No.1ベストアンサー
- 回答日時:
商法17条4項は、1項と同様、「商人が営業を譲受け、更に商号をも続用した場合」についての規定です。
これは4項の「第一項に規定する場合において」という文言から明らかですね。
1項と4項の違いは、1項が譲受人と譲渡人の債務について定めているのに対し、4項は両者の債権について定めているという点です。
しかし1項も4項も、譲受人と譲渡人とが、あたかも一括りの存在であるかのような条項です。
これはつまり、譲受人は「営業」を手に入れかつ、営業上の名称であるところの「商号」を手に入れているのだから、外観からはそのことがよく解らない第三債権者あるいは第三債務者をいくらか保護すべきだ、ということなのです。
以上の説明をもとに17条4項をみると、ここでは本来であれば譲渡人の受けるべき債権について書かれてあることが判ります。
しかし、先に述べたように外から見ると、商号が続用されてので譲受人と譲渡人との判別が付き難いという状態です。
例えば譲渡人がAという商号を従来使っていたとすれば、今では譲受人がAという商号を使っているというわけです。
譲渡人の債務者からすれば、どちらに支払えばいいか判断が難しいところです。
そこで4項は、当該債務者の善意・非重過失の場合に、本来では債権者ではない譲受人にその弁済がなされた場合でも、それを有効とするとしているのです。
すなわち、17条4項は債務者保護の規定です。
「当該弁済の目的物は、譲受人から譲渡人へ引き渡しがなければ不法となる」との質問者さんの解釈は、少し的外れです。
この債務者の弁済が有効とされたあとの話は、譲受人と譲渡人との間に結ばれた「営業譲渡契約」に基づいて解決されます。
特に債権を譲渡する旨の規定がなければ、譲受人は弁済として受けたものを譲受人に返さなければならないでしょうけれども、17条4項から直接に問題となるものではありません。
長くなりましたが、以上です。
この回答へのお礼
お礼日時:2013/02/09 05:12
早速に回答をいただき、誠にありがとうございます(ご指摘もいただき、誠にありがとうございます)。
事例その他、懇切丁寧で、大変助かりました。
またよろしくお願いいたします。
お陰さまで、スッキリといたしました。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- 法学 仮装譲渡された土地にある建物の賃借人と民法94条2項 1 2023/06/02 21:48
- 法学 動産の譲渡担保について 1 2023/01/24 23:55
- 弁護士・行政書士・司法書士・社会保険労務士 ★行政書士試験の民法についての質問になります。 根抵当権での条文について、分からない事があります。 2 2023/05/28 15:54
- 法学 賃貸人たる地位の留保について 2 2023/04/30 21:49
- 事件・犯罪 法律に詳しい方教えて下さい。 4 2023/03/25 00:22
- 知的財産権 特許を受ける権利について教えてください。 1 2022/08/06 19:24
- 相続・譲渡・売却 500万円の不動産の無償譲渡と売買どちらが得でしょうか 5 2023/05/04 16:17
- その他(法律) 知人の元法律家の方に 運営様が譲渡禁止にしているチケットでも 営利目的ではなく行けなくなった場合には 2 2023/03/05 23:12
- 固定資産税・不動産取得税 土地の譲渡の確定申告に添付する書類(優良住宅) 2 2023/03/31 17:24
- その他(法律) 購入した金庫に権利書等が入っていた場合 5 2022/08/07 19:15
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
民事保全法50条3項について
-
保証委託契約による求償債権に...
-
定期預金債権の質権設定について
-
この問題を教えてください Aは...
-
債権総論 差押と弁済期
-
共有根抵当権
-
民法406条 選択債権はなぜ...
-
保証債務履行請求期限について...
-
留置権の牽連性の有無について...
-
債権の二重譲渡と債務不履行責...
-
物上代位と被担保債権の弁済期
-
会社法207条9項5号 DES
-
民法509条但し書き イメージわ...
-
自営業の両親の取引先が倒産し...
-
債権侵害に対する不法行為責任
-
債権者・債務者の意味
-
この文章の意味を教えてください!
-
【債権】不可分債権・債務と連...
-
連帯債務の一人に対する債権譲渡
-
代物弁済の効力発生について
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
保証委託契約による求償債権に...
-
第三債務者
-
保証債務履行請求期限について...
-
民法406条 選択債権はなぜ...
-
留置権と占有改定について
-
定期預金債権の質権設定について
-
無尽(頼母子講)がパンクしたら
-
「異議をとどめる(とどめない...
-
この問題を教えてください Aは...
-
この文章の意味を教えてください!
-
根抵当権の債務者が死亡した後...
-
根抵当権変更登記について
-
留置権の牽連性の有無について...
-
商法17条4項での有効な譲受人へ...
-
抵当不動産の一般債権者による...
-
元本確定した根抵当権の被担保...
-
根抵当に対する実際の債務内容...
-
民法509条但し書き イメージわ...
-
不当利得と求償権
-
二重の債権譲渡に関してです。 ...
おすすめ情報