魏志倭人伝には「出真珠青玉 其山有丹 其木有柟・杼・(中略)楓香」とあります。
後半は「樹木は柟(だん。クス)、杼(ちょ。トチ)(中略)がある」と言ってます。
これらの植生は有価物として殊更に採取していないということかと思います。
(ドングリ類もあるようで、この実は食べてたかも知れません)
これを「其山有丹」にも適用できないのでしょうか?
丹は水銀朱(硫化水銀)とされ、それを採掘していたと理解されています。
其木有柟杼・・・は採取していないことから類推すると、山には丹があっただけで採掘していない。
丹とは赤土と言う意味で(Wikipediaはこういう解釈)「山には赤土があります」というだけでは
なかったのか?こういう疑問にぶち当たりました。
例えると、関東地方が関東ローム層である、と言う程の意味でしかないとか。
真珠青玉の「出る」は「産出する」という意味で間違いないと思います。つまり「採取されていた」
で間違いないと思います。
丹は「有る」とあり、後半の樹木と同じ表記です。もし丹という有価物が産出するという意味なら
「其山出丹」という表現にならないだろうか?
こういう疑問です。
A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
鉄を倭がどのように入手していたのか、結構あるようです。
とにかく、素材としての鉄の塊を中国から手に入れて、それを倭で加工して必要なものを造っていたようです。
http://ohmura-study.net/007.html
古代鉄 弥生時代後期(紀元前1世紀~紀元1世紀)の鉄素材
平成24年、福岡市博多区・比恵遺跡群の125次発掘調査で、メタル成分をほぼ完璧に残した鉄塊(インゴット)が発掘された。随伴出土品の編年から、紀元前1世紀~紀元後1世紀(弥生中期末~後期前葉)の金属遺物と推定された。
今から約2,000年前、卑弥呼の邪馬台国が成立する以前の金属遺物である。
土中から発掘される古代の鉄系遺物は、ほとんどが錆び化していてメタル成分が残るのは希(まれ)であった。
成分々析の結果、大陸の炒鋼法で造られた高純度の軟鋼(炒鋼)と判明した。
鉄塊周辺の断面から、切り取られた残塊と推測され、渡来した最初の鉄塊はこれより大きなものであったことが窺える。この鉄塊素材を適宜に切り取り、赤熱鍛打して各種の鍛造鉄器が造られた。焼入れをして刃物も造られたと思われる。鉄質の純度の高さと銅の含有量の多さも錆びの進行を食い止めた要因と見做される。
中国からどの経路でか、入手していたのでしょう。
北九州で昔、石炭を採取利用していたという話しは、お目にかかったことないです。
http://ohmura-study.net/016.html
製鉄法の伝播
福岡県香春町宮原金山遺跡は、香春岳一ノ岳周辺の斜面に存在する大量の磁鉄鉱石より製鉄を行っていた日本では珍しい鉄鉱石製鉄遺跡で、径3~4㎝に破砕された磁鉄鉱と、炉壁や製鉄滓が大量に出土している。操業は10世紀後半~13世紀前半代で、ピークは操業初期にあると考えられる(九州歴史資料館2012)。
従来、前後の時期や周辺地域につながりが見い出せない孤立した鉄鉱石製鉄の系譜は不明であったが、泉州市下草捕遺跡と共通点が多い点に注目すれば、博多や芦屋(福岡県遠賀郡)を通じて福建の製鉄技術が導入された可能性も生じてくる(桃崎祐輔2023)。
魏志倭人伝では、丹を倭が魏に献上していたと、中国側が書き残しているのですから、中国側の認識としては、倭の土地で採取試験上品状態に加工をしていたのでしょう。 この丹はたぶん辰砂のことでしょう。wikiには次の説明があります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中国において古くから知られ、錬丹術などでの水銀の精製の他に、赤色(朱色)の顔料や漢方薬の原料として珍重されている。
『史記』巻128貨殖列伝[3]には、「巴の地方にいた清という名の寡婦は、先祖が丹穴を手に入れたことで、数世代にわたり巨利を得ていた」(而巴寡婦清、其先得丹穴而擅其利數世)と、辰砂の発掘地を見つけた人間が巨利を得た記述がある。
中国の辰州(現在の湖南省近辺)で多く産出したことから、「辰砂」と呼ばれるようになった。日本では弥生時代から産出が知られ、いわゆる魏志倭人伝の邪馬台国にも「其山 丹有」と記述されている。古墳の内壁や石棺の彩色や壁画に使用されていた。漢方薬や漆器に施す朱漆や赤色の墨である朱墨の原料としても用いられ、古くは若杉山辰砂採掘遺跡(徳島県阿南市水井町)、伊勢国丹生(現在の三重県多気町)、大和水銀鉱山(奈良県宇陀市菟田野町)、吉野川上流などが特産地として知られた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
辰砂を含む土砂?砂利?をそのままで中国に貢献したのではなくて、ある程度の選鉱をした「第一級辰砂」のような製品として中国に持っていったし、倭の中でも貴重なものとして各地で大変価値あるものとして扱われたのでしょう。 翡翠の勾玉や管が各地で出土するように、貴重なものはほんの少量でも、遠くに運ばれて尊重されたものと思います。
この下にあるPDFに、水銀を求めて神武は東征したという解釈がありますが、結構、納得できる説だと私は思います。 このPDFには湖沼鉄での製鉄の可能性も書かれているのですが、この当時5世紀より前では、鉄はまだ重要性も貴重品としての価値が広く認めらてなく、銅や青銅の合金の方が大事でしょう。 剣や鍬・鋤・刃物としての鉄が重要になるのはもっと時代が下ってからです。
http://www.tenpes.or.jp/files/user/pdf/personal/ …
No.3
- 回答日時:
> 丹は水銀朱(硫化水銀)とされ、それを採掘していたと理解されています。
> 其木有柟杼・・・は採取していないことから類推すると、山には丹があっただけで採掘していない。
> 丹とは赤土と言う意味で(Wikipediaはこういう解釈)「山には赤土があります」というだけではなかったのか?こういう疑問にぶち当たりました。
採取していただけでなく、利用し、交易にも、
https://www.yomiuri.co.jp/column/japanesehistory …
焼成するまでもなく、赤い石、土、沼、川があったという情報が、何かの形でか、どのような経路でか、大陸に伝わって、それを聞いたような人が、書き留めたのでしょう。 倭の産物や風土、風俗などをまとめて書き留めるときに利用しただけで、実態をつぶさに知って、文字を使ったということはないでしょう。 植物の状況に関しても、実体験や現物見本に基づいて書いたなどと言うことはないはずです。
https://ameblo.jp/a-takeshita/entry-11495255135. …
https://www.onestory-media.jp/post/?id=1824
なお、丹と朱、物質や産出状況を区分して用語を使い分けたとは思えないです。 水銀とは限らないし、鉄とも言いきれないです。
ですが、大量に水銀をつかったのもあるようですから、これを当時の大陸の人が聞き知っているか、水銀だと思い込んでしまっていたのなら、単に山に丹があるという記載にすることはないでしょう。 単に、鉄さびの赤の山があるくらいの受け止めだったのでしょう。
https://ameblo.jp/jounoiseki/entry-12816410506.h …
https://ameblo.jp/jounoiseki/entry-12712708584.h …
> 其の山に有る丹がベンガラだった場合、鉄の材料という可能性はあるでしょうか?
沼鉄、高師小僧でも、こうしたものを利用して鉄を拵えるにはそれなりの火力が必要です。 実験的にはできないことはないですが、もとになる知識や経験があってこそ少量作れるだけです。小さな刃物や釘のようなものを拵えるだけの鉄を、造ることはできないです。
No.2
- 回答日時:
5年くらい前に私が全部、訳を書き直したのだけれども、その後誰かがまた書き直しているみたいですね。
しっかしヒドイ訳だな。まず樹木の下りですが、有る(生えている)という意味でしかないです。使っているかどうかまでの意味を含んでいないということです。なので家の柱に使ってる木もあれば、ただ生えているだけで使っていない木もあるでしょう。たとえば木の種類に『烏號』と書かれているものがあります。これ、何の木なのか分かりますか? 烏號という木は無いのです、これは元は優れた弓のことなのです。なので優れた弓の材料になる木のことを烏號と書いているのです。その後に竹も書かれていますが、その中に『簳』があります。簳とは矢柄、つまり矢の棒の部分のことです。これらはセットで弓矢の原材料があることを書いているものです。ちなみに竹に書かれている『桃支』は非常に訳に難しく、おそらく”竹細工の原料となる竹”という意味で書かれています。
このように木なども、使用していることがはっきりわかるものがありますので、ただ有るだけで使用していないという解釈はできないでしょう。
そしてヒドい『出真珠~』の訳です。
通常は、真珠=海の真珠、青玉=ヒスイ、丹=水銀朱、と解釈されています。これで正しいだろうと私も思います。
しかし真珠が青玉と併記されているので、この真珠が海の真珠ではなく山で採れる水銀朱ではないか?という解釈があります。赤と青という色の対比と考えても、白と青より映えるところです。この解釈の場合、その後に出てくる丹が水銀朱はもう出ているのでベンガラ(赤の顔料)だろうということになります。
その wiki の腐った訳は、これらをごっちゃにしたものですね。ほんとうにバカが書いたヒドい訳だと思います。
私の解釈その他の動画です。
説はともかく、訳もしているので参考になると思います♪
烏號が「優れた弓」と言う意味であり、魏志倭人伝における記載では
「優れた弓を作れる樹木」という意味なのですね。
近所の公園に「真弓」という木が植えてあって「弓の材料になる」という
説明がありました。烏號の木とは今でいう真弓の木の事かもですね。
生えているだけで有価物として採取していないのでは?という意見が
間違っていたことを明確に指摘していただき感謝します。
真珠が英語のパールの場合、青玉が海産物の可能性がある、と考え、
(並べて書いてあるので)
青真珠(今でも対馬で採れる)又は青い宝石珊瑚の可能性は考えたことがあります。
中国では青玉とはヒスイを指しますが、ここでいう青玉がヒスイであれば
長崎県長崎市付近では海岸でヒスイが取れます。
ちょっと脱線しましたが、「其山有丹」とあるから「有る」だけで
殊更採取しているとは限らないのでは? という疑問は晴れました。
ありがとうございます。
以降、追加質問にて。
No.1
- 回答日時:
わざわざ「有丹」と書いてあるなら水銀朱を意味します。
その辺の樹の生えてない山肌を見ればわかる様に赤土ならどこにでもあります。それをわざわざ「有丹」とは書かないです。それに水銀朱は当時のとても高貴な人の墓からしか発見されていません。つまり水銀朱は貴重な産物だったということです。同様に赤い土である酸化鉄のベンガラは水銀朱のような殺菌力もありません。中国正史の文字使用は精選されており、只の赤土の意味で「丹」の文字は使いません。また字典を見てもわかる通り、丹を赤土と解釈するのは枝葉末節な使い方です。
弥生時代、北部九州からは鉄の矢じりなどが出ます。
鉄器の材料としての赤土(赤土の赤色は酸化鉄です)がある、と言う
可能性はないんでしょうか?
魏の人間が普段目にするのは黄砂としたら、赤いのが目についたとか。
「わざわざ「有丹」と書いてあるなら水銀朱を意味します。」というのが
実は先入観ではないのだろうか? と言う疑問です。
「中国正史の文字使用は精選されており」
陳寿は正史として三国志を書いたのではありません。書いたものが死後正史として採用されたものです。
Wikipedia日本語版 陳寿 参照ください。「三国志」の項にそう書いてあります。
貴殿は三国志を「正史として書かれた」と勘違いしているではありませんか?
そういう思い込みで「丹=硫化水銀」と思い込んでいたのではないか?と言う疑問です。
悪いが、論拠を崩させてもらいました。
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真珠が水銀朱、青玉がヒスイ(あるいは他の青い鉱物?)、と言う説の場合には
其山有丹の丹は水銀朱ではなくベンガラ(あるいはWikipediaにある赤土)であろう。
こういう理解をしました。
ベンガラも赤鉄鉱みたいなもの(鉄を多く含む)とみれば、九州北部から鉄の矢じりなど
出土していることも有り、鉄の原料としてのベンガラ、という可能性もある気がします。
もちろん九州の石棺墓の内部にベンガラで塗装されたものも出土していますので、赤色顔料
という使い方も多かったと思いますが。
邪馬台国九州説であれば、其山にあるベンガラ、鉄の矢じりが出ること、倭国大乱の記載
これらが全部説明できそうに思います。
其の山に有る丹がベンガラだった場合、鉄の材料という可能性はあるでしょうか?
No.3様へ
九州からは土器や矢じりが出て鉄のものもあります。
東亜古代史研究所 魏志韓伝のページに、辰韓の鉄を取っていたとあります。
https://www.eonet.ne.jp/~temb/16/gisi_kanden/gis …
北九州からは石炭も産出するし、当時鉄を精製する技術と知識はあったのでは?
で、鉄の材料として赤土を使っていた可能性は否定できない、と考えました。
それで、質問を立てた次第です。
また、魏志倭人伝の伊都国の記載には「丗有王皆統屬女王國郡使往來常所駐」とあり、
伊都国に郡使が来ていたとあります。
回答の「実態をつぶさに見たわけではない」という部分に疑問符がつきます。
これらの部分はどう解釈しているか、お願いいたします。
No4様
詳細にありがとうございます。いろいろと調べていただいたことも深く感謝いたします。
北九州の石炭は後年とのことですが、他の熱源で鉄自体は作れていたのでは?
という疑問は残ります。
紀元前1世紀~1世紀頃大陸の鉄を持ってきて、それを国内で加工したらしいとあります。
大きな塊を国内で小分けし、鍛造したらしいとのこと。情報ありがとうございます。
小分けして鍛造するときに、加熱する必要があるでしょう。その熱源は何でしょうか?
熱源は北九州の石炭ではないかも知れませんが、木炭や竹炭だったかも知れません。
そういう熱源があったことはうかがえます。
であれば、それと赤土を混ぜて鉄を生むという技術ができた可能性はあると思います。
その赤土が「其山有丹」と記載されているのではないか、という疑問は残ります。
続く
No4様へ 続き
水銀朱は化学名硫化水銀です。硫黄を含みます。
硫黄の安定同位体が数種類あり、硫黄36と硫黄38の比から水銀朱のを特定する試みがなされています。
https://www.riken.jp/press/2019/20191126_2/
それから言うと、九州から出土するものは、中国産の水銀朱の特徴を示してもいます。
であれば、本当に倭国から中国に水銀朱を輸出していたのか? 輸入していたのではないのか?
言うまでもなく、其山有丹=山から水銀朱が採れる。丹=水銀朱である。とされています。
この定説に疑問符がついてしまった次第です。
其山有丹(赤土=ベンガラとしての顔料兼鉄原料)がある、ではなのか。
という疑問が消えないのです。
皆様へ補足情報
後漢書倭伝という歴史書があります。
時代的には魏呉蜀より古い後漢ですが、後漢書成立は三国志より新しく西暦432年頃。
魏志倭人伝に150年ほど遅れます。
https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%BE%8C%E6%BC%A …
引用します。
「出白珠青玉其山有丹土氣温腝」
真珠(パールだと思う)青玉(翡翠だと思う)が出て、その山には丹土がある、とあります。
白珠と言ってるので、魏志倭人伝の真珠はやっぱり水銀朱ではなくパールではないでしょうか?
ここには、その山には丹ではなく、丹土がある、と書かれています。
丹土ということは赤土ではないのか、という意見もいただきましたので、補足します。
やはり、水銀朱ではなく赤土(鉄で赤い)のではないでしょうか?
皆様へ訂正
北部九州から矢じりが出るという部分ですが、御認識であったのでお詫びして修正します。
矢じりは例えば6世紀の筑前町 藤坂古墳群 などからの出土があります。
直方市小野牟田横穴墓群からも古墳時代後期の鉄の矢じりの出土がありますが、
古墳内という密閉空間で錆の周りが遅く金属部分が残っていたようです。
意見自体は変わりませんが、論拠の出土を「昭和50~51年、吉野ヶ里の甕棺墓を主体とする
弥生時代墓地が完掘され、多数の銅鏡や鉄製武器その他の副葬品」が見つかったところに求め
これをもとに「当時九州でも鉄の武器が使われていた」という意見の論拠にさせてください。
https://www.yoshinogari.jp/introduction/remains/
昭和20年代以降 の部分です。