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私が書いたものではないのですが、下記の結晶の格子振動に関する質問を読んでいて、分からない単語が出てきたのですが「振動の凍結」とは、どういったものでしょうか?

> 固体中を伝わる弾性波の速度を1000m/sとする。
> 大きさ1cmの結晶で最も低い振動数とその振動が凍結する温度を求めよ。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8428793.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question …

この問題の解答としては角振動数ω, 弾性波速度v, フォノンの波数q, 波長λ とおき、弾性波なので分散がないとして

ω = vq = 2πv/λ

結晶の大きさよりも長い波長の振動は存在できない、と考えれば前半の計算はできそうです。

換算プランク定数hとボルツマン定数kを利用すれば hω = kT のようにエネルギーの次元にそろえることで、温度と角振動数を結び付けられそうな気はしますが・・・。

質問は「上記の考えはあっているか」と「求められた温度は何を意味するのか(振動の凍結とは何か)」の2点です。よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

siegmund と申します.


大学で物理の研究と教育をやっています.

> 上記の考えはあっているか

あっています.
ただし,最大波長は結晶の大きさの2倍とするべきでしょうね.

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という波が最大波長になりますが,波長はこの図の横の長さの2倍ですね.

> 「求められた温度は何を意味するのか(振動の凍結とは何か)」

プランク定数を2πで割ったもの(換算プランク定数)を (hbar) と書くことにしまして,
角振動数ωのフォノン1個のエネルギーは
(1)  E=(hbar)ωです.
で,フォノンの数(の期待値) <n> を与えるのがボーズ・アインシュタインの分布関数で
(2)  <n> = 1/{exp(E/kT)-1}
です.
(2)式からわかりますように,E >> kT なら <n> は小さいし,
E << kT なら <n> は大きくなります.
そのおおよその境界は E=kT で与えられます.
「凍結する温度」というのはそのフォノンがほとんど励起されなくなる温度という意味で,
上の E=kT の温度と思ってよいでしょう.
実際,E=kT のとき
(3)  <n> ~ 1/(2.71-1) ~0.6
となり,フォノンが励起されない目安を与えます.

【補足1】
ボーズ・アインシュタインの分布関数は 1/{exp[(E-μ)/kT]-1} の形をよく見ます.
μは化学ポテンシャルという量で粒子数と関係していますが,
フォノンは粒子数の制限がないので μ=0 となることがわかっています.

【補足2】
<n> = 1 となるような T を「凍結する温度」とする考え方もあるかと思いますが
E=kT と log2 倍の違いしかありませんので余り意味はありません.
いずれにしろ「凍結する温度」は目安と思うべきで,
水が凍る温度みたいな相転移温度とは違います.

【補足3】
フォノンの数が多いことと格子振動の振幅が大きいこととは同じことです.
したがって,「フォノンの数がほぼゼロ」と「格子振動がほぼおきない」とは同じことです.

【補足4】
格子をつくっている原子がある場所に(位置の不確定さゼロ)静止(運動量の不確定さゼロ)すると
不確定性原理に違反しますので,完全にある場所に静止ということはありえません.
これを零点振動と称しています.
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この回答へのお礼

siegmundさん、ありがとうございます。

4つの補足も含めてとても分かりやすかったです。
特に補足2のおかげでもやもやしたものが晴れました。

お礼日時:2014/01/20 21:57

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