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電子回路の教科書に出ているオペアンプの増幅回路について質問があります。
反転増幅回路では、オペアンプの-入力端子に信号、+入力端子にGNDを接続しますが、本によっては「バランスを取るために」+入力端子とGNDの間に抵抗を接続しているものがあります。この抵抗の値はゲインをR2/R1として、R1と同じ抵抗値の物を入れるようになっています。
ゲインには関係しませんが、「バランスを取る」とは一体どういう意味なのでしょうか?

詳しく教えてください。
よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

R を入れるのは、OPアンプの入力バイアス電流によって生じる誤差を打ち消すためです。

入力端子とGNDの間に入れる抵抗の値は R1 ではなく、正確には R1*R2/( R1 + R2) にしなければなりませんが、R1 << R2 なら R1*R2/( R1 + R2) は R1 に近くなるので R1 と同じでも構いません。以下に R の値の計算方法を示します。

理想OPアンプでは入力端子に電流は流れませんが、実際のOPアンプではわずかな電流が流れます(fA~μA)。下図のように、入力端子に流れる電流(入力バイアス電流)を ib としたとき、利得を決める抵抗(R1 と R2 )に流れる電流は ib の分だけ違ってきます。

                  i - ib →
           ┌───── R2 ──┐
      i →  │ ib →  V1┏━┓  │
  Vin ─ R1 ─┴─────┨- ┃ │
                 V2 ┃  ┠─┴─ Vout
                ┌─┨+ ┃
              ib↑ R  ┗━┛
  GND ───────┴───────

R1 を流れる電流が i のとき、R2 を流れる電流は i - ib になりますので、入力信号を Vin、出力信号を Vout 、反転入力端子(-)の電圧を V1、非反転入力端子(+)の電圧を V2 とすれば次式が成り立ちます(抵抗を流れる電流 = 両端の電圧/抵抗)。
  i = ( Vin - V1 )/R1 --- (1)
  i - ib = ( V1 - Vout )/R2 --- (2)
式(1)を式(2)に代入して i を消し、Vout について解くと
   Vout = -( R2/R1 )*Vin + ( 1 + R2/R1 )*V1 + ib*R2 --- (3)
となります。この式の右辺の ( 1 + R2/R1 )*V1 + ib*R2 の部分が誤差です(理想OPアンプでは Vout = -( R2/R1 )*Vin )。この誤差をゼロにするために、非反転入力端子に抵抗 R をつけるわけです。以下に R の計算方法を示します。

非反転入力端子に R がついているとき、非反転入力端子にも同じバイアス電流 ib が流れているとすれば
   V2 = -ib*R
となります。OPアンプの入力オフセット電圧(V1 と V2 の差)をゼロと仮定すれば、V1 = V2 (仮想ショート)が成り立つので
   V1 = V2 = -ib*R --- (4)
です。式(4)を式(3)に代入すれば
   Vout = -( R2/R1 )*Vin - ( 1 + R2/R1 )*ib*R + ib*R2 --- (5)
となります。この誤差の項 - ( 1 + R2/R1 )*ib*R + ib*R2 をゼロにするには
   - ( 1 + R2/R1 )*ib*R + ib*R2 = 0
つまり
   R = R2/( 1 + R2/R1 )
    = R1*R2/( R1 + R2 )
とすればいいわけです。R1*R2/( R1 + R2 ) というのは、R1 と R2 の並列抵抗です。もし、R1 << R2 なら(利得が大きい場合)
   R1*R2/( R1 + R2 ) = R1/( 1 + R1/R2 ) ≒ R1
なので R ≒ R1 としてもいいわけです。

最近のOPアンプはバイアス電流 ib が非常に小さいので、R をつけなくてもいい場合が多いです。R をつけないというのは、式(5)で R = 0 とした場合で
   Vout = -( R2/R1 )*Vin + ib*R2
となって ib*R2 が誤差になります。 ib = 10nA、R1 = 1kΩ、R2 = 10kΩ の場合
   ib*R2 = 10^(-8)*10^4 = 10^(-4)
ですから 10^(-4) V 、つまり 0.1mV の誤差が発生します。この 0.1mV というのは入力換算(入力信号の大きさに換算したときの誤差)では 1/利得 の 0.01mV = 10μV に相当しますが、Vin がこの10μV より充分大きい場合には無視していい大きさです。
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この回答へのお礼

非常に分かりやすい丁寧な解説をありがとうございます。
問題の抵抗は、入力バイアス電流による誤差を補正するものだったんですね。
とても頭の中がスッキリしました。
本当にありがとうございます。

お礼日時:2008/05/23 14:01

No.1の方が詳しく説明されていますが,若干補足すると,


> 「バランスを取る」とは一体どういう意味なのでしょうか?
オペアンプの反転・非反転入力に接続される直流抵抗を等しくすることです.

ANo.1に習って計算した,バイアス電流による入力換算オフセット電圧が,
オペアンプのデータシートに載っているオフセット電圧の概略1/3以下なら,
非反転入力に抵抗を入れても無意味です.
抵抗を入れたときの欠点は,抵抗から熱雑音が発生し雑音が増加する,
部品が増えて故障率も増加する,コストも増加することです.

ここに,ベテランエンジニアの方も書かれていますが,
「R3のある図の反転増幅器は,このような理由から
初学者に提示すべき回路ではないと私は考えている。」
と言うことです.
http://analog-engineer.cocolog-nifty.com/blog/20 …
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この回答へのお礼

ご回答、ありがとうございます。
バランスを取る抵抗を入れるか入れないかは使用する回路に依存するのですね。
教科書にはR3の入った回路は出てきませんでしたが、工作の本を見るといきなりR3が入っていて、それが理解できずとまどっていました。

ありがとうございます。

お礼日時:2008/05/23 14:08

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