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NaHCO3の水溶液中のHCO3-濃度の測定方法についてお尋ねします。この溶液のイオン電極法で測定したナトリウム濃度が50mEq/Lだったとします。クロールの濃度も同時に測定できたとして、HCO3-の濃度は、ナトリウムの濃度50mEq/Lからクロールの濃度を引いた値になるのでしょうか。HCO3-を直接測定する装置が無くイオン電極法によるナトリウム・カリウム測定装置でなんとか測定したいと思うのですが、「HCO3-の濃度は、ナトリウムの濃度50mEq/Lからクロールの濃度を引いた値」とみなして良いですか。化学の素人ですので平易に教えていただければ、幸甚です。

A 回答 (3件)

> 簡略的にでも結構ですので、どのような計算式になるのでしょうか。



あくまでも,Na+ が NaHCO3 から来る分しかない場合に限ります.
酸解離平衡により,常温では,
[H+][HCO3(-)]/[H2CO3] = 10^(-6.36)...(1)
[H+][CO3(2-)]/[HCO3] = 10^(-10.34)...(2)
また溶液の電気的中性条件により,
[H+] + [Na+] = [OH-] + [HCO3(-)] + 2[CO3(2-)]...(3)
NaHCO3 が極端に低濃度でないならば,(3)式の [H+] と [OH-] は他に比べて無視できるので,実質は
[Na+] = [HCO3-] + 2[CO3(2-)]...(4)
また,H2CO3 や CO3(2-) はもともとの NaHCO3 から生じているので,
[Na+] = [HCO3(-)] + [H2CO3] + [CO3(2-)]...(5)
[Na+] には測定した値を入れ,(1),(2),(4),(5) 式を連立させればこの方程式は (原理的には) 任意の変数について解くことができます.
(4),(5) 式より,[CO3(2-)]=[H2CO3]...(6)
この値を a と置きます.
(1),(2)式を掛け合わせ,(6) の関係に注意すると,[H+] = 10^{-(6.36+10.34)/2} = 10^(-8.35)
つまり,NaHCO3 のみを溶かしているなら,今の仮定が満たされる範囲では pH は NaHCO3 の濃度にはほとんど依存せずに 8.35 になるということになります.もちろん緩衝力はほとんどないので,ごく簡単にこの値は狂いますが.
再び (1) 式にもどって今求められた [H+] の値を代入すると,[HCO3(-)]/a = 10^(-6.36+8.35) = 10^(1.99)
つまり,a = {10^(-1.99)}×[HCO3(-)] になります.
一方,(5) 式から [Na+] = [HCO3(-)] + 2a なので,[Na+] から [HCO3(-)] の値は求められることになります.
この計算の結果からは,極端に薄い濃度の場合でなければ,[Na+] に比べて [HCO3(-)] は約2%少ない値になります.[Na+] をイオン電極で求めるのであれば,この差は誤差の範囲といっても問題ないことになります.

> なんとかNa濃度で概算できないものかと・・・。

以上の計算が成り立つのは,あくまでも NaHCO3 のみが成分の場合です.たとえば NaCl が混入したらおしまいですが,NaHCO3 しか入ってないと言い切れるんですか? Cl- をどうの,というくらいですから,他の成分も入るんじゃないんですか?それなのに,Na+ で概算するというのは,根本的に無理があると思うんですけどね.
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この回答へのお礼

なんとすばらしいご名答。ありがとうございました。 >Cl- をどうの,というくらいですから,他の成分も入るんじゃないんですか? 純粋にNaHCO3末を溶かした溶液を、血液ガス分析装置で計った事があります。そのときに、何故かClの値も検出されたので不思議でした。あくまでも NaHCO3 のみが成分とすることに留意して計算してみます。ありがとうございました。

お礼日時:2008/02/08 08:20

> 溶液を構成する成分がNaHCO3のみを溶解した場合で、イオン電極法によるNa濃度測定値が50mEq/Lの場合は、HCO3-も50mEq/Lと考えて良いのでしょうか。



だめです.

HCO3(-) <=> H+ + CO3(2-)
HCO3(-) + H+ <=> H2CO3

という平衡がありますので,CO3(2-) と H2CO3 が生成する分,HCO3(-) の濃度は下がります.NaHCO3 のみを溶かすと弱アルカリ性になりますが,これは2番目の式の平衡によって H+ が消費される分が1番目の影響より強いことを意味しています.いずれにしても,HCO3(-) は Na+ より低い濃度でしか存在していないということです.

NaHCO3 のみの溶液の場合であれば,Na+ 濃度から酸解離平衡の理論によって HCO3- 濃度を算出することは可能です.あくまでも計算上のものですが.ここに他の共存物質が入ってきた場合は,それらの成分と濃度がわからない限り,計算自体ができません.
H+ のように HCO3(-) を直接測ることのできる電極があればいいのですけどね.隔膜型炭酸ガス電極と pH 測定から計算するという手はありそうですが.

この回答への補足

化学の基礎が出来ていない者に親切にお答えしていただき感謝しております。さて、「NaHCO3 のみの溶液の場合であれば,Na+ 濃度から酸解離平衡の理論によって HCO3- 濃度を算出することは可能です.あくまでも計算上のものですが.」とのことですが、簡略的にでも結構ですので、どのような計算式になるのでしょうか。面倒なことに、pHとCO2を測定するガス分析装置がないものですから、HCO3- 濃度を計算値で出せないため、なんとかNa濃度で概算できないものかと・・・。

補足日時:2008/02/07 01:16
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H2CO3 (あるいはCO2) と CO3(2-) が平衡で存在するので,pH に依存します.


なので,そんなに単純には求められません.
そもそも,Cl- だって,何が対イオンとして入ったかわからないわけで,たとえば NaHCO3 に KCl を混ぜた溶液であれば,その計算が成り立つわけがないことは明らかです.
共存物があるときは,直接測定できないものの濃度推定はやっかいです.最低限,溶液を構成する成分が明らかでないと,計算のしようもありません.

この回答への補足

ありがとうございます。素人なのものでよく解らないのですが、
>最低限,溶液を構成する成分が明らかでないと・・・
溶液を構成する成分がNaHCO3のみを溶解した場合で、イオン電極法によるNa濃度測定値が50mEq/Lの場合は、HCO3-も50mEq/Lと考えて良いのでしょうか。

補足日時:2008/02/06 09:59
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