先の
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=786034
の回答で、不思議の思ったのですが、
オランダがなぜ東インド会社を設立できるほどの
航海術を持っていたのでしょうか?
私の認識だと、商業航路の確立には経度の
高い測定技術が必要で、それがなかったために
15世紀にコロンブスは経度方向の位置を把握
しきれず、自分がたどり着いた土地をインドと
思い違いをしたはずです。
経度方向の測定には精度の高い天体観測データ
が必要だったったため、各国が国立天文台の設立に
乗り出したわけですが、高い観測技術を持っていたのは
イギリスだったことが、今日グリニッジ天文台が
世界標準になっている由縁です。
そう考えるとオランダがイギリスにならんでいる
理由がよくわかりません。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
ご質問の中の「経度測定」に関して以下がご理解の一助になれば幸いです。
グリニッジ天文台設立は1635年です。
イギリス政府が経度を測定するための信頼できる時計の発明者に対して2万ポンドの賞金を出すことにしてクロノメーターを求めたのが1713年。
一介の機械工ジョン・ハリスン(1693-1773)が、求められる精度の時計を発明したのが1735年(ただし、ただの機械工に巨額の賞金を与えたくなかった議会はそれを認めず約40年後にしぶしぶ支払う)です。
これに対して、英の東インド会社設立は1600年、オランダのそれが1602年、フランス東インド会社の設立も1604年であり、グリニッジ天文台設立より30年以上も前です。つまり、当時の航海術に関して言えばapple-manさんのいう「経度の高い測定技術」は不必要であったわけです。(もちろん、それなりの精度はあったはずですけれどね。)
なお、蛇足ですが#2の解答の中の「オランダはスペインの占領下」という表現は誤解を招きやすいと思います。当時のスペイン・ハプスブルク家の所有する領土の一部としてネーデルランド(オランダとベルギー)があったのであり、占領という言葉は不適切であると思うのですが・・
また、オランダがスベインから独立するまでの経緯を簡単に書けば独立戦争の開始は1568年であり、1581年に独立宣言。1588年の英とのアルマダの戦い(英はオランダ独立を支援しスペインは後援者の英を叩こうとした)にスペインが敗れ、1609年の休戦条約でオランダ実質的独立、1648年のウェストファリア条約で名目的にも独立、国際社会で独立国家と認められます。
こまかなご説明ありがとう御座いました。
>apple-manさんのいう「経度の高い測定技術」は不必要であったわけです。(もちろん、それなりの精度はあったはずですけれどね。)
測定精度のことを書きましたが、私も技術的な面で
把握しきれていない部分がありますので、既存
の技術でどの程度の信頼性があったかなど
疑問は残るところですが、そうするとここ「歴史」
の範疇を肥えてしまうかと思いますので、
とりあえずこの質問は閉めさせて頂きます。
>グリニッジ天文台設立は1635年です。
国王と議会の対立、そして王権復古という
時代背景があったため、王立化が遅れて
いただけで、王立天文台設立以前に
観測実績はあったんです。
>一介の機械工ジョン・ハリスン(1693-1773)が、求められる精度の時計を発明したのが1735
この時計開発の歴史にもいろいろあって、
時計の名称もいろいろあって、名前から
原理がわかりにくく、図面が残って
いても不鮮明だったりするので、正確には
わからないようですが、16世紀に原型が
あり、航海術に応用できるものとして
17世紀にはっきりしているのはロバート・フック
のゼンマイ時計(1650?1660?)
http://homepage2.nifty.com/sawada-tokei/clockhis …
で、彼のバネの研究が生かされたもの
だったようです。高校の物理に出てくる
バネに関するフックの法則で有名な方ですが。
No.3
- 回答日時:
もう私では書くことないですが、ちょいとだけ補足を。
手元の世界史年表で地理上の発見時代のなかから拾い出すと、
1341年 ポルトガル人カナリヤ諸島に至る、からはじまって、
1419/20年 マデイラ諸島の発見と、ちょっと地図上をバックし、
1434年 ボハドル岬発見
1445年 ヴェルデ岬諸島発見
1460年 エンリケ航海王子物故
1469年 フェルナンドポー島到達
1471年 ポルトガル船、赤道を通過
1488年 バルトロメウ(バーソロミュー)・ディアス、喜望峰到達
1498年 ヴァスコ・ダ・ガマ、インドのカリカット到達
とあります。ポルトガルの国家をあげての事業によって喜望峰廻りのインド航路が発見されるまでです。オランダはこの確立された航海ルートに乗っかればよかった。
そして、アフリカ東海岸から中国に至るまではアラビア商人たちなどによる航海ルートが早くから開発されていたはずだから、これまたこれに乗っかればよかった。
鄭和の大航海が成祖永楽帝の時代を中心とした15世紀前半であったことを思うと感慨深いものがあります。
こんな感じで破綻ないでしょうか、martinbuhoさま。
>航海ルートが早くから開発されていたはずだから、これまたこれに乗っかればよかった。
どうやって乗っていたか、ご存知でしょうか?
どこかに当時の航海術を説明したHPなどあると
いいのですが。
仮に海図があっても、陸地の見えない海の上では、
自分の位置を知る手がかりが必要です。
探検が目的ならある程度経験でよかったのですが、
正確に行き来するために各国が争っていたのが
17世紀で、観測精度の競争は19世紀に
イギリスのグリニッジが世界標準になるまで
続いていました。でもこの競争にオランダは
入っていません。
イギリス王立天文台(現グリニッジ天文台)の
観測データが公開され始めたのは17世紀後半
のことです。
ですからなぜ17世紀初頭にオランダが
商業用航路を開拓できたのか?というのが
私の疑問なんですが。
No.2
- 回答日時:
オランダの歴史を調べれば謎が解けるでしょう。
航海技術に関して言えば当時のヨーロッパ主要国家間に大きな差はなかったと思われます。特にオランダはポルトガルに次ぐ大航海時代の先駆者スペインの占領下にあったので最先端の造船・航海技術を持っていても不思議ではありません。1581年にスペインから独立したオランダは宗教改革を経た新興新教国家として海外雄飛の
夢を持ち当初北米に進出しマンハッタンに拠点を築いています。しかし、北米で英国やフランスに対抗出来ず
撤退、勢力をアジア(インドネシア)に集中しています。1602年設立の東インド会社は国家そのもので会社とはいえ、外交、軍事、交易、行政の権限と能力をもったことからポルトガル、スペイン、英国との競争に打ち勝ち第二次世界大戦後のインドネシア独立まで300年あまり続いた一大拠点(植民地)作りに成功しました。鎖国していた日本の唯一の対ヨーロッパ窓口になりえたのもこの東インド会社の成功があったからです。
当時のヨーロッパの海外進出では英国はポルトガル、スペイン、オランダの次に位置する後進国(?)です。
shishishishiさんの簡潔な指摘どおりだと思います。
スペインの影響というあたり参考になりました。
造船技術に差がなかったというのわかるのですが、
航海技術、特に経度方向に大きく移動するような
航海には問題があったはずなんです。
緯度方向なら、太陽の高さの変化を見て
いればよかったので、アフリカへの航海は
それほど問題なかったはずですが、経度方向は
星の正確な位置と、移動距離の測定のための
正確な時間測定が必要で、このために携帯用の
ゼンマイ式時計(ClockではなくWatch)
が16~17世紀にかけて開発されましたが、この
天体観測と時計の技術はイギリス、フランスがトップで
それにスペインが続いていたはずです。でもオランダ
の話は聞いたことがありません。
砂時計のようなものでも3分くらいの短い時間
測定に問題はありませんが、長時間の時間測定では
誤差が大きくなる。これが経度方向の位置を正確に
掴めなくなる理由なんです。
コロンブスがアメリカに行けたくらいですから、
単に行くだけなら可能だったでしょうが、正確な
往復を求められる商業航路の開拓となると話が
別だったはずなんですね。
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