No.3ベストアンサー
- 回答日時:
確率変数が、標本空間Ωから実数への写像である、ということが(感覚的に)理解できれば、確率過程の定義も自然に思えると思います。
標本空間Ωというのは、起こる可能性がある出来事全てを集めた集合(のような)ものです。
本当は、こんな変な意味づけを考える必要はなくて、まあ単によくわからないけどでかい集合がある、で十分なんですが。
で、神様が、標本空間Ωから元を一つランダムに選んできます。ωという元が選ばれたとしましょう。ω∈Ω
しかし、人間ドモには、神様がどの元を選んだかはわかりません。
人間が観測できるのは、ω自体ではなくて、Ωから実数への関数Xを通した実現値X(ω)です。この写像Xのことを確率変数といっています。
例えば、サイコロを投げることを考えると、標本空間は起こりえること全てなので、
Ω={サイコロが地球上の緯度35'39''112…、経度139'44''43.48…に上が1の状態で角度が10.2134度でとまった
サイコロが…}
て感じで考えられる全ての可能性が入っている巨大な集合です。
で、ここから神様が1つの元ωを選んでくるわけです。
ですが、今注目しているのは、上を向いている面がどの目なのかってだけで、緯度とか角度とかはどうでもいいです。
なんで、ωが与えられたときに、サイコロの目を返す関数X(ω)を通せばいいってことになります。これが確率変数です。
で、確率過程では、例えばサイコロを2回以上投げることを考えます。
このとき、
標本空間Ω = {1回目はここに1の面を上にして角度でとまり、2回目はあそこに2の面を上にして別の角度でとまった、
…}
て感じになります。神様がここから1つの元
ω=1回目はここに1の面を上にして角度でとまり、2回目はあそこに2の面を上にして別の角度でとまった
を選んだとします。我々が興味があるのはサイコロの目だけなので、ある関数Xを通してωを観察すればいいのですが、この場合は、そのときに何回目かも一緒に指定する必要がありますね。
というわけで、
X(ω,1回目)=1
X(ω,2回目)=2
です。このように、標本空間Ωの元ωと、ある実数tを与えられたときに、なんらかの実数を返すような関数X(ω,t)のことを確率過程と呼んでいます。
ご回答ありがとうございます。
かなり現実味を帯びた内容で、非常に分かりやすかったです。
>Ω={サイコロが地球上の緯度35'39''112…、経度139'44''43.48…に上が1の状態で角度が10.2134度でとまった…}
ここまで考えたことはありませんでした。
うまく説明できませんが、そのいろんな要素のうち、
上になった目と回数で現象を考えるのが、ここでの確率過程なんですね。
#2の方にも質問をしたのですが、
気が向いたらで結構ですので、
こういった現実味を帯びた例で説明している書籍をご紹介いただけると幸いです。
No.2
- 回答日時:
確率過程の定義そのものよりも、直感的にどのようなことか把握されたいようですね。
サイコロより簡単に、コインの裏表で行きましょうか。
コインを投げて表が出る確率をpとします。確率変数の値は、表が出たら1、裏なら0としましょう。n回目の試行の確率変数をXnとすると、P(Xn=1)=p、P(Xn=0)=1-pです。つまり、試行回数(時間)によって、コインを投げて裏表がでるという素過程の確率変数は変化しません。
ところが、同じコイン投げでも、確率変数Ynを「コインをn回投げて表が出る回数」としますと、話ががらっと変わります。
ご存知のとおり、P(Yn=m)=nCm p^m (1-p)^(n-m) ですから、確率変数Ynは、試行回数(時間)に応じて変化します。これは、二項過程と呼ばれるものです。これって、ただの二項分布と同じじゃないと思われるでしょう。その通りです。
この二項分布については、従来はmとpの関数という感覚で平均や分散などについて議論されてきたのではないでしょうか。しかし、これを確率過程として見たとき、議論の対象は、分布関数やその平均値、分散などが時間変化(nの変化)に応じてどのように変化するかという、いわば時間的な振る舞いの議論へと発展されます(ちょっと乱暴な言い回しかもしれませんが)。
二項過程の例が良い例であったかどうか少々疑問なのですが、逆に確率過程から導かれる確率分布というものもあります。例えば、ポアソン分布です。ポアソン分布は、二項過程の収束形としてポアソン過程が導かれ、その時刻を止めたものがポアソン分布となります(詳しくは教科書を参照されたし)。
言いたい事は、確率過程と呼ばれるものなのかどうかの境目は、サイコロの目の発生確率が一定かどうかなのではなく、あくまでも、確率変数をどのように定めるのか、また、その確率変数について、何を議論するのかによって、それが確率「過程」と呼ばれる得るものになるかどうかが決まるのだ、ということです。
質問者も今まで確率を学んできた方なのだろうと思いますが、確率過程が今まで学んだ確率分布と全く違うものではない、ということを感じて頂ければ幸いです。
なお、ポアソン過程、ガウス過程については、別途ネットで検索してみて下さい。そんなにご大層なものでないことは理解されることでしょう(というと専門家のお叱りを受けるかもしれませんが、ま、入門者向けということで、ご理解賜りたく)。
いろいろと詳しいご説明ありがとうございます。
>確率過程の定義そのものよりも、直感的にどのようなことか把握されたいようですね。
全くその通りでございます。
二項過程の例で、二項分布とただ視点がことなるだけということが分かり、
非常に得るものがありました。
これまで、「過程」と付くものを避けてきましたが、
それらが大そうなものでないことを信じて勉強してみます。
>確率過程と呼ばれるものなのかどうかの境目は、
>サイコロの目の発生確率が一定かどうかなのではなく、・・・
#1の方の回答と合わせて考えるとかなり理解が前進した気がします。
もし気が向いたらで結構ですが、
こういった説明で書かれている書籍はご存じないでしょうか?
ご存知であれば紹介していただければ幸いです。
No.1
- 回答日時:
>出る目の発生確率が振るたびに変化するサイコロのようなものでしょうか?
もし、そういうサイコロがあれば、確かに確率過程といえるでしょう。
ガウス過程というのは、確率過程X(t;ω)で、tを固定したときの、Xの分布が正規分布となるようなものです。平均とか標準偏差とかはtによって変わることもありますが、とにかく、tに関わらず常に正規分布に従います。
確率過程の前に、確率変数というのは何なのか理解していますか?
標本空間Ωから実数への写像を確率変数といいます。確率過程は、その写像がtという実数にも依存していて、(ω,t)の組から実数への写像、になったものです。(ω∈Ω)
ご回答ありがとうございます。
>確率過程の前に、確率変数というのは何なのか理解していますか?
サイコロで言えば、出る目が確率変数という認識でよろしいでしょうか?
>標本空間Ωから実数への写像を確率変数といいます。
>確率過程は、その写像がtという実数にも依存していて、
>(ω,t)の組から実数への写像、になったものです。(ω∈Ω)
まだモヤモヤしたものが取れないですが、
この説明で、かなり理解が深まった気がします。
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