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レニン-アンギテンシン系で,
(1)アンギオテンシンIIは糸球体の輸出細動脈を優位に収縮させるから糸球体濾過量(GFR)が上昇し,少々の動脈圧下降に際しても尿生成量を確保する
(2)アンギオテンシンIIは腎血管を収縮させるから糸球体濾過量(GFR)が下降し,動脈圧下降に際して尿生成量を減少させ循環血液量を確保する。
という,矛盾した2つの説明が平然と同じ本に書かれているのですが,一体どちらが正しいのでしょうか?

A 回答 (1件)

正常状態における作用なのか、レニン-アンギオテンシン系が亢進した状態での振る舞いか、アンギオテンシン単独の作用のみを記述しているのか、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAA系)全体の動きを見ているのか、整理して考えましょう。

アンギオテンシン?(A?)の血管収縮作用や尿細管における再吸収促進作用は生理的状態でも存在します。腎臓の主要な機能は体液の恒常性の維持であり、そのため1日180Lにおよぶ濾過を行い、その99%を再吸収するという、一見極めて無駄の多い作業を行っています。生理的状態でRAA系が亢進しているのは、塩分(体液)喪失状態であり、腎臓がNaを保持しようとしている状態にほかならないのです。従って、RAA系は、糸球体濾過を維持したまま、濾過されたNaを再吸収する必要があります。そのため、慢性的にRA系が亢進している減塩状態・脱水状態・Bartter症候群では、A?は近位尿細管に直接作用して、なおかつ副腎からアルドステロン分泌を刺激して、集合管および遠位尿細管に作用してでのNa再吸収を促進します。詳細は省きますが、腎内では、A?はpositive feed backを行っています。一方では、血管系では、腎血流やGFRを保つための機序が存在します。つまり、ご指摘のように輸出細動脈をより強く収縮させます。その結果、糸球体内血圧は上昇し、GFRは維持されます。血管系のA?受容体はnegative feed backを受けています。以上の作用を併せ持つと、Naバランスを保ちつつ、一方で大量のGFRを維持するように、巧妙なコントロールが行われていることが分かります。腎全体の血流が落ちても、GFRを維持する努力がぎりぎりまで働いているということです。はなしは脱線しますが、脱水状態の患者さんでは、RAA系が亢進していて、ぎりぎり輸出細動脈が収縮して糸球体内圧を保ちつつ、Na再吸収を維持しています。A?はもとより腎血管全体に収縮作用がありますが、一方でプロスタグランジン合成も亢進して、腎血流を維持しています。この様な状態の時にNSAID(非ステロイド系の消炎鎮痛剤)を大量に使用すると、代償性に亢進したプロスタグランジン系がばっさり切られて、一気に腎血流が低下して、急性腎不全になることがあります。特に高齢者の、脱水状態の存在する発熱患者などでよく見られますね。さて、ここで思い浮かべるのは、Bartter症候群の低カリウム血症の治療に、NSAIDを用いることです。Bartter症候群では、ヘンレ上行脚のNa-K-2Cl輸送体が阻害され、ちょうどループ利尿薬(ラシックス)を大量長期に使用しているのと同じ、脱水、RAA亢進。PG産生亢進が起こっています。ここにNSAIDを投与すると、すっぱりと見事に作用して、いくらカリウムを投与しても是正しきれなかった低カリウム血症が改善してくると言うわけです。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。とても参考になりました。
臨床的な内容も凄く勉強になりました。

お礼日時:2005/07/31 00:32

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