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先日、某化粧品口コミサイトで、
「気に入らない商品だったので、悪いと知っているが、購入した時点で
商品が開封されていた、と嘘を言って返品した」
という趣旨の書き込みがありました。

ここで疑問なのですが、
●この客側は、詐欺に相当するのか
●店側は法的に、客の返品請求にどこまで応じる必要があるか

具体的な法のソースをご存知の方、教えてください。

A 回答 (5件)

#ソースを示すのは困難なので示しません。

一応「民法の本を読めば分かる」のですが、そのものずばりのことが書いてあるわけではないので信頼できる「ソース」として示すことは困難というかほぼ不可能なのです。ネット上にそのものずばりの記述があるかもしれませんが、それが信頼できるという保証がないのは、この回答が信頼できるという保証がないのと全く同じなのでそれを示す意味もそれほどあるとは思えません。

まず大前提として、「契約が成立したら履行しなければならない」ということを理解しておいてください。つまり、売買契約を締結した以上、売主は商品を引き渡す義務を負い、買主は代金を支払う義務を負い、双方はそれぞれの義務を果たさなければなりません。この契約関係は、双方の義務(法律的には債務と言います)の履行により消滅します。これが原則です。しかし、一定の場合には、「履行しないで契約がなかったことにする」ということができます。その方法は色々ありますが、本件のような場合は「合意解除」ということになります(*)。合意解除とは、当事者が合意により「既に成立した契約をなかったことにするという契約」です。したがって、合意解除は契約に他ならず、当然、民法の意思表示の規定が適用になります。ここで、「一方当事者が虚偽の事実を告げて相手をだまして解除契約を締結した」というのが本件です。これは、民法96条1項の「詐欺」に該当します。法律上は、相手方は合意解除(正確には、解除契約の承諾の意思表示)を取り消すことができます(実際に問題になることはまずありませんが、法理論上はこうなります)。

(*)本件においては、「もし仮に商品が開封してあったというのが本当だった」としても「買主に法定解除権が直ちに発生するわけではない」ということは要注意です。商品が開封してあったのが本当だとしてもそれは「債務の本旨に従った履行ではない」だけでそれだけでは法定解除権は発生しません。法定解除権が発生しなければ、売主はきちんとした商品を提供する義務を負ったままで、買主は代金支払い義務を負ったままです。普通は、「開封してあったから交換して」と言うでしょう?それは、つまり、あくまでも契約内容を実現するのが原則であって解除は例外であるということなのです。それを特に法定解除権が発生する事由もなく解除するということは、合意解除に他ならないということです。

なお、余談ですが、法律上はこの「詐欺」により損害が生じれば「不法行為」(民法709条)として損害賠償義務を負います。自分で開封しておいて開封してあったなどと言うがごときは、開封した商品は通常の商品としては売れない場合も少なくありません(そうでない単純な返品でも会社によっては改めて販売しないことがあります。返品特約付きの通販商品で不良品ではない単純な客都合の返品商品がリサイクルショップの商品供給源になるくらいには、あります)。ですから、法律的には買主が損害賠償義務を負う可能性があります(実際に問題なることは滅多にありませんが、高額な商品だったりするとないとは言えません)。

次に、客の返品に応じるかどうかは法定の事由がある場合とない場合とがあります。法定の事由であれば「制限能力(民法5条から21条の辺り)、意思の不存在(民法93条から96条の辺り)、法定解除(民法540条から548条の辺り)」などがあります。他にも特別法の規定の適用がある場合があります。いずれにしても成立した契約関係を解消する根拠となる法律上の規定です。
一方、法定外の事由は上で述べた解除契約だけです。そして解除契約は両当事者の合意のみによって成立するので、店が解除契約締結に応じるかどうかは店の自由な判断によります(正確には、最初から売買契約に買主の無理由解除権を認める特約を付けていることもあります。通販ではよくあります。ただしこれも売買契約という「契約」の内容であることに変わりはありませんから、当事者の合意のみにより成立するという法的性質は同じです。)。それ以外の法定の事由があれば、それを相手が主張すれば応じなければなりません(応じないと最悪、訴訟になるわけです)。

ところで、「詐欺」というのは、大雑把に言えば、「民法上の詐欺」と「刑法上の詐欺(正確に言えば、詐欺"罪")」とがあります。質問の趣旨からすれば民法上の詐欺であろうと判断したので上記の通り、「民法96条の詐欺に当たる」としています。ですが、一応「刑法上の詐欺」かどうかも簡単に述べておきます。これは#2の回答が適切で、それ以上のことは特に言わなくてもいいのですが、一応補強の意味で。

一言で言えば、「まず確実に詐欺罪にはならない」ということになります。詐欺罪には二種類あり、「財物を得る」いわゆる1項詐欺と「財産上不法の利益を得る」いわゆる2項詐欺があります。詐欺罪となるには、(1)人をだまして(2)勘違いさせ(3)その勘違いに基づく行為によって(4)財物を交付させる(1項詐欺)または財産上不法の利益を得る(2項詐欺)、という四要件が必要です(これはわざと噛み砕いた表現をしています。なお、その他に詐欺罪の故意が必要です)。しかし、本件が(4)の要件を欠くのは明らかです。売買契約がなかったことになった結果として代金支払い義務を免れたのは確かですが、その代金支払い義務はあくまでも商品を受け取る権利との対価関係にある義務であり、商品を受け取る権利を失っている以上、その対価となる義務を免れることは財産上の利益を得たと考えることはできません。ですから詐欺罪にはなりません。
なお、単純に見れば「人をだました」のは事実なので本件の行為は「詐欺罪においても詐欺行為であるが、財物あるいは財産上の利益を得ないから詐欺罪にならないだけである」と言ってもよさそうに思えるかもしれませんが、そう単純にはいきません。もしそう考えると「詐欺未遂罪」になる可能性が出てきてしまいます。ですから、まさに#2の回答にあるとおり「詐欺罪の詐欺行為は財物の交付あるいは財産上の利益を得ることを目的としている行為である」ので、そうでない行為を「詐欺罪の詐欺行為ではあるが」などと述べるわけにはいきません。従って、そもそも詐欺罪の詐欺行為とは言えないと言うべきことになります。もっとも詐欺行為であるが財物あるいは財産上の利益を売る目的がない以上は「故意がない」という理由で詐欺未遂罪を否定することも理論的には可能ではあります(専門的になりますが、構成要件該当性は形式判断に徹するべしという考え方を徹底すれば後者になることも大いに考えられます)。
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この回答へのお礼

すごく丁寧なご回答ありがとうございます。
ちょっと法律に興味が出てきました。果てしなく広がる世界のように思えますが。
詐欺と軽くいうことはできますが、詐欺の定義や該当するかの解釈でここまで
深い世界があるとは思いませんでした。

まだ私には法律を理解するだけの素地ができていませんが、いただいたご回答を
繰り返し読んで知識の糧としたいと思います。

お礼日時:2006/12/27 00:57

NO3ですが再度回答しますね。


ちょっと待ってください。今回補足いただいた内容は全く質問とは別の主旨ですから、またまた回答は違ってきますよ。
商品を開封されていたといって返品する場合とあなたが今回補足いただいた内容では話が違って来ますよ。

>テスターでフルメイク
これは試用としておいているわけですから、法的にはそれでフルメイクしようとも問題はありませんが、法的にはなくても店側として注意することはしてもいいと思いますが。法律的に悪くないものがすべて世の中で通るとは思えません。違法ではないだけであってよくないことというのはたくさんありますから。

>箱入りの商品を箱から出す
これは箱から出したことによって商品としての価値がなくなるような商品、つまり箱から出すと売れないような商品の場合は、仕方がないでは済まされない場合があります。
もちろんいずれも刑法上の犯罪にはならないので、民法上の損害を蒙ったとしての賠償請求になりますが。商品を売れなくしたということでその商品を買い取ってもらう、あるいはその商品の価格を弁償してもらうなどの処置はとれるでしょう。もちろん裁判にでもしない限りは、お客が嫌だといえばそれまでですが。
ただサービスという言葉が出てきましたが、店の評判を考えると普通はそれくらいでは、お客さんに対してことを大げさにはしないですよね。「あの店は・・・」なんていう評判がたってはそれ以上のマイナスになりますから。さじ加減が難しいですよね。

>店内で子供を遊ばせるなど
これもただ単に店としては「止めて欲しい」と依頼あるいは注意すれば済む話ではありませんかね?そもそもこういう点で法律論になるのがちょっと疑問に思ってしまいます。自分だ嫌だと思うことは法律云々という前に「やめてください」と意思表示をすれば済む話ではないでしょうか?もしそれでも故意にやめない場合は嫌がらせということになりますので、初めて法律論がでてくるのだと思いますが。
まあでもこれくらいでも、迷惑な話ではありますが普通は店にとってのお客様ですからあんまりうるさくいう店はないでしょう。
仰るとおりサービスによる損失の範囲内だと思いますよ。

この損失は、サービスのうちに含まれてしまうのでしょうね。
なんとも残念です。
法律に頼らない方法を考えてみます。
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この回答へのお礼

再度のご回答ありがとうございました。

ネットでなにげなく書かれた投稿から、私の中では随分話が膨れ上がってしまい
しかも門外漢の法律の分野がこれほどに広大な世界だとは知らず、
ちょっと途方にくれているところもあります。

なんとも歯がゆいお礼ですが、じっくりいただいた回答を拝見し、
いろいろ学びたいと思います。

お礼日時:2006/12/27 01:04

この客は詐欺には該当しません。

全く構成要件を満たしていません。詐欺といえるためには、騙して、かつ財物を得ることをしなければなりません。今回の場合は「商品が開封されていなかったのに、開封されていた」点を騙したといえば騙したといえるでしょうが、それによって財物を得ておりません。ただ返品してもらっただけなので、この客も得はしてませんよね。ですから詐欺ではありません。虚偽申告をしただけですので刑法では法に触れておりませんよ。

店側は法的にはどこまで要求に応じる必要があるかということですが、店にはいろいろな法律が適用されるので一概にはいえませんが、民法や商法や消費者保護法、製造物責任法などいろいろあります。はっきりしているのは、商品に大きな欠陥があった場合や、わかりにくい表現で消費者が勘違いをしてしまうような売り方をした場合、商品をじっくり見て購入することができないような通信販売で、思ってた商品と違うような場合などでしょうか。
ただ店というのは客商売ですから法的な根拠だけではなく、お客へのサービスとしてそれより大きい範囲で返品に応じることが多いようです。あんまり悪どい商売をしていると評判が落ちますからね。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
この疑問が生じたきっかけは、ドラッグストアの雇われ店長をしている
知人が、顧客のマナー低下で損失が多いと言っていたことに端を発します。
(テスターでフルメイク、箱入りの商品を箱から出す、店内で子供を遊ばせるなど)

この損失は、サービスのうちに含まれてしまうのでしょうね。
なんとも残念です。
法律に頼らない方法を考えてみます。

お礼日時:2006/12/20 11:19

●この客側は、詐欺に相当するのか



商品を開封しただけで一切使用していないのであれば、詐欺ではありません。

詐欺罪(刑法246条)と言えるためには、

(1)財物または財産上不法な利益を得るために、

(2)人を欺き、

(3)その行為によって相手が錯誤(勘違い)に陥り、

(4)その錯誤に基づいて
財物を交付させる または 財産上不法な利益を得る または 第三者に、財産上不法な利益を得させる

この4つの要件が揃って初めて詐欺といえます。


>「気に入らない商品だったので、悪いと知っているが、購入した時点で商品が開封されていた、と嘘を言って返品した」

この場合、上の要件の

(2)だます行為=購入した時点で商品が開封されていたと嘘を言って
と 
(3)だまされ勘違いした=その嘘を信じ返品を認めてくれた
の2つの要件は、形式的には満たされているようにも見えますが実質的には満たされてはいないと思います。
※理由は、長文になるので省略しますが、要は店側に返品を認めさせることが、財産上不法な利益を得ることになるか、という問題にかかってきます。

よって同様に(1)、(4)の要件も満たさず、詐欺罪は成立しません。


●店側は法的に、客の返品請求にどこまで応じる必要があるか

まず、商品に欠陥があった場合には、返品や交換等、法的に応じる義務があります(民法560条以下-売買の効力参照)。

正常な商品を送付した場合に、客の返品請求に応じるか否か、応じるとすればどこまでか、というのを決めるのは、あくまで店の裁量です。

もっとも、返品には一切応じないとした場合、当然その後の客との「代金を払う、払わない」というトラブルが予想されます。
それでこれを避けるため、普通は、しぶしぶでも応じているところが多いように思います。

ただ、CDやDVD等は、一旦開封すればそれを使用したかしていないかの判別は難しくなりますので、開封=使用と見なし、初期不良の場合を除き返品に応じないのが通常ですし、食品なども開封により商品価値はなくなりますので初めから腐っていない限り返品には応じてくれません。

以上、ご参考になれば幸いです。

この回答への補足

口コミサイトには、「使ってみたけれど、香りが思ったものと違う」と
記述があったので、自らの意思で店頭に赴いて購入し、購入した商品を
使用したことが伺えます。サンプルを使用したという記述はありません。

返品された商品は商品価値がなくなったと思いますが、返品した当人は
利益を得たとは言えないので、商品を購入した店に損失を与えたにも
かかわらず、当人はペナルティはなのですね。
ちょっと納得ができないです。

詐欺という定義づけるには、私が想像していた以上に細かい条件がある
のですね・・・。やはり法律はむつかしいです。
当人(や第三者)が利益を得ていなければ、詐欺ではないとは驚きです。

ご回答ありがとうございました。

補足日時:2006/12/20 10:52
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1.偽称にあたります(平たく言えば詐欺です(^^;)


2.法的には、商品に重大な欠陥がない限り応じる必要はありません。
ただ、これを言うと客とのトラブルとなりますので、あくまでもサービスということで返品や交換に応じています。

先の場合も素直に合わなかったので、と返品を申し出れば対応してくれたかもしれませんが、虚偽の報告で返品を要求した場合には購入者のほうが罰せられる場合もありますねぇ。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M32/M32HO048.html

ご注意くださいね。
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この回答へのお礼

ご回答くださり、ありがとうございます。

返品はサービスの一部なのですね。ひとつ賢くなりました。

お礼日時:2006/12/20 10:51

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