No.4ベストアンサー
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No.2
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監査役の職務は、取締役の職務の執行(当然、取締役の指示で行う従業員の職務執行を含みます)を監査することですが、監査には、業務監査と会計監査とがあります。
監査役と会社との関係は委任であり、監査役は職務の執行に際しては会社に対して善管注意義務を負っています。したがって、監査役は、善管注意義務をもって、業務監査及び会計監査をしなければなりません。業務監査とは、取締役の職務の執行が法令・定款を遵守して行われているかどうかを監査することで、一般に適法性監査と呼ばれています。ただし、法令には善管注意義務も含まれますので、取締役の経営判断にかかわる事項についても、不当な点がないかどうかを監査(妥当性監査)することにもなります。
会計監査とは、計算書類及びその付属明細書を監査することですが、大会社(資本金が5億円以上か、または負債が200億円以上の会社)では公認会計士または監査法人を会計監査人として選任しなければなりません。大会社では、会計監査は第1次的には会計監査人が実施し、その監査報告が取締役会と監査役に提出されます。監査役は、会計監査人の監査の方法・結果の相当性を判断します。もし相当でないと認めた場合
は、自ら監査した上で、その結果について監査報告に記載します。
1.監査役は何をすべきか
(1)取締役の経営意思決定の監査
取締役の経営意思決定の監査とは、一言でいえば経営判断の原則に従って意思決定が行われているかを見ようというものであり、最重要項目といえます。経営判断の原則の具体的な観点として、日本監査役協会の監査基準19条は、①事実認識に重要かつ不注意な誤りがないこと、②意思決定過程が合理的であること、③意思決定内容が法令または定款に違反していないこと、④意思決定内容が通常の企業経営者として明らかに
不合理ではないこと、⑤意思決定が取締役の利益または第三者の利益ではなく、会社の利益を第一に考えてなされていること、をあげています。
経営意思決定の監査は、従来の監査のスタンス(取締役の職務が法令・定款を遵守して行われているかの監査)から一歩踏み出したもののようですが、近年の社会的な要請からも現在の監査役に期待される最大の役割といえるようです。
(2)内部統制システムの整備状況の監査
平成18年5月1日に施行された「会社法」において、すべての大会社は、取締役会において内部統制システム(会社の業務の適正を確保するための体制)についての基本方針を決議する必要があり、さらに、この決議の概要を事業報告に開示し、監査役はその内容の相当性を判断し報告することが義務付けられました。
監査基準21条は内部統制に係る監査について、次のように規定しています。
(内部統制システムに係る監査)
監査役は、会社の取締役会決議に基づいて整備される次の体制(以下「内部統制システム」という)に関して、当該取締役会決議の内容並びに取締役が行う内部統制システムの整備状況を監視し検証しなければならない。
1)取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
2)取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
3)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
4)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
5)会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
6)第14条第2項に定める監査役監査の実効性を確保するための体制
(3)内部通報制度の監査
最近の企業不祥事は、内部告発によることが多いので、企業内に設置した内部通報
制度が実効性あるものになっているかを監査します。
平成18年4月1日から公益通報者保護法が施行されており、内部通報制度を設置していない場合や、設置していてもこれが有効に働かないような仕組みとなっている場合には、取締役及び監査役は善管注意義務を果たしていないと判断されます。
(4)調査権限と是正権限の行使
1)監査役は、いつでも取締役及び使用人に対して事業の報告を求め、または会社の業務・財産の状況を調査することができます。取締役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合には、直ちに監査役にそれを報告しなければなりません。
また、監査役は、職務を遂行するために必要があるときは、子会社に対して事業の報告を求め、または子会社の業務・財産の状況を調査することができます。
(会社法357条、381条)
2)監査役は、取締役会で違法または著しく不当な決議がなされることを防止するために、取締役会の全ての会合に出席しなければならないし、必要な場合には意見を述べなければなりません。また、取締役の不正行為またはそのおそれ、法令・定款違反または著しく不当な事実があると認めた場合には、遅滞なく取締役会に報告しなければなりません。また、取締役の法令・定款違反の行為の結果、会社に著しい損害が生じるおそれがある場合には、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます。
(会社法382条、383条、385条)
2.業務監査の方法
(1)期中監査
監査役は、監査方針と監査計画を策定し、それに基づき監査を進めます。
1)取締役会等の重要会議への出席
監査役は、取締役会その他の重要な社内会議に出席します。
監査役は、取締役会に出席し、必要があるときは意見を述べなければならない義務があります。(会社法383条1項)
2)社内組織・制度及び社内規程類の監査
3)代表取締役との定期的会合
4)取締役等からの報告聴取
5)重要な決済書類等の閲覧
6)内部監査部門との定期的会合
7)本社、支店等の調査
8)子会社からの報告聴取
9)会計監査人との連携・監査概要の聴取
10)競業取引等の監査
(2)期末監査
1)期中の監査結果の集計・整理
2)事業報告書及び付属明細書の監査
3)内部統制システムの内容が相当であったか否か
3.会計監査の方法
計算書類(貸借対照表、損益計算書等)及びこれらの付属明細書の監査
(1)会計監査人の監査の方法または結果が相当であるか否か
監査の方法の相当性は次の事項を基準にして検討します。
1)会計監査人の適格性
2)会計監査人が公正・妥当な監査基準に準拠して監査手続きを実施したかどうか
3)会計監査人の監査計画の当否
4)監査の実施状況
監査の結果の相当性は、監査役と会計監査人との間で異なる評価があるか否か
(2)重要な後発事象
(3)会計監査人の職務が適正に実施されることを確保するための体制があるか否か
4.監査役の責任
(1)会社に対する責任
1)過失責任
監査役は、その任務を怠ったときは、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。
監査役に対して損害賠償を請求するためには、監査役の任務懈怠の事実、損害発生の事実及び任務懈怠の事実と損害発生の事実の間に相当因果関係があることを立証すれば、監査役の故意・過失に基づくことが当然に推定されることになります。
2)連帯責任
会社の被った損害について、当該監査役の任務懈怠だけでなく、他の監査役や取締役の任務懈怠も原因となっている場合は、これらの監査役や取締役の連帯責任となります。
(2)第三者に対する責任
下記に該当する場合には、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。
1)悪意・重過失による任務懈怠
監査役がその職務を行うにつき悪意または重過失があったことにより、第三者が損害を被った場合
2)監査報告書への虚偽記載
監査役が監査報告書に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をしたことにより、第三者が損害を被った場合
No.1
- 回答日時:
やるべきことはたくさんあります。
ネットで「監査役」を検索してみてください。
例えば
http://homepage2.nifty.com/houmu/page088.html
のように、たくさんの事例がヒットします。
先ず「監査役規程」を整えてはいかがでしょう。
ネットで検索しても、この「監査規程」に関するものは意外と少ないのですが、監査実務上は基本中の基本、根拠となるものです。
規程を整えるうちに、監査役の監査業務がいかに広いのか、実感してくると思います。
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