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Aが土地所有者Bから賃借した土地上に所有している甲建物についてCのために抵当権を設定した。
Aの不在期間中に、Dが甲建物を不法に占有した場合、Dが不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態にあるときは、CはAのDに対する妨害排除請求権を代位行使して、Dに対して直接自己に甲建物を明け渡すよう求めることができる。(新司H20-14-イ)

答え)正しい

これはあっていますか?抵当権者の直接自己への引渡しを請求できるのは維持保存請求権の保全に基づくためであり、上記ケースでは引渡し請求ができないと思います。 (H11.11.24、H17.3.10)
どなたか詳しく教えて下さい。

A 回答 (3件)

判例は、抵当権者が抵当目的物の所有者の有する妨害排除請求権を代位行使する場合につき、被保全債権を維持保存請求権に限定したわけではありません。


平成11年判例は、抵当権設定者(債務者)に対する貸金債権を被保全債権としても良かった場合ですが、右判例が被保全債権を維持保存請求権としたのは、当該事例を離れて、代位請求の相手方が抵当不動産の第三取得者である場合を想定してのことといわれています。
つまり、被保全債権の債務者と代位債権の相手方が異なる場合、例えば(AB金銭消費貸借、Bの不動産に抵当権設定、BC抵当不動産の売買、D不法占有)という関係にあるとき、被保全債権をAのBに対する貸金債権としてCの妨害排除請求権を代位行使したとしても、被保全債権を保全する関係にありません。
しかし、担保価値維持保存義務を担保不動産の所有者に認めれば、価値保存請求権を被保全債権として債権者代位権を行使することが出来ます。
この点を考慮して、判例はその射程を広く取り、価値保存請求権を認めたということです。
よって、債権者代位権の行使により被保全債権が保全される関係にある場合は、債権者代位権の行使が認められ、設問はその場合であるといえます。
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この回答へのお礼

いっそう理解がすすみました。適切な回答をありがとうございました。

お礼日時:2011/06/21 02:19

平成11年の最高裁判所大法廷の判決をよく読んでみましょう。



参考URL:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_2010031912 …
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Aが建物を所有しているのですからA自身は妨害排除請求できる


わけですね。しかし妨害排除請求ができるのにそれをしない。
そしてAは建物の「所有者」であるだけでなく、Cにとっての
「債務者」ですね。

抵当権というのは、使用価値を把握せず、交換価値のみを把握する
物権だと言われております。これに基づいて制限物権と言われて
おりますが、この使用価値、交換価値の意味を正確にとらえることは
極めて重要ですね。

使用価値というのはその物を実際に使用して得られる収益のこと
ですね。建物に実際に住み生活をする。その分他の住居の
家賃などを支払うことは当然なくて、そこで過ごしている分は、
「もしそこに住んでいなかったら払っていたはずの金額」を
払わずに済むわけです。よく車については使用価値を説明
しやすいと思われますね。実際他人の車で100km先の場所に
言っちゃった場合、「その100kmを自分の車で行った時の
ガソリン費用分。あるいは他の公共交通手段を利用しての料金
が代わりに浮くわけですから」使用価値というのは、ずばり
それがなければ支払うはずであった費用を、支払わなくて済んだ
という消極的な利益の獲得状態を言うと言えましょう。
↑の車の例は不当利得ですけどね^-^

それに対して交換価値とは、実際にその物を金銭等と交換した
ときの価値ですよね。

つまり抵当権は、実際その家に住めるわけでなく、またその車を
使えるわけでもない。その物が市場において金銭等と交換された
ときのその価値についてそれを自分の絶対的な支配下に置く
物権をいうわけです。つまり所有権が、その物自体の全般的な
絶対的支配価値であるのに対し、抵当権は、その物自体の
部分的な価値、すなわち交換価値に対する絶対的な支配を
確立する権利であるといえましょう。

ですから、その物に観念的・抽象的に潜む、その物自身がその中に
はらんでいる実現可能性価値を、ガッチリつかむ権利であると
言えましょう。もちろん他人の目からそんなもんが来てるなんて
全く見えるはずがございませんね^^これが権利の最大の限界ですね。

さて、話が戻りますが、不法占有者がいるにもかかわらず抵当権者が
何も出来ない理由はもうおわかりですよね。抵当権はあくまでも物の
交換価値を把握する権利なものですから、その不法占有者自身につ
きましては、うんともすんとも言えないわけです。俺が使ってるんだ
よおおおおなんていえません。

ではどうしましょうか。実際、その不法占有者がいるがために、その
抵当権の交換価値は不法占有者がいないときよりも圧倒的に下がって
おります。私は抵当権というものを↑のように解しますと、その
価値実現可能性が阻害されているわけで、それがダメージを受けている
というのですから、抵当権の核心たる交換価値が他者の手によって
下げられている。そのため、担保価値維持請求権は抵当権の派生原理と
して当然認められるべきであると考えます。

だってそうですよ。所有権に基づく物権的妨害排除請求権も、返還請求権も
妨害予防請求権も、実際民法に規定はないのです。しかし絶対的な支配権
という、所有権の核心が脅かされているがため、その所有権の絶対性から
当然導かれる権利なわけですから。

所有権にそれが認められて、抵当権にそういう権利が一切認められないという
のは、それこそおかしいものです。

ですから、抵当権者は抵当目的物の担保価値維持請求権を当然持っていると
言えましょう。

では実際その請求権はだれに対して向けられるべきでしょうか。不法占有者
でしょうか。それとも建物の所有者でしょうか。
私の立場に立てば、どちらでもいいはずなのです。もちろん抵当権の登記が
あるに越したことはありませんが。不法占有者は不法行為者ですから、
登記もなくできると言えますけれどもね。

さて、担保価値維持請求権を持っていること自体に疑いはないわけです。
そしてこれがその抵当権の名宛人である債務者Aに請求できることも
もはや疑いないでしょう。こう考えますのは一応明文の規定なき権利なわけですから、
慎重に確実と認められるような方法でその権利を行使すべきだからです。

とすれば、その権利が不法占有者Dのおかげで侵害されているわけですね。
このまま放っておかれると自分の債権の回収可能性が全くといっていいほど
なくなってしまう・・・かもしれません。

債権者代位権をすでに勉強されている場合であれば、無資力要件というのが
あることがおわかりでしょう。自分の債権を回収できるうちはその担保価値が
いくらでも下がってかまわないのですが、しかし現実にはその価値が時間で
どのくらい変化するかなど外部から計算は不可能なのです。

ですから不法占有者がいる時点で、この担保価値維持請求権を使う意義は
無資力要件などに関わらず最大限尊重されなければならないと言えましょう。

かくして不法占有者がいる。それにより担保価値維持がはかれなくなる。
そしてこの担保価値維持は一種の「保存行為」(民法423条2項但し書き)
ですから、いつでも請求することが可能です。

もちろんAは建物自身の所有者なわけですから、不能占有者に対して
所有権をもち、さらに物権的妨害排除請求権をもちます。
とすれば、担保価値維持請求権に基づき、物権的妨害排除請求権を
行使することができると言えましょう。

さて、ここまではご理解していただけたか、ご自身ですでにここまでの
解答には結論をつけられていることかと存じます。

問題は、「その建物を自己に明け渡すことができるか。」というところですね。
金銭であれば、すでにご履修の通り、債務者がその受け取りを拒んだりすれば
せっかくの債権者代位権の行使も無意味となるわけです。

これはよろしいですか?なぜ債権者は債務者が受け取りを拒むことを「拒む
んじゃねーーーーーー」と法律上言えないのでしょうか。

債権者代位権はあくまでも他者の所有権の処分権、つまり自由な処分方法
に介入する権利なわけです。他者が債権を有していたとしてもその行使自体は
債権者自身の自由な判断に基づくわけだし、債権も財産権でありますから、
それはできる限り尊重されなければならないというわけです。

とすれば、債権者代位権の行使と申しますのはあくまでも例外中の例外とも
言えるべき、他者の財産処分への介入権利であって、それは厳格でなければ
ならないのです。

424条の詐害行為取り消し権はこの代位請求権よりも圧倒的に厳しい権利で
ありますが、423条も同様、↑のような認められ方をしたがため、債権者代位
権は、その行使のみが認められており、その代位権の行使、によって生じた
効果がどのようなものであれ、その後の財産の移動については債権者は
口出しできないのです。おわかりですか?それが債権者代位権が、あくまでも
例外として認められた権利にすぎないという意味が出てくる場面です。

さて、金銭については債務者が拒めば代位権行使の意味がなくなるから、
ひいては債権者に直接引き渡すことも解釈上可能でありました。

では上記ケースのような建物の場合はいかがでしょうか。債権者代位権は
自己の地位に基づいて行使できますから、あたかもCがAとして行使できます
すなわちDに立ち退くように請求することは可能ですね。で、その場合
立ち退かなければ物権的妨害排除を無視したのですから、他の強制手段を
訴えることが可能になるわけです。

逆にDが素直に立ち退いた場合、そこにはもはや不能占有者はいませんから
不動産の交換価値は回復し、それですでにCの権利は回復されたわけです。

すなわち、もはや「訴えの利益なし。」と言われる状態になったと思われません
か?金銭は債務者に返還し、責任財産としてそのために保全する必要があった
わけで、金銭が債務者のもとにかえることにより、「債務者の無資力」が
回復するというわけですから。


もちろん一度出て行ったDが「缶ジュース買いに行ってただけよ」とかふざけて
いたらまた強制執行すればいいわけです。他の出ていくふり系はこれで
片がつくでしょう。

以上をもちまして建物の自己への直接明け渡しはできないという結論になります。

補足になりますが、担保価値維持請求権はあくまでも担保価値を維持するため
のもの。ひいてはその物の交換価値の保全であります。
そして建物の自己への引き渡しはすなわち抵当権に使用価値の獲得手段を
与えかねませんから、それはすぎたる権利をCに認めることとなりましょう。

これらの理由をもちまして、私自身としてはこの答えは間違っていると
判断いたします。参考の一助になれば幸いです。
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