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A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
> 物価の変動はなく賃金の変動のみのときはどう考えればよいですか?
あり得ません。
経済は「生き物」です。
物価が変動しない、ということはあり得ません。
また、賃金も同様で、経済情勢に応じて、どれほど少額であろうと上下変動します。
つまり、物価変動率 ≠ 0 ですし、賃金変動率 ≠ 0 です。
その結果として、「こういった変動率をそのまま適用するよりもさらに圧縮し、年金財政の安定化を図る」という目的の「スライド調整率」についても同じです。
したがって、スライド調整率 ≠ 0 です。
要は、物価変動率 ≠ 0、賃金変動率 ≠ 0、スライド調整率 ≠ 0。
ただそれだけのことです。
こういった前提の下で、年金額の改定が行なわれます。
まして、回答2で詳しく説明した「年度毎の年金改定率」が累積されますから、必ずといってよいほど、変化します。
マクロ経済スライドというのは、年金額の改定のしくみの「一つの部分」です。
言い替えると、年金額の改定のしくみの全体を理解しないとだめ、ということ。
はっきり申しあげて、ただの「経済学」として「マクロ経済スライド」だけを考えてしまう、ということだとしたら、残念ながら、それは間違っています。
No.2
- 回答日時:
十分に注意する点があるので、もう少し続けますね。
老齢基礎年金の額は、実は、法で固定されています。満額で780,900円です(国民年金法第27条)。
大規模な法改正により、平成16年度からこうなっています。
このとき、年金改定率(厳密には「年度毎の年金改定率」)と言ったときには、実は、この780,900円に対して考えることになっています。
平成16年度の年金改定率を「1」として、そこを基準にしています(同 第27条の2)。
たとえば、令和2年度の老齢基礎年金(満額)は、781,700円。
つまり、780,900円 × 1.001 = 781,700円 となっているので、この 1.001 というのが年金改定率(平成16年度に決めた基準[上述]と比較して0.1%アップ、という意味)です。
この 1.001 というのは、どこから出てくるのでしょうか?
これは、回答1で書いた、年度毎のアップダウンの率から出てきます。
平成16年度以降の、毎年度毎年度のアップダウンの率を、繰り返し繰り返し延々と掛け続けて導くんです。
令和元年度の場合。
平成30年度の改定率(当然、上で書いたように「掛け合わされた結果」です)は、0.998でした。
で、まず、0.6%アップの改定(回答1で書きました)なので、1.006を掛けます。
しかし、マクロ経済スライドで、まず最初にキャリーオーバーを適用してマイナス0.3%するので、つまりは、さらに0.997を掛けます。
そして最後に、その年度のマクロ経済スライド率によってマイナス0.2%するので、0.998を掛けるんですね。
0.998×1.006×0.997×0.998=0.999 になります。
この0.999という数字を、令和元年度の年金改定率といいます。
ここでやっと、780,900円×0.999=780,100円 という、令和元年度の老齢基礎年金額(満額)が出てきます。
平成30年度のそれは 779,300円でしたから、100.1%。つまり、0.1%増えました。
0.1%改定というのは、実は、こういったことです(100.0% ⇒ 100.1%なので、+0.001で、1.001という意味。779,300円×1.001=780,100円ということ。)。
つまり、0.1%改定=1.001だから年金改定率を1.001と言ってよいか、というと、実はそうではなくて、先ほど書いた0.999を答えなくてはならない‥‥。
ここが、実に「ややこし過ぎる」ところです。
同じく、令和2年度の場合。
令和元年度の改定率は、上述したとおり、0.999です。
ここに、0.3%改定なので、1.003を掛けます。
そして最後に、マクロ経済スライドの調整率によってマイナス0.1%するので、0.999を掛けます。
つまり、0.999×1.003×0.999=1.001。
780,900円×1.001=781,700円、となるわけですね。
このとき、令和元年度の 780,100円(これを1.000とする)に対して0.2%改定(1.000に+0.002する、という意味)するので、780,100円×1.002=781,700円。
年金改定率の1.001ではなくて、1.002を使っていますよね。
こういうことなんです。
年金改定率、といった単語を使うと、実は、厳密に、こう切り分けて考えないといけなくなります。
ここは気をつけないと、ほんとうに話が通じなくなってしまうところです(専門の立場の人との話が通じなくなってしまいます。)。
ですから、何%改定する‥‥と報道されたときは、年金改定率のことではなくて「前年度と比較して、何%がアップダウンするのか」という「率」を「改定」としてとらえて下さいね。
No.1
- 回答日時:
年金額は、まず、物価変動率に連動して改定されます。
ただし、既に受給中の人(既裁定者といいます)は物価変動率に基づいて改定するものの、請求によってこれから受給が始まる人(新規裁定者といいます)は賃金変動率に基づいて改定します。
また、このときに、物価変動率 > 賃金変動率 となっているときは、既裁定者も賃金変動率を用いて改定を行ないます。
さらに、賃金変動率 < 0 となったときには改定を行なわず、いずれの人に対しても年金額を据え置きます。
-----
上記の年金額改定のあとでさらに行なう調整が、年金額のマクロ経済スライドです。
以下の3パターンのいずれかになります。スライド調整率(下げ幅)は、原則、毎年度異なります。
1 物価 ↑、賃金 ↑ のとき
・ 上述した改定率 - スライド調整率 = 実際の年金改定率
2 1ではあったけれども、実際の年金改定率 < 0 となってしまうとき
・ 最終的な年金改定率 = ± 0
⇒ マイナスの改定率を繰り越し(キャリーオーバー)、実際の年金改定率 > 0 となる年度に適用
3 物価 ↓、賃金 ↓ のとき
・ いちばん最初に述べた改定率だけを適用して改定
-----
平成30年度が始まった時点でのキャリーオーバーは、マイナス0.3%でした。
しかし、年金額が据え置かれた年度だったので、マクロ経済スライドは適用されていません(上記の3)。
令和元年度は、その年度単独のマクロ経済スライドの調整率(マイナス0.2%)をまず適用。
さらに、先述したキャリーオーバー分(マイナス0.3%)も適用して、計0.5%のマイナス。
物価変動率 1.0% > 賃金変動率 0.6% だったので、最初にプラス0.6%を適用して改定した上で、すぐ先に記した0.5%のマイナス(これが最終的なマクロ経済スライド)を反映させて、結果的には、プラス0.1%の年金額改定となりました。
令和2年度(今年度)は、物価変動率 0.5% > 賃金変動率 0.3% で、最初に 0.3%の改定。
その上で、その年度単独のマクロ経済スライドの調整率(マイナス0.1%)を反映させて、結果としては、ブラス0.2%の改定となっています。
-----
このようにして考えていってみて下さいね。
それぞれの率については、新年度に入る直前、年がかわってすぐの、1月中旬過ぎに発表されます。
消費者物価指数(物価変動率)の定期発表の時期がそうなっている関係です。
これが出ないと、法定の計算式上、賃金変動率も年金改定率もスライド調整率も、いっさい出せません。
厚生労働省のホームページと、日本年金機構のホームページに載ります。
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