No.1
- 回答日時:
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia) よりのこぴーです。
>相(アスペクト)による分類
動詞の相(アスペクト)の特性から動詞を分類することができる。動作の持続する時間に基づいた継続動詞/瞬間動詞、ある状態への変化を意味するかどうかに基づいた目標動詞/非目標動詞などいくつかの観点からの分類が可能である。ヴェンドラーによる次の4分類がよく知られている。
状態動詞(state): 原形のまま状態を表し、進行形をとらない。like,live,haveなど。
活動動詞(action): 進行形で動作の継続を表し、着点や結果や動作の限界点をもたない。runなど。
到達動詞(achievement): ある状態が実現される瞬間的な出来事を表す。動作の過程は表さない。arriveなど。
達成動詞(accomplishment): 継続的な動作の結果、ある状態を実現することを表す。makeなど。
********
上の説明ですと、動詞自体の区別のように思えてしまいますが、目的語も違います。
I made a box. のように、達成動詞は、出来あがった完成物を目的語に取りますが、到達動詞はそう言うことは基本的に、ありません。
No.2
- 回答日時:
どうも、「到達と達成の動詞を見比べてもいったいどう違うのか判断ができません」というのはjacky15さんだけでなく文法の専門家でも同じようです。
著名な英語文法家である安藤貞雄氏は、達成(accomplishment)、到達(achievement)という用語が「紛らわしいこと、および、用語がアスペクト特徴を明瞭に表していない」(後述の著書の前者のp.72の脚注より)ことを理由に、Vendler(1967) の動詞分類にほぼ対応しながらもその改良版を提案しています。
(安藤貞雄『現代英文法講義』(開拓社、2005、pp.71-75)及び『英語教師の文法研究』(大修館書店、1983、pp.63-68))
安藤は、到達動詞(achievement)と達成動詞(accomplishment)を、共に「完結的(+conclusive / telic / perfective )」という一点でまとめ、それを「瞬時的(momentary)」かどうかという視点で「瞬時的(+momentary)」動詞(例えばjump)と「非瞬時的(-momentary)」動詞(例えばdie)に分類するわけです。
(因みに、「非完結的(-conclusive / atelic / non-perfective)」として活動動詞(action)を位置づけなおしています。)
全体を上位から下位にまとめると、動詞をまず「状態的」と「非状態的」に分け、「非状態的」は「完結的」と「非完結的」に、その「完結的」はさらに「瞬時的」と「非瞬時的」に分かれるというわけです。
こうすることで安藤versionは、「状態的」、「完結的」、及び「瞬時的」の3つのアスペクト特徴を基準にして、動詞をそれぞれ「+」か「-」かで分類していけばいいわけで、Vendlerのversionよりもずっと理解しやすいように思えます。
No.3
- 回答日時:
fwkk8769さんがお書きのように、動詞のアスペクト区分ははっきりしないことが多いのです。
1.I dig a hole.
2.I dig the ground.
1は、いわゆる達成動詞となりますが、2はそうなりません。
つまり、動詞そのものの分類と言うよりも、用法の分類と考える方がいいと思います。
I dig a hole.とI dig the ground.の違いは、digという行為により、a holeが発生し、無からの発生であり、完了しているわけですよね。後者の例文は、すでに存在しているthe groundに対してagentがある一定の動作をしていて、このsentenceには、完了がないわけですよね。つまり、個々の単語による相の分類をすることは、ある時間空間の一側面しか捉えていなく、一単語により相を完結できる動詞もあれば、いくつかの語により形成された文章からも、アスペクトを捉えることができるということですよね。つまり、Vendler動詞の四分類は動詞に限定し、しかも一範疇のみに注目した時空間を捉えようとしたVendlerによる試みであり、その分類には議論される余地が大いにあるということですね。個々の差を省き大きく動詞を捉えようとした彼の試みは、さらなる言語解明への貢献への架け橋的役割を果たしたと考えたらいいんですよね。
理解を深めることができました。ありがとうございます。
No.4
- 回答日時:
>I dig a hole.とI dig the ground.の違いは、digという行為により、a holeが発生し、無からの発生であり、完了しているわけですよね。
確かにこの文ではそうですね。ただ、digという行為からa hole が発生したという見方よりも、a hole を目標物として、dig と言う行為をして、それが完了した、または、それが達成されたという感覚だと思います。
つまり、あくまでも、目的物があり、それを作り上げる行為が達成動詞と呼ばれるわけです。
達成動詞のこのような意味合いは、途中で終わってしまった試みをを表す動詞形が、基本的にはないことからも明らかです。つまり、miss とか、fail などの他の動詞との組み合わせでしか、その意味を表すことが出来ません。
物事を分析する時には、対象を単純化することがよくあります。しかし、その結果、現実から離れてしまうこともよくあるわけです。言語というのは、あくまでも、人間の生活場面で使われるものですから、そう言った単純化の作用の結果、何が置き忘れられているのか、それに注意する必要があると感じます。
なるほどなかなか深いのですね。言語を分析する際には、様々なことを考慮しながら、研究する必要があるのですね。
つまり、個別言語により、その同じような領域に分類できる動詞であっても、詳述するとなれば、アスペクトが違ったりすんですよね。
たとえば、英語のdrownと日本語の溺れるにしても、英語では、「溺れる」に+して「死ぬ」が含意されていて、つまりdrownにはある動作が起き、その結果状態まで含意されていて、つまり達成と考えても問題はないが、日本語では「溺れる」だけの相であって、つまり、現在形で表せば、「溺れ続ける」ような感じであり、「継続相を持つ動詞」として考え、つまりは、活動動詞と捉える必要があるのですよね。もし英語で「溺れる+しかし+死なない」なら、「Is drowning」で表すより他はないといった感じですよね。一単語にそれに該当する単語は英語に存在しないですもんね。
しばしば、failという動詞の目的語にtoしか取れない理由もこの問題に関連性が見えますよね。そのto以下にくる動詞が途中で終わってしまい、且つそのto以下の方向の終着点につかなかったために、toを選択する必要があり、また、failという動詞が持つ性質として、途中で終わってしまった試みとうまくマッチングするから共起できるのですよね。一方、ingと共起できないのは、ingにすると、その「動詞+ing」における動詞の完了相を含意してしまうため、failが持つ「不完全性」と不一致が起こり、結果として、failはtoしか取れないということですよね。
すいません。話が脱線してしまいました。
貴重なご意見ありがとうございます。
勉強になりました。
No.5
- 回答日時:
>しばしば、failという動詞の目的語にtoしか取れない理由もこの問題に関連性が見えますよね。
そのto以下にくる動詞が途中で終わってしまい、且つそのto以下の方向の終着点につかなかったために、toを選択する必要があり、また、failという動詞が持つ性質として、途中で終わってしまった試みとうまくマッチングするから共起できるのですよね。一方、ingと共起できないのは、ingにすると、その「動詞+ing」における動詞の完了相を含意してしまうため、failが持つ「不完全性」と不一致が起こり、結果として、failはtoしか取れないということですよね。確かに、fail について、このような説明は出来ると思いますが、miss についてはどうですか。miss はing形を目的語として普通に取ります。自分としては、failとmissのこの違いは、いわゆる「不完全性」というものでは説明できないのではと感じています。
話が異なりますが、考えていて面白いなと感じるのは、動作が一定以上継続する動詞(例えば、makeなど)で目的語が、その動作をはじめる時の状態をものを取る場合と、完成物を取る場合があることです。その両方を取る場合もあり、色々考えてしまいます。
さらに、ask のように、直接目的語として、人と疑問の二つを取ることのできる動詞もあります。どちらも第3文型で使えます。
結局のところ、こう言った複雑さは、人間生活そのものがそう言った複雑さを持ったからで、なぜ、ある一定の語がそう言った意味、用法を持つのかというのは、言語だけを考えていては、解明できないと思います。どうしても、それらが使われている場面、話者の心理などを記述する方法がなければ、言語学自体があいまいなものになってしまうように思います。
しかし、drownについての議論は面白く拝見させていただきました。確かに、そう言った含意があると感じます。
目的語に不定詞か動名詞がくるか仮説として立てた「不完全性」の概念は崩れ去ったと考えられます。人間の心のメカニズムが一定でないのと同様、この一言語現象の解明にも複雑化が見えます。この一連の問題も語用論的な解決で、人間の心の中に共通概念が働くがゆえ、to-を認めようとか-ingを認めようとか、人類の通時性の中で無意識的にそういった心理が働いたという結論に至りますね。でもあまりにも語用論や、認知的なものに頼ると、個別的解決で統一性にかけ何でもアリになる危険性があります。その根拠が、例え社会的環境に帰する物、また人類の共時的通じ的中で見た絶対的必要性に駆られて必要とされるものや、さらには発展させて、社会言語学にもその解決を求めるということに至りますよね。いろいろな分野を融合させてしまいますと、結局その概念は浅はかな物と化してしまい、信用性にかけるものへとなる危険性も考えられます。
チョムスキーがsyntaxの世界だけで、人間言語を説明しますが、英語にしか視野を向けていなく、しかも英語でさえ、解明できていないという結果に終わったのだとも考えられます。ことばを解明するには、常に人間の多角的心理に邪魔され、それを考える私たちも心理を働かせ考えるのですごく難しいです。
こうなるとmissなど一つ一つのレキシコンをきちんとインプットしていないと解決できない問題へと至り、初期母語話者でもingとtoを使い分けができることを考慮するとますます見えなくなる問題だともいえます。ingをとるということは、動的な事象ではなく、ある意味モノ化し、静止状態つまりは、物事の一般的概念となり、missという動詞の意味が感情としてwantしていたものをmissするというよりは、cannotという不可能な事つまり、モノ化した感情移入のない概念として受け止めるがゆえに、ingを使うなど、こじつければいくらでもいえそうですが、このように考えると、貴方がおっしゃる通り、言語学自体があいまいなものへとなってしまいますね。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
>初期母語話者でもingとtoを使い分けができることを考慮する
そうでもないと思います。アメリカ人やイギリス人も、幼児から中学生ぐらいまでは、結構、用法を間違えるようです。
その他、動詞の活用の間違え(wentの代わりにgoed)とか、形容詞の間違えなど、数多くあるようです。
日本人も、小学生の書いた作文などを読むと、助詞の間違えは多く見られます。
確かにそうですね。私もその事に関しては、Rod Ellis のsecond language acquisitionの中で目にした事があります。やはり、ことばは深くて、不可解なベールで覆われていますね。
taked4700さん、vendler動詞からここまで話を発展して頂きとても有意義な時を過ごすことができました。有難うございます。また今度質問の際、宜しくお願いいたします。楽しみにしております。
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