原告のAが「貸した1000万円返せ」と訴えを提起し、
それに対して被告のBは「(ア)確かに受け取ったけど、(イ)弁済した」と主張しました。
(ア)についてはBも認めていて自白が成立しますが、(イ)については「弁済した」と主張しているので争うことになります。
「弁済」したという主張は抗弁になりますので、このことについてはBに立証責任があります。
しかし、Bが「確かに受け取ったけど、もらったんだ」と主張すれば、
Bは否認したことになり、Aが「ここにその時の領収書が~」と主張してAに立証責任があります。
なぜ、「弁済した」と主張すれば、抗弁になりBにそのことに立証責任があって、
「もらったんだ」と主張すれば、否認になってBではなくAに立証責任があるようになるのでしょうか?
また、そのことについて説明がなされているサイトがあればお教えください。
長文の上、分かりにくい文章ですがよろしくお願い致します。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
>否認というのは、主要事実(2)を認めていない(「もらった」と主張)ことを言い、
正確に言えば、相手方が証明責任を負っている主要事実を認めない旨の陳述です。否認された事実は、証拠により証明されないかぎり、そのような事実はないものとされますから、証明責任を負っている者に敗訴という不利益が生じます。
>主要事実を認めながらも(2の返還約束があったという事実)、新たな別の事実(弁済)を主張することなのでしょうか?
抗弁を主張する前提として、相手方が証明責任を負っている事実を認めなければならないというものではありません。
例えば、「1の事実は認める。2の事実は否認する。仮に2の事実が真実だとしても、貸金返還請求権は時効により消滅している。」という仮定的抗弁(消滅時効の成立の主張も抗弁です。)もすることができるからです。
あくまで抗弁というのは、相手方の主張する法律効果の発生を阻止または消滅させる、自己が証明責任を負っている事実の主張なのです。
No.5
- 回答日時:
umeharalawです。
仰られるとおり、
否認とは主要事実を認めないこと、
抗弁は主要事実を認めながら、請求を拒む新たな原因事実を主張すること、
をいいます。
これが、
否認のときは原告に立証責任があり、
抗弁は被告に立証責任がある、
とされるゆえんです。
同様に、再抗弁、再々抗弁・・・と構成されていき、
順番に、立証責任が原告、被告・・・と移ります。
この辺りは、非常に理論的で分かりやすいし、面白いと思います。
実際は、どちらに立証責任があるかで、訴訟の展開が180度変わりますので、
シビアな問題でもあります。
No.4
- 回答日時:
まず、立証責任の意味を正確に理解しておく必要があります。
立証責任とは、ある要件事実について立証ができなかった場合に、その事実によって発生するはずの法律効果が認められないという不利益のことです。
Aとしては、貸金返還請求権が認められるために、
(p)金銭の返還合意
(q)金銭の交付
の事実を主張し、かつ立証する必要があります(弁済期等については省略)。
この場合、Bが、
(r)弁済の事実
(s)もらった事実
を主張するというケースが問題になっていますね。
弁済したとのBの主張は、(p+q)+rという主張です(p+qは自白で争いがない)。
Bはとしてはrが立証できないとp+qだけが残ります
(=貸金返還請求権が発生したが、消滅していないことになる)。
これが「Bに(rの)立証責任がある」という意味です。
一方、Bがもらったと主張した場合、pは自白で争いがありませんが、
qについては(理由つき)否認をしているので、
Aがqを立証できなければ、そもそもp+qが成立しません
(=貸金返還請求権が発生していないことになる)。
この場合、Bはsを立証するまでもなく、Aが不利益を被ります。
これが「Aに(qの)立証責任がある」という意味です。
No.3
- 回答日時:
否認の定義が、相手の主張と矛盾する主張
抗弁の定義が、相手の主張と両立する主張です。
従って、「貰った」と言ってしまえば、相手の主張と両立しませんので否認です。
「弁済した」は、相手の主張を認めた上で、相手の権利の消滅を主張しているだけなので、矛盾しません。
基本的に権利の発生・消滅を主張する人に、立証責任がありますので
弁済の事実を証明する必要がでてきます。
No.2
- 回答日時:
貸金請求の要件事実は、
(1)金員授受 (2)返還約束
です。
「たしかに受け取ったけど弁済した」は(1)、(2)について認めたことになります。
「たしかに受け取ったけどもらったんだ」は、(1)について認めたが(2)は否認したこととなります。
サイトは存じません、ごめんなさい。
umeharalawさん、回答ありがとうございます。
否認とは、主要事実を認めていないこと、
抗弁とは、主要事実(1金員授受 2返還約束)を認めながらも(「弁済した」は返還約束があったことを認めたことになりますね)、
真実は「弁済したんだ」、と新たな事実を持ち出すことを言うのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
まずAが主張しなければならない主要事実は、
1.BがAから金1000万円を受領したこと。
2.AとBが、その金1000万円をAに返済することを約したこと。
です。(単純化するために弁済期の問題は考慮しないものとします。)
Bの(ア)の主張は、1.の事実についての自白になりますが、「もらったと」という主張は、2.の事実についての否認になります。ですから、Aは2.の事実について証明しなければなりません。
一方、(イ)弁済したという主張は、2.の事実を認める趣旨になりますから(もっとも、「弁済した」という表現は、あいまいさが残るきらいがあるので、実際には釈明権を行使して、その主張の趣旨を明らかにする必要が生じるかもしれません。)、2.に関する事実も自白したことになります。
そうすると、このままではBは敗訴しますから、Bが弁済の事実を抗弁として主張し、その事実についてAが否認するならば(当然するでしょうが)、Bは弁済の事実を証明する必要があります。
buttonholeさん、回答ありがとうございます。m(_ _)m
そもそもなぜ、「もらった」が否認になり、「弁済した」が否認にはならず立証責任のある抗弁になるのでしょうか?
否認というのは、主要事実(2)を認めていない(「もらった」と主張)ことを言い、
抗弁とは、「弁済した」が「主要事実を認めるけど、実はこうなんだ(弁済した)」というように、
主要事実を認めながらも(2の返還約束があったという事実)、新たな別の事実(弁済)を主張することなのでしょうか?
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