があります。
例えば最近の事件で、腎臓病の子供を殺して逮捕された母親がいました。
殺すに至らなくても、どうしても受け容れられない、という当事者は少数なんでしょうか。
これに関しては、統計的なデータがあることはないでしょうから、何か思う所を聞かせて下さい。
(例えば非当事者として気になるのは、親族などの中にはそうした子の育児を思わしく思っていない人が多数いる、なんてことはないでしょうか、ということです)
No.2
- 回答日時:
確か、五体不満足を書いた乙武 洋匡さんのお母さんは、後々、「もしも子供がこういう状態(つまり障害者として)うまれるという事が分かっていたら、生むかどうかは分からなかった」と言っていたような気がします。
私も早い段階でのなんらかの障害があったら、中絶を念頭に入れると思います。
ただ、弟が実際に身体障害者ですので、なんともいえないかもしれません。
No.1
- 回答日時:
こんばんは
私は、3人の子供を出産した事のある母親です。
もしも、妊娠したのが私だったら・・・。
と考えました。
早い段階で、胎児が・・・。とわかったなら、
中絶手術を受けます。
生まれてきても、本人も、家族もとても大変だと思うからです。
お医者様も中絶を勧めるのではないでしょうか?
わかったのが遅い時期であったなら、私なら、神様にその子の母親として選ばれたんだと思い、覚悟を決めて我が家の家族として温かく迎える決心を出産まで考えるようにすると思います。
お友達のお話なんですが、妊娠が発覚した際に、胎児に異常があることを医者から告げられて、医者から夫婦に、中絶を勧められたそうですよ。
参考になるかどうかは分かりませんが、経験者からのアドバイスです。
お友達の話、参考になりました。
実際、医師は中絶を勧められるんですね。
私は(なんとなく)中絶には反対なんです。
絶対ダメ、と言うほどの自信はありませんが。
たしかに現実には普通に考えても、出産後に困難が色々あって、私が親としてそういう状況(奇形がある程度早期に判明したという状況)になれば、中絶を悩むでしょう。
ですがどうなんでしょう、中絶したとして罪悪感てのはやはりあるでしょう。
特に、そうした障害をもった子供を育ててる方達をみたら・・・、って思います。
いや別に、罪悪感があるから仕方なく生む、と言ってるわけではなくてですね・・・、う~ん・・・、いや一つにはそういうこともあるんでしょうか。(ちょっと脱線)
生まれてきたら(生む運命になったら)その子を愛せる自信はあります。
目の前にその子がいれば、愛せるでしょう。
でも、生む前はどうなんでしょう。
中絶する人は、納得のいく中絶の理由が見つかるのでしょうか。
それが見つからないから生む人もいるのでしょうか。
自分はだったら、後者のように生み、現状追認みたいな感じで愛し始める、そんな気がします。
それだったら中絶した方がいいのでしょうか。
なんだか疑問がどんどん膨れあがってきちゃいました。
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