No.8ベストアンサー
- 回答日時:
この問題は、多くの物理学の教科書で熱力学の成り立つ条件をそれほど深く考えずに書かれているので、多くの人に誤解を生じさせているようです。
この質問の回答のために、始めにエントロピー増大の法則を物理学として正確に表現して置きましょう。
先ず、この法則が成り立つための条件で、普通の教科書に明から様に語られない重要な条件があります。それは、
1)熱力学的記述がその物理学的系の記述に意味がある系に限る
と言う条件です。
そして、その条件の下に、エントロピー増大の法則は
2)孤立系のエントロピーは時間と共に増大するか同じ値に留まる
と表現されます。これを熱力学第2法則と呼ぶこともあります。そして、エントロピーが一定値をとり続ける系が熱平衡状態です。非平衡状態にいる系はエントロピーが増え続け、漸近的に熱平衡状態に近づいて行きます。ですから、系の大きさが有限だろうが無限大だろうが、エントロピーが変わらなくなったら熱平衡状態です。この熱平衡状態のことを、熱死状態とも言います。
この法則は、古典力学のニュートンの法則、古典的電磁気学のマクスウェル方程式、シュレディンガーとハイゼンベルグの量子力学の基本方程式方程式、一般相対性理論のアインシュタイン方程式などの僅かな方程式で構成されている物理学の全ての基本方程式と一見矛盾しております。したがって、熱力学第2法則は基本的な法則であるにもかかわらず、そして、この法則に反する現象に人類がお目にかかったことがないにもかかわらず、今の段階ではこれを基本法則とは呼ばれず、現象論的法則と呼ばれています。
さて、系は無限大だったらエントロピーの値はいくつなのか。そのことが、上の1)の条件と関わり合うのです。実は1)が成り立つためには、その系を特徴付ける物理量に、次の大変きつい条件が必要なのです。それは、
3)系の大きさをN倍すると、その物理量もNの1乗に、すなわち、Nに比例して大きくなるような量が存在する
と言う必要条件です。後で例示しますように、このような物理量が存在するかどうかは自明ではありません。そして、重力の場合には存在しないのです。
物理学では、「系の大きさ」をもっと正確に、「自由度の数の大きさ」と表現します。このような性質を持った物理量のことを「示量変数」と呼びます。そして、示量変数をその系の自由度の数で割ったものを、「示強変数」と呼びます。そのその結果、示強変数は自由度の数をN倍しても、Nに依存しなくなります。
ところで、エントロピーは示量変数です。したがって、系の大きさが無限大になるとエントロピーも無限大になります。しかし、エントロピーを系の自由度の数で割った量は示強変数となり、系が有限だろうが無限だろうが、その示強変数は有限の値をとれます。だから熱死状態でもこの示強変数の値は有限です。
いよいよ本論です。結論から言うと、重力が無視できない重要な役割を演じるときには、示量変数が存在できません。だから、熱力学をこの宇宙全体に適用できなくなり、
「系がエントロピー増大の法則に従って、行く行くは熱死状態に到達する」
という言葉に意味が無くなってしまいます。しかし、始めに述べましたように、多くの物理学の教科書では、上記1)の条件の存在をそれほど深く考えずに書かれているので、多くの人に誤解が生じているようです。
何故、重力には熱力学が適用できないかを説明しましょう。
この宇宙の粒子は個々の粒子が運動エネルギーを持ち、また粒子同士が互いの距離に依存した位置エネルギーを持っています。最も簡単な位置エネルギーは、各々2個の粒子間の距離だけに依存する位置エネルギーで、これを2体力による位置エネルギーと言います。重力は2体力です。もっと複雑な3体力、4体力、、、も重力以外には在りますが、それはほとんど例外的な力です。
さて、粒子の運動エネルギーは粒子の数をN倍するとその総和のエネルギーもN倍される。だから全系の運動エネルギーの総和は示量変数です。しかし、2体力では粒子の数がN倍に増えると、位置エネルギーの総和はN個から2個選ぶ場合の数に比例するので、Nが大きくなるとNの1乗ではなく、Nの2乗に比例大きくなってしまう。だから、一般には位置エネルギーの総和は示量変数ではない。
ところが、力の届く範囲が本質的に有限の場合、一つの粒子に力の働く粒子の数は有限になります。その結果、位置エネルギーも総和もNが大きい極限でNに比例して大きくなることが示せます。このような力を短距離力と呼びます。重力でなく通常の分子間力は皆短距離力です。だから、この場合、位置エネルギーの総和は示量変数となり、熱力学が適用可能となります。
しかし、重力はどんなに粒子間の距離を離しても有意義にその影響力が残るのです。このような力を長距離力と言います。したがって、重力では位置エネルギーの総和は示量変数ではない。だから、熱力学の論理も演算も使えないのです。
実際、分子間力で相互作用し合っている通常の気体では、ボルツマン方程式と言う基本的な方程式が存在するのですが、銀河系を構成している星の集団を記述するボルツマン方程式は存在しません。
だから、この宇宙が閉じていようが、開いていようが、ブラックホールがあろうがなかろうが、この宇宙が熱死状態になることを重力が妨げてくれているのです。
No.6
- 回答日時:
エントロピーの増大とはこの時空間における現象でしかありません。
この時空間が有限であるのか無限なのかその限界が未知数である現状では、エントロピーの増大もその限界は未知数であるとしかいえません。たとえばこの時空を超えてまで増大するのだとすると、時空間に存在する我々には観測する方法も手段も無いので存在自体を云々することは不可能です。No.5
- 回答日時:
最大とすれば、限りがあると言う前提のもとになるでしょうね。
よく引き合いに出されるコーヒーにクリームを入れた場合の
エントロピーの増大には最大が見受けられると思います。
つまり一定条件の中では、最大があると言えるでしょう。
そうなれば、その限りの中を宇宙と見なせば宇宙の死ですよね。
では、現実の宇宙はどうか?
未だ限りがあると言い切れない状態だと思います。
しかも、ブラックホールが存在するおかげで
エントロピーは最大にならないと言う現象が存在します。
宇宙には、ビッグバン以降にできたとされる存在があるようです。
ビッグバンだけが、宇宙の創生では無いのであれば
新たに生まれ出すシステムが存在すると言うことでしょう。
たとえばブラックホールが、一定以上を取り込んで
臨界がある場合、別の形に変化する可能性があります。
そういう場合、宇宙の代謝になると言えます。
人類は知っていることより知らないことが、まだまだ多いので
一部の理解で全体を決めない方が、より良い方向へ向かうかなと。
限定された中で存在する概念は多数あります。
私達が理解しているものは、ある意味限定条件ばかりでしょう。
エントロピーの増大でさえ、正しくもあり正しくもなし。
法則が正しくとも、条件でエントロピーの法則以外が働けば
結果は変わると言うことです。
理論は理論化するときに抜粋して深めるので
枠内で考えれば、その枠内で正であるので
小さな枠内での最大概念は存在すると言えるでしょう。
No.2
- 回答日時:
言葉の上ではなく、具体的に考えて下さい。
「エントロピー無限大」とは、どのような状態
でしょうか?
完全に均質な状態でしょうか?
「均質」とは限定された状態であり、低エントロピー
な状態です。
エントロピーが無限大の状態とはランダム=均質でも
秩序だってもいない、不規則に秩序が生滅する状態なのだ。
そのエントロピー増大は、淘汰として、そうして稀に
現れるランダムな組織性が一定以上をこえると、進化を
起こす可能性がある。
法則性を否定する「エントロピー増大の法則」は、
その法則性自体を否定する法則なのだ。
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