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優先権制度についてご教示下さい。

質問1
パリ条約同盟国X国に発明Aについて特許出願し、その後(異日に)同一の出願人が、まったく別個に発明A、Bについて同盟国Y国に特許出願したとします。この場合、Y国の出願からは発明Aについて優先権が発生しない、との理解でよろしいでしょうか(根拠:パリ4条C(2))。
上記理解が正しい場合、国内優先権制度ではこのような規定はないと考えてよろしいでしょうか。つまり、発明Aについて国内出願し、その後同一の出願人が、まったく別個に発明A、Bについて出願した場合でも、後の方の出願から発明A、Bについて優先権が発生するとの理解でよいのでしょうか。

質問2
優先権制度で求められる、先の出願と後の出願の「出願人同一」とは完全一致を意味する旨、よく本に記載されています。この意味は、先の出願人が甲さんであった場合、後の出願が甲さんと乙さんの共同出願であってはならないということなのでしょうか。

A 回答 (6件)

弁理士試験受験生の方であり、実務に携わっていない方の質問でしたね。


よく理解しないまま回答し申し訳ありません。
国内優先権ですが、条文を文言どおりに読むと、パリ条約4条C(2)に相当する規定はありません。試験委員もつとめられた後藤晴男先生も著書「国内優先と国際出願」のなかで、国内優先にはパリ条約4条C(2)に相当する規定はないので、ご質問のような発明Aについて国内出願し、その後同一出願人がまったく別個に発明A,Bについて出願した場合、後の方の出願から発明A,Bについて優先権が発生するとしています。
受験生であれば以上の理解でもよいと思います。
しかし、特許法41条2項かっこ書きの規定の趣旨は、優先権を累積的に認めないということであり、この規定の趣旨からすると、前記の場合、後の方の出願から発生する優先権はBになります(Aは発生しない)。
審査基準の複合優先の取り扱いでも、前記発明Aについての国内出願、同一出願人の発明A、Bについての国内出願を優先権主張の基礎とした場合は、発明Aについての優先日は、最先のものにしており、これから判断すると、後の方の出願からは発明Aについて優先権は発生しないとしているように思えます。
国内優先制度導入の際の説明では、パリ条約優先権主張出願で可能であった、部分優先や複合優先を国内出願にも可能にすること、及び国際出願での自己指定を可能にすることであり、あくまでも国内出願をパリ条約優先権主張出願より優先するものではありません。
このことを誤解されないよう「国内優先」という語句でなく、「特許出願等に基づく優先権主張」としています。
なお、蛇足ですが、
出願甲(特許請求の範囲の発明C、明細書中の発明A、C)、この出願の出願公開前である1年2ヶ月後に同一出願人による出願乙(特許請求の範囲の発明A)があり、出願乙を先の出願とした国内優先権主張出願丙(特許請求の範囲の発明A、B)をした場合、
出願丙は、特許請求の範囲に記載された発明が異なりますから、特許法39条では、拒絶されません。同一出願人ですから特29条の2でも拒絶になりません。
このようなことが認められると、発明Aについて、出願甲の先願権により、他者の後願を拒絶可能にできるとともに、出願丙の特許権が発生したら、これに伴う独占排他権が最長出願丙の出願日より20年まで発生し、実質他人の発明を21年2ヶ月排除できることになり、制度を設けた趣旨と反するような気がします。
実務に携わっている方は条文の文言どおりでなく、制度趣旨にのっとったほうがよいように思えます。
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この回答へのお礼

詳細なご回答ありがとうございます。お返事が遅くなりすみません。
情報ソースも明記いただき、例を挙げてご説明いただけたので、大変よく理解できました。
ただ、出願甲から丙のことについてご説明いただいた行は、それほど第三者の不利益になるとは思えません。後願排除と他人の実施の排除は別異の議論と思うのですが・・・。あ、でも、20年以上も前に公開(出願甲の公開)された技術に独占排他権(出願丙の権利)が存在すると、ちょっと不利益にあたるかもしれませんね。
いろいろ勉強になりました。

お礼日時:2004/12/05 10:05

えーっと・・勉強中なので専門家でも経験者でもないので、もしかしたら誤った知識を広めるかもしれません(笑



ということで異論です。

パリ4C(2)についてですが・・
条文上「最初の出願」には「当該国に出願された」とか
「同一出願人に係る」等の修飾がありません。
つまり、他の国に出願したとか他の出願人に寄る出願を
考慮する必要がないのだと思います。
「何らかの関連を持った一群の出願のうち最先の出願」を
「最初の出願」と言っているということです。
そして「何らかの関連」としてここで考えられるのが、
「優先権」による関連だということです。

それでなければ、「同一人出願」を全て精査するとも、
世界全国の出願を精査するとも規定はありませんから、
その出願が「最初の出願」かどうか分らないからです。

つまり、優先権による主張の網をたぐっていって、
最先にあって、優先権を伴わない出願を
「最初の出願」とみなすということで、
網にかからない出願は考慮されていないということです。

そして、後の出願にも優先権が発生しなければ、
パリ4C(4)でその効力を否定する必要がないということです。

てな感じでいかがでしょう?
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。遅くなってすみません。
ちょっと自分の認識と違っていたので、少し戸惑い気味です。もう少し自分で調べてみたいと思います。参考にさせていただきます。

お礼日時:2004/12/05 09:31

質問1の根拠条文ですが、特41条2項かっこ書きになります。


よって、後の方の出願から発生する優先権はBのみです。
ご質問の内容からすると、受験生のようですね。現在、基本書ではないのでしょうが、吉藤氏の特許法概説にも記載されています。
なお、専門家の方、実務に携わっているとしたら、問題ですね。
誤った知識を広めないようにしたいものです。

この回答への補足

ご回答いただきありがとうございました。

ご指摘の通り、私は受験生です。分からないことが多くて困ってます・・・。

ご教示いただいた内容のうち、パリ条約による優先権については、私の認識と同じで納得です。しかし、国内優先権の場合については、「先の出願か優先権主張を伴う場合」のことは、吉藤にも審査基準にも記載がありましたが、「先の出願が優先権主張を伴わない場合」については該当する記載を見つけることができませんでした(当サイトにご質問させていただく前に確認済みです)。41条2項かっこ書も素直に文言解釈すると、「先の出願か優先権主張を伴う場合」についてしか言及していないように思います。

補足説明をいただければ幸いです。

補足日時:2004/11/13 21:49
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補足、ありがとうございます。

ご質問の趣旨がようやくわかりました。

実務上はまずあり得ないことだし、いろんなことを想定したせいでちょっとこんがらがってしまい、勘違いしてしまいました。申し訳ありません。たしかに仰る通りのようです。ただ、条件付きで優先権が発生することもありますね。パリ条約4条C(4)の条件をすべて満たしていれば、後の出願に優先権が発生するようです。また、個人的見解では、同一の出願人だったら同一の同盟国じゃなくても優先権が発生したっていいじゃないか、という気もするんですけど。(^^ゞ

国内優先権について、出願ロに発明Aについて優先権が発生するかどうかですけど、残念ながらそれについては有力な情報は見つかりませんでした。お役に立てずに申し訳ありません。仰る通り、たしかに対応する条文は日本の特許法にはないように思います。これは、パリ優先権主張出願と国内優先権主張出願との性格上の違いのせいじゃないでしょうか。

まず、パリ優先権の場合には基本的には同じ発明を他国に出願するためのものであるのに対して、国内優先権は通常は最初の発明に+α して出願しなおすものですよね。パリ優先権だと出願ロは優先権主張をしなくてもY国で出願することができますし、国が違うんですから出願ロが出願イのせいで拒絶されるということは(ロの出願時点で出願イが公開されていなければ)ありませんけど、国内優先権主張だとロは優先権主張をしないとイが存在するために39条に基づいて拒絶されます。先の出願イを取下げても出願日が後になるだけで、何ら利点はありません。最初の発明に+α して出願しなおすために同一出願人がわざわざ優先権主張をしないでロを出願するということは、机上論では考えられたとしても、現実的にあり得ませんから、パリ条約と同様の規定を設ける必要もないと言えそうです。

それに、もしも出願イから1年経過してしまった後でも、パリ優先権主張せずにY国で発明Aに係る出願ロを出願できますし、出願しないと発明AについてY国で特許権を得ることができませんから優先権主張なしでも出願するしかありませんけど、国内優先権だったらすでに発明Aに係る出願イをしているんですから、39条の拒絶理由を残した状態でロに発明Aを含ませる必要性はありませんし、ロを基礎として発明Aを含む優先権主張出願ハをする必要もありません。従って、やはりここでも、机上論での可能性はあったとしても、実際にそんなことをする人はいないということになります。

ただ、もしかしたら細かい審査基準が別途存在するのかも知れません。特許庁のHPをざっと見た限りでは見つかりませんでしたが。
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この回答へのお礼

追加のご回答、ありがとうございます。実務では行わないことで混乱させてしまい申し訳ありませんでした。

おかげさまでパリ条約による優先権の取り扱いについては、大変よく分かりました。国内優先権の方については、質問後に私も自分でいろいろ調べましたが、結局よく分かりませんでした。

またいろいろ教えて下さい。

お礼日時:2004/11/13 21:48

下記のURLの特許審査基準の優先権を読むと理解できると思いますが、


質問1のパリ条約については、原則Y国の出願からは発明Aについて優先権は発生しません。原則としてとしたのは、4条C(4)があるからです。
国内優先権制度にも同様の規定があります。
質問2については、完全同一ですので、後の出願の出願人は甲さんのみであり、その後出願人名義変更届などで共同出願にすれば甲、乙の共同出願にできます。

参考URL:http://www.jpo.go.jp/shiryou/index.htm
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ごめんなさい。

ちょっと質問文がわかりにくいです。
数時間考えたんですけど、「まったく別個に」という部分と、「Y国でした出願ロからは発明Aについて優先権が発生しない」という部分が、不明瞭です。以下、推測で書いてみますね。

まず、「まったく別個に」という部分が「X国でした発明Aに係る特許出願イの優先権主張をしてY国で発明A+Bに係る特許出願ロをした」ということであると仮定します。(逆の意味の場合については後記します。)

oilpapaさんが言及されているパリ条約4条C(2)の規定とは、
「(2) 優先期間は、最初の出願の日から開始する。出願の日は、期間に算入しない。」
のことですよね? これは優先期間の実質的延長を防止するためのものです。すでに優先権主張をしている出願を基礎としてさらに優先権主張出願をする場合も最初の出願から1年以内にしなければいけないという意味だと思います。つまり、質問文中の例で言えば、
「X国でした特許出願イの出願の日から1年以内でなければY国でした優先権主張出願ロを優先権主張の基礎としてZ国で発明Aを含む特許出願をすることはできない」
ということだと思いますよ。

従って、上記の2つ目の疑問点の「Y国でした出願ロからは発明Aについて優先権が発生しない」という部分が「Y国での出願ロから1年以内であってもX国でした出願イから1年を過ぎていればY国での出願ロを優先権主張の基礎として発明Aを含む特許出願をZ国ですることはできない」という意味でしたら、その通りですね。

国内優先権については、パリ条約4条C(2)と同様の規定がないということですが、発明Aに係る国内出願イを基礎として優先権主張して同一の出願人が発明A+Bに係る特許出願ロをしたのであれば、さらに出願ロを基礎とした優先権主張をして発明A+B+Cに係る特許出願ハをしても、発明Aについては出願日遡及効果はないはずですよ。

特許法第41条第2項、規定をよくご覧下さい。括弧書きで
「当該先の出願(ロに相当)が同項(つまり第41条第1項)・・・の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願(イに相当)に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明(Aに相当)を除く。」
という文言があります。出願ハの発明Aについては出願日遡及効果が適用されないという意味です。

「まったく別個に」
という部分が逆に
「X国でした発明Aに係る特許出願イの優先権主張をしないでY国で発明A、Bに係る特許出願ロをした」
という意味でしたら、まだ優先権主張をしていないので、パリ条約4条C(2)は無関係となり、Y国で特許出願ロが出願された日から1年以内に出願ロを基礎として発明A+B+Cに係る優先権主張出願ハをZ国ですることは可能なはずですよ。

でも、そんなことをすれば、ただ単に優先日が遅れるだけで、出願イから出願ロの間に他人がY国で発明Aに係る出願をしてしまっていれば、Y国での出願ロは発明Aについては特許を取れなくなってしまいますから、わざと優先権主張をしないなんてことをする人はいないと思います。

さらに話がややこしくなりますが念のために付け加えておくと、X国でした特許出願イを基礎とした発明Aを含む優先権主張出願ニをZ国ですでに出願していれば、先願が存在することになりますから、ハは拒絶されます。(発明Aを削除すればOK。)

また、出願ハの優先権主張日(Y国でのロの出願日)時点でX国でした特許出願イがすでに出願公開されていれば、通常はロもハも拒絶されることになります。(当たり前ですね。)

国内優先権についても、発明Aに係る国内出願イの優先権主張をしないで同一の出願人が発明A+Bに係る出願ロをしたということだとしたら、出願ロを優先権主張の基礎とした発明A+B+Cに係る特許出願ハをすることは可能だと思いますけど、たとえロを出願イの公開前に出願してあり且つ出願人が同一であったとしても、出願ハは(もちろん出願ロも)特許法第39条第1項に基づいて拒絶されますので、出願イを取下げる必要があります。

この場合も、ただ単に出願日が後になるだけなので、場合に依れば他人に同一発明に係る先願を出されてしまう恐れがありますから、実際にこんなことをする人はまずいないのではないかと思います。むしろ、出願ロ、ハから発明Aを削除するのが通常でしょう。

質問2については、出願人甲から特許を受ける権利を譲渡された出願人乙が先の出願を基礎とした国内優先権主張出願をする際に、先の出願の名義変更をしたような記憶があります。従って、後の出願をする前に先の出願の名義を後の出願で予定される名義と同じ(出願人=甲+乙)にしておけば大丈夫だと思いますよ。

この回答への補足

お返事いただきありがとうございます。いつもお世話になっております。

不明確な表現ですみません。わざわざ場合分けまでしていただいて、感謝しております。

ところで、「まったく別個に」という表現で私が意図していたのは、「何の優先権主張も伴わないで」ということでした。したがって、いただいた回答ですと後半部分に該当します。

パリ4条C(2)にいう「最初の出願」とは、「同盟国への最先の出願」ということではないのでしょうか。したがって、Y国への出願ロが優先権主張を伴っていようといまいと、発明Aについての「最初の出願」はX国での出願イであり、出願ロで発明Aについての優先権は発生しないのではないかと思うのですが・・・違いますでしょうか。

国内優先権についてもご質問させていただいたのは、上記私の理解が正しい場合に、国内優先の場合も最初の出願(最先の出願)からしか優先権が発生しないのかなぁ・・・と思ったからです。もちろん41条2項の規定は知っておりますので、基礎出願が優先権主張を伴う場合は、当該優先権主張の基礎となる出願と重複する部分については当該基礎出願で優先権が発生しないことも知っております。ですので、私が知りたいのは、基礎出願が優先権主張を伴わないケースでの扱いです。

以上、補足のつもりなのですがご理解いただけましたでしょうか。実務では選択しないケースであることは承知しておりますが、優先権の規定の意味をきちんと理解したいのでご教示下さい。

補足日時:2004/11/10 20:36
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