No.2
- 回答日時:
提唱されていた物理理論を「間違い」と言う場合、例えば「天動説は間違いだった」と言うような「全部間違っていた」と言ったものだけでなく「厳密に言えば正しくない」と言うものもあります。
後者の場合、旧理論は新理論に完全に取って代わられるのではなく「正しくはないけどこう言った問題なら使える」とされて引き続き生き残ります。「ボーアの原子模型は間違い」と言うのは後者でしょうから、リュードベリ定数を求める場合には十分使えると言う具合に考えておいたらいいと思います。もちろん量子力学を用いても導かれるはずです。No.3
- 回答日時:
「モデル」というのは物事を単純化してわかりやすくしたものです。
なので、それが現実と一致しないからと言って「間違い」と言ってしまうのは早計です。そもそも、ボーアの原子模型が物理学や化学の歴史の中で高く評価されているのは重要な概念を含んでいるからです。すなわち、電子の波としての性質に焦点を絞って、原子核の周りを周回する際に波が定常状態になるという考え方を導入したことが重要なわけで、それによって様々なことが説明できるようになり、リュードベリ定数なども理論的に計算できるようになったわけです。
したがって、それが誤りなのになぜ成り立つのかと思うのではなく、成り立つからには科学的な真実を含んでいると理解するのが自然です。もちろん、電子の状態を説明するには不完全ではあるでしょうけど、モデルとしては素晴らしいと思いますよ。
No.4
- 回答日時:
>ボーアの原子模型は電子が軌道運動をするって言ってるから間違いでした。
これが違いますね。より正確なモデルが出た。ということです。
量子論で正確に計算しても、もっとも確率が高いところを電子が通っているとすれば、シンプルな軌道モデルになります。
ニュートンの古典力学が、相対性理論で上書きされても、光速より遅いスピードでは、近似された方程式は、古典力学に一致します。
このように、上位互換を保ちながら、理論が成長する・・・・っていうイメージでしょうね。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
ボーアは以下の仮説を提起して、見事に水素スペクトルのパルマー系列を極めて正確に算出しました(1914年)。
(1.)原子内の電子のエネルギーは1/n^2に比例する飛び飛びの定常状態が存在する。
(2.)電子が定常状態の間を移動する際には、そのエネルギー差をhで除した振動数の光の発光あるいは吸収を伴う。
(3.)定常状態の電子は通常の力学の法則に則る。すなわち、クーロン力が働く際のケプラー運動をする。
彼は、電子を古典的な粒子と見なしてました。ド ブロイ波は、ずっと後の1923年に発表されたので、その時には知られてなかったのです。彼は、古典物理学では、周回運動をする電子は、同じ振動数の光と共にそのn倍の振動数の(多くの)高調波を射出することに無理やり”こじつけた説明”をしてます(朝永の量子力学 I 第3章18節”ボーアの理論”を参照)。
厳密な理論では無かったのだけど、原子レベルでは従来理論とは全く異なることが起きていると誰もが認識していたので、どんな理論にせよ観測値を6桁に渡って再現した計算結果は衝撃を与えました。
ボーアが、水素原子内の電子状態の新しい信頼に足るモデルを提示して、電子の各エネルギー状態を正確に計算したことは、誰しも認めざる得ませんでした。
彼の提示したエネルギー値(すなわちリュードベリ定数の構成式[R= m_0 q^4 / (8ε_0^2 c h^3)])は現在でも正しいものです。しかしながら、彼の仮説(3.)の理由付けが不十分だと、発表当時から見なされてました。電子が波であるというド ブロイ波の概念が発表されて、n > 1の励起状態の軌道にn波長の波が存在すると補正されて、さらにシュレーディンガー方程式が現れて、電子波が複素数で表さざる得ないことが分かったのです。
結局、ボーアの提起した(1.), (2.)の仮説は正しかったが、(3.)は全面的に改めねばならなかった訳です。
ボーアは、数学的には正しい応え(エネルギー値)を得たが、実体を物理的に説明は出来なかったとも言えます。
(もっとも、現代の理論も、数学的な精度は上がったが、一番簡単な構造体である光子や電子の本質が説明できてないので、物理的な実体を捉え切れてない点では程度が違うだけだと思います)
長々と書いてきましたが、ボーア モデルが不十分であるのに、彼が算出したリュードベリ定数[R= m_0 q^4 / (8ε_0^2 c h^3)]がなぜ正確なのかという回答にはなってませんが、私はその説明を知りません。ただ、ボーアの示したm_0, q, c, hとかの組み合わせが正しかったので、計算値が正確になったことは確かでしょう。
ボーア モデルのリュードベリ定数の正確さには、まだ隠された秘密があるのだと、私は思います。ちなみに、リュードベリ定数はややこしい構成ですが、R= α^2 / (2 λ_0)と簡単に表すことが出来ます。αは微細構造定数、λ_0は電子のコンプトン波長です。多分、この式の方が本質に近いのであろうと思います。
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