雑音指数は入力S/Nと出力S/Nの比ですが、入力信号の雑音レベルによって値が異なることがようやく理解できました。ところが新たな疑問が出てきました。
S/N=30dBの入力信号を10dB増幅してS/Nは27dBにしたいときに、「利得10dB、雑音指数3dB」と表示された増幅器を買ってきてもだめだということになります。
計算すると出力S/Nは必ず27dB以上になるので目的は達成できますが、実際に運用している状態で「この増幅器の雑音指数は3dBです」と言うのか、「この増幅器の雑音指数は運用状態で2dB(入力信号レベルで異なるので一例です)です」と言うのか、そもそもそういう使い方(言い方)はしないのか、ご存じの方がおられましたら教えてください。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
こんばんは。
> 冒頭のS/NかNFかの関係ですが、S/NはSレベルとNレベルの比で決まる値なので、SとNの比が決まれば受信信号レベルを定義する必要はないと思いました。
→ 雑音の量は KTB で示されます。温度、帯域幅の条件が同じなら一定量です。ですから S/N は受信信号レベルを定義しないと決まりません。
一般に「受信レベル-90dbm のとき S/N は 30db 」のように表記されます。
> またNFは、受信信号のS/Nが同じでも受信信号レベルにより変わると思いますので、「受信信号レベルを定義すればNFは決まる」、と考えました。
→ 前述のように雑音の量KTBは一定です。受信信号レベルには関係しません。
> 内部発生雑音をNa(ほぼ一定とする)とすれば、
NF=(Si/Ni)/(So/No)= (Si/Ni)/[SiG/(NiG+Na)]=1+(Na/NiG)
ですので、受信信号のS/Nが同じなら受信信号レベルが大きいほどNiが大きいのでNFは小さくなります。以上が、NFをS/Nと書き間違えたのかと思った理由です
→ 受信信号の S/N が同じで受信信号のレベルが大きいのであれば雑音も大きくなりますね。
Ni=KTB ですから Ni が変化することはないです。
> 「入力信号に雑音はない」という条件はうまくイメージできませんが一応横に置いておきます。
「増幅器の出力=入力信号×利得+内部発生雑音」は理解できました。
「S/N=入力信号÷内部発生雑音」の意味が分かりません、どの点でのS/Nをさしているのでしょうか。
「内部発生雑音=kTB×NF」とする理由がよくわかりません。
→ 小生の考え方に少し間違いがあったようです。
一般論では信号源が KTB で表わされる量の雑音を出していて増幅器で NF×G 倍されて出てきます。
すわち、 Ni = KTB 、 NO = KTB × NF × G です。
愚考では増幅器自体が KTB × NF × G の雑音を出し、信号源には雑音はないとして考えていました。
つまり Ni = ゼロ 、 NO = KTB × NF × G です。
KTBがどこで生じるかが違うものの結果(増幅器の出力)は同じになります。
この点貴殿を混乱させてしまったようでお詫びします。
> NFの定義は、NF=(kTBG+Na)/kTBG (Na:内部発生雑音の出力)で、Na=(NF‐1)kTBGと思うのですが、これとの関係はどう考えるのでしょうか。
→ 増幅器の入力信号自体が KTB なる雑音を含んでいると考えればこの式でOKです。
愚考では増幅器自体が KTB×NF の雑音を出すと考えるのでNaの値が違いますね。でも出力は同じになります。
> 但し「増幅器出力=(入力信号+kTB×NF)×G」は次の式と一致するので不思議です。
増幅器出力=So+No=SiG+(kTBG+Na)=SiG+NF・kTBG
→ 雑音KTBがどこで生じているかの考え方が違うだけで出力は同じになります。
> この場合のTには、入力信号に雑音があった場合は雑音入力を温度に換算してkTBに含めているのでしょうか。
→ お尋ねの意味がいまいちわかりません。
温度Tが変わればKTBの値は当然変わりますね。受信機を高感度(つまり低雑音)にするために受信機自体を冷却します。アンテナは冷却しなくても入力側の雑音 Ni は小さくなるのです。
小生、これが理由で増幅器自体が KTB×NF の雑音を出すと考えていたのです。信号源がKTB雑音を生じているのならアンテナを冷却せねばならないでしょ?
> (1)雑音指数という言葉の定義は、入力信号の性質(レベル、S/N等)にかかわらず、NF=(入力S/N)/(出力S/N)である。
→ OK。
でも入力信号がなくても増幅器の出力には雑音は出てきます。
> (2)増幅器等の性能を表す指標(利得、雑音指数、帯域幅等)としての雑音指数は、決められた条件のもとで測定した値NF=(入力S/N)/(出力S/N)である。
決められた条件とは、入力信号は熱雑音しかない理想的信号(入力レベルは任意)とし、周囲温度は290Kとする。
→ 「入力信号は熱雑音しかない」のであれば S/N は定義できませんが・・・
尤も増幅器のゲインと出力の雑音レベルがわかれば NF はわかります。
温度が変わればNaの値は変わるでしょうね。測定時の温度は決めておくべきでしょう。
> (3)従って、動作状態における雑音指数は入力信号のS/Nによって変わるので、装置の評価指標である雑音指数の値とは異なる。
→ NFは入力信号のS/Nで変わることはありません。尤も入力信号の大きさで内部発生雑音Naが変わるかもしれませんがそうであってもごく僅かでしょう。それにNFは受信限界を知るために使うのでその付近でのNFがわかっていれば実用的には支障はないはずです。
No.2
- 回答日時:
> 最後の、『受信信号レベルを定義すれば「現在の S/N は ○○db」と表現できます。
』の表現は、『受信信号レベルを定義すれば「現在の 雑音指数NFは ○○db」と表現できます。』と読み替えてよろしいでしょうか。不可。NFは信号レベルとは無関係です。
以下、入力信号に雑音はないものとして書きます。
NFは増幅器が内部で発生する雑音に起因します。雑音量は入力信号とは無関係に一定量です(温度Tと帯域幅Bには関係しますが)。
つまり 増幅器の出力 = 入力信号 × 利得 + 内部発生雑音 という関係になります。
内部発生雑音は掛算ではなく加算になっていることに注意してください。ということは入力信号はなくても内部発生雑音だけは出てくるわけです。
また内部発生雑音は経験的に利得に比例することが知られているので一般的には入力側に換算した数値で表わします。
すなわち 増幅器の出力 = ( 入力信号 + 内部発生雑音 ) × 利得 として考えるのが通例です。
ここで S/N=入力信号 ÷ 内部発生雑音 ですが、内部発生雑音は一定量なのでS/Nは入力信号によって変わることになります。ですから入力信号の大きさを規定しないとS/Nは決まりません。
ところで内部雑音の発生原因ですが温度によって電子の移動が不均一になることが原因です。この雑音のことを熱じょう乱雑音ということはご存知と思います。その基本的な量は KTB という式で表現されます。一般の増幅器ではこれより大きな雑音を発生します。その「多さ」を示す数値が雑音指数NFです。
そんなわけですから、上の式で「内部発生雑音」は KTB × NF に置き換えればよいのです。
増幅器の出力 = ( 入力信号 + KTB × NF ) × 利得 これが一般的な入出力の関係です。
NFはどう頑張っても1より小さくは出来ません。昔の真空管では3~5ぐらいあったようですが現在では良好なデバイスが開発されて1.1ぐらいになっているようです。ほぼ理論限界になっていると言って良いでしょう。
前述のように増幅器では入力信号がなくても 内部発生雑音 × 利得 の雑音を出力するのでこの量を測れば内部発生雑音の大きさがわかり、同時にNFの値もわかります。NFは一般に増幅器に使われるデバイスによって決まります。動作条件や温度でも幾分かは変わるかもしれませんが僅かでしょう。
※ ところで質問者殿は「雑音指数」と「NF」は別のものと解釈しておいででしょうか?
小生は同じものとして回答しています。
ご不明のことがあれば再度補充してください。
No.1
- 回答日時:
雑音指数 NF は増幅器が発生する雑音の絶対量を示すための係数です。
どんな場合でも KTB という数式で示される雑音(熱じょう乱雑音)が存在することは知っていますね。
( Kはボルツマン定数(1.38×10^-23)、Tは絶対温度、Bは信号の帯域幅 )
増幅器はこれより多い雑音を発生します。その"多さ"を示す数値が雑音指数 NF です。
全く雑音を発生しない理想増幅器でもその出力には KTB×利得 で示される雑音を含んでいます。この場合は NF=1倍(0db) です。
もし増幅器の出力に上記の2倍(電力で)の雑音があったなら NF=2倍(3db) となります。
例えば、27℃において帯域幅10KHzの雑音量は、
KTB = 1.38×10^-23 × (273+27℃) × 10KHz = 4.14×10^-17 [ワット] = -133.8dbm
NF=3db の増幅器であれば、雑音量は -130.8dbm (入力換算値で)
これに -110dbm の受信信号が入ったとすると、増幅器の出力側での S/N は、
S/N = -110dbm - (-130.8dbm) = 20.8db となります。
つまり、増幅後の S/N を知るには、受信信号のレベルと KTB×NF を比較すればよいのです。
ということは S/N の数値は受信信号レベルで変化するということです。受信信号レベルを定義すれば「現在の S/N は ○○db」と表現できます。
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m-jiroさま、早速のご回答ありがとうございました。
最後の、『受信信号レベルを定義すれば「現在の S/N は ○○db」と表現できます。』の表現は、『受信信号レベルを定義すれば「現在の 雑音指数NFは ○○db」と表現できます。』と読み替えてよろしいでしょうか。
私としては次のような結論に至ったのですが、特に問題はないでしょうか。お時間があればご意見をお聞かせください。
(文字数オーバーのため次の補足へ)
(補足の補充です)
(1)雑音指数という言葉の定義は、入力信号の性質(レベル、S/N等)にかかわらず、NF=(入力S/N)/(出力S/N)である。
(2)増幅器等の性能を表す指標(利得、雑音指数、帯域幅等)としての雑音指数は、決められた条件のもとで測定した値NF=(入力S/N)/(出力S/N)である。
決められた条件とは、入力信号は熱雑音しかない理想的信号(入力レベルは任意)とし、周囲温度は290Kとする。
(3)従って、動作状態における雑音指数は入力信号のS/Nによって変わるので、装置の評価指標である雑音指数の値とは異なる。
以上、よろしくお願いします。
再度のご教示ありがとうございます。
まず、NF、F、雑音指数は全て同じものとして書いています。(文字数の違いだけです)
ご指摘の内容で2、3疑問点がありますので、再度お尋ねします。
1点目です。
冒頭のS/NかNFかの関係ですが、S/NはSレベルとNレベルの比で決まる値なので、SとNの比が決まれば受信信号レベルを定義する必要はないと思いました。
またNFは、受信信号のS/Nが同じでも受信信号レベルにより変わると思いますので、「受信信号レベルを定義すればNFは決まる」、と考えました。
内部発生雑音をNa(ほぼ一定とする)とすれば、
NF=(Si/Ni)/(So/No)= (Si/Ni)/[SiG/(NiG+Na)]=1+(Na/NiG)
ですので、受信信号のS/Nが同じなら受信信号レベルが大きいほどNiが大きいのでNFは小さくなります。以上が、NFをS/Nと書き間違えたのかと思った理由です
2点目です。
「入力信号に雑音はない」という条件はうまくイメージできませんが一応横に置いておきます。
「増幅器の出力=入力信号×利得+内部発生雑音」は理解できました。
「S/N=入力信号÷内部発生雑音」の意味が分かりません、どの点でのS/Nをさしているのでしょうか。
「内部発生雑音=kTB×NF」とする理由がよくわかりません。
NFの定義は、NF=(kTBG+Na)/kTBG (Na:内部発生雑音の出力)で、Na=(NF‐1)kTBGと思うのですが、これとの関係はどう考えるのでしょうか。
但し「増幅器出力=(入力信号+kTB×NF)×G」は次の式と一致するので不思議です。
増幅器出力=So+No=SiG+(kTBG+Na)=SiG+NF・kTBG
この場合のTには、入力信号に雑音があった場合は雑音入力を温度に換算してkTBに含めているのでしょうか。もう1通続きますのでよろしくお願いします
最後です。
長文にお付き合い頂きありがとうございました。もう少しじっくり考えてみますので、前回の質問の繰り返しですが、次の考え方で問題はないでしょうか。特に(3)をお願いします。
(1)雑音指数という言葉の定義は、入力信号の性質(レベル、S/N等)にかかわらず、NF=(入力S/N)/(出力S/N)である。
(2)増幅器等の性能を表す指標(利得、雑音指数、帯域幅等)としての雑音指数は、決められた条件のもとで測定した値NF=(入力S/N)/(出力S/N)である。
決められた条件とは、入力信号は熱雑音しかない理想的信号(入力レベルは任意)とし、周囲温度は290Kとする。
(3)従って、動作状態における雑音指数は入力信号のS/Nによって変わるので、装置の評価指標である雑音指数の値とは異なる。
以上、お時間があるときで結構です、よろしくお願いします。
詳しい回答ありがとうございました。
何回も読み直したところ、最初の前提条件で食い違いがあるような気がします。
回答者様は「入力信号に雑音がない」という前提で説明されていますので、私の疑問とうまくかみ合わないようです。
私は、実際の信号(各種の雑音が重畳されSi/Ni=100[倍]の信号)を、性能評価としての雑音指数がNF=2[倍]と表記された増幅器で増幅した場合、出力のS/Nは必ずしもSo/No=50[倍]ならないのではか、という疑問です。
補足コメントでは文字数に制限がありますので、新しいスレッドを立てて具体的数値でお尋ねをしています。
表題は、「雑音指数の疑問(その2)」ですので、ぜひご回答をお願いします。