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No.1
- 回答日時:
民事再生は,債務者が経済的に苦況にある場合に申立てが認められますが,ここでいう経済的に苦況にあるというのは,そのまま放置すると遅かれ早かれ破産に至ることが必至であるという状態と考えられます。
そして,破産の申立ての要件は,「支払不能」ですが,この支払不能とは,債務者の収入をもってしては債務の支払いができない場合だけでなく,収入で支払えないのみならず,少なくとも換価容易な財産を換価することによっても支払えない場合と考えられます。ですから,自宅の不動産(不動産は換価容易な財産です)を売却することで債務が支払える場合には,民事再生の申立ては認められません。
これが第1点
次に,民事再生の申立てが認められた場合,再生計画は,債務者の一般の利益に反することができないとされています。ここにいう「債務者の一般の利益」とは,少なくとも破産するよりは,再生計画の法が債権者にとって有利であるということを意味しています。
破産手続が開始すると,破産手続開始の時点で,一旦財産と債務を固定し,その時点で存在する財産を破産管財人が現金化して債務の弁済に充てるという手続になります。したがって,民事再生の場合には,再生手続開始の時点で存在する財産以上の弁済をする再生計画を立てないと,その再生計画は,裁判所から認可されないということになるわけです。
これが第2点です。
以上のいずれからしても,質問のケースでは,再生手続をとることはできないと考えられます。
他の方法としては,いわゆる任意整理しか考えられません。360万円の負債の全額の一括弁済を求められているのであれば,分割弁済にしてもらう交渉をする。保証人を立てる。不動産に担保を設定する。利息の減免を交渉する。誰かに立替払を頼み,元の債権よりも緩やかな条件で返済する。などなど,任意整理でできることは,債権者が承知する限り,内容的に自由ですから,いろいろ検討の余地はあると考えられます。
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