日本経済新聞の某記者の言葉で、「デフレ期から一連の価格高騰によるインフレ期への大転換」というような意味合いの文章を目にしました。
確かに原油・食料等の価格が高くなり、インフレ到来と言えるのかもしれませんが、本当に今の日本がインフレに向かいつつあるのでしょうか?
私の持つインフレの概念:国内で流通する通貨の量が多い状態
つまり、「物価も高く給料も高い」というイメージです。
現状は物価高騰の原因のほとんどは原油価格の高騰やサブプライムローンに起因する為、国内で消費された通貨は結局海外へ流れ出てしまっている状態ではないのでしょうか?
この状態はインフレと言えるのでしょうか??
インフレーションの明確な定義や経済学も分からない、一個人の素朴な疑問ですので、お手柔らかにお願いしますm(_ _)m
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
難しい所で、食料やエネルギーなどの一部の価格は、
消費者物価指数や卸売物価指数に反映されますが、
それ以外の一般の価格水準は揃って上昇しているわけでもありません(1)。
1970年代の石油危機の時のような「狂乱」的な物価上昇ともまた異なり(2)、
現時点では日本の消費者物価上昇率は、他の国よりも低い事も指摘できます(3)。
原油・食料等の特殊要因を除いた一般のインフレ率は高すぎても低すぎても駄目で、
2~3%程度の水準が最も経済がうまく回るもいわれており、
日本経済がデフレを脱却して正常水準に戻りつつあると歓迎する人もいます。
しかし、輸入品にインフレ傾向がある一方、国内の供給側にはデフレ傾向があり、
これらを足し引きするとたまたまそういう値になっているとも言えます。
直近にはさらに国内及び国外のマクロ経済環境が悪化してきています(4)。
商品も売れなくなって値下げされ、企業の収益も悪化すると賃上げも抑制され、
再び国内のデフレ要因が強くなる可能性もあります。
国外でも、原油・資源高の価格はいつどう転じるか不明瞭ですし、
為替レートなどの要因もありますから、先がどうなるかは
信頼できるような見通しを立てにくい状況となっています。
一方、身の回りの生活必需品の値段が大きく上がると、
実質所得が下がったと感じた労働者が賃金の大幅引き上げを要求するようになり、
そうした結果、資源と関係ないものも含んで全面的にインフレ率が高まっていく可能性はあります。
石油危機後もこうした結果もたらされた混乱が大きかったため、
世界的にインフレ予想の高まりを抑制するよう神経質になってきてはいます。
ただ、今の日本では労働組合の力は当時よりも大分弱く、景気回復局面でも
賃上げが十分に行われていないような状態なので、
こうしたことになるかどうかは分かりませんが。
(1)分野で分けた消費者物価指数(2008年6月)
総合 +2.0%
--------------------
生鮮食品除く総合 +1.9%
食料・エネルギー除く総合 +0.1%
--------------------
食料 +3.6%
住居 +0.2%
光熱水道 +6.8%
家具家事用品 -0.4%
被服及び履き物 +0.5%
保健医療 -0.5%
交通通信 +4.3%
教育 +0.7%
教育娯楽 -0.6%
諸雑費 +0.6%
--------------------
財 +3.7%
サービス +0.4%
--------------------
耐久消費財 -3.4%
半耐久消費財財 +0.7%
非耐久消費財 +5.3%
公共料金 +0.6%
(総務省より、前年同月比)
(2)消費者物価上昇率
1972年 総合+ 5.0% 食料+ 3.3% エネルギー+ 1.6%
*第一次石油危機(1973~74)、高度成長期の終焉
1973年 総合+11.6% 食料+13.4% エネルギー+ 7.2%
1974年 総合+23.2% 食料+29.4% エネルギー+32.9%
1975年 総合+11.7% 食料+12.6% エネルギー+13.0%
1976年 総合+ 9.4% 食料+ 8.9% エネルギー+ 7.5%
1977年 総合+ 8.1% 食料+ 6.9% エネルギー+ 7.8%
1978年 総合+ 4.2% 食料+ 3.1% エネルギー- 3.6%
*第二次石油危機(1979~80)、日本は比較的軽微なダメージで収まる
1979年 総合+ 3.7% 食料+ 1.9% エネルギー+ 6.8%
1980年 総合+ 7.8% 食料+ 5.8% エネルギー+34.0%
1981年 総合+ 4.9% 食料+ 5.1% エネルギー+ 6.4%
1982年 総合+ 2.7% 食料+ 1.4% エネルギー+ 4.0%
*長期デフレ(1990年代半ば~)、10年以上も日本経済を蝕んできた負の連鎖
1995年 総合- 0.1% 食料- 1.6% エネルギー- 2.0%
1996年 総合+ 0.1% 食料- 1.1% エネルギー- 2.6%
1997年 総合+ 1.8% 食料+ 1.6% エネルギー+ 2.7%(上昇は消費税のため)
1998年 総合+ 0.7% 食料+ 1.8% エネルギー- 4.3%
1999年 総合- 0.3% 食料- 0.8% エネルギー- 1.6%
2000年 総合- 0.7% 食料- 2.4% エネルギー+ 3.2%
2001年 総合- 0.8% 食料- 0.6% エネルギー+ 0.5%
2002年 総合- 0.9% 食料- 1.1% エネルギー- 2.4%
2003年 総合- 2.5% 食料- 1.6% エネルギー+ 0.1%
2004年 総合- 0.0% 食料+ 1.1% エネルギー+ 1.7%
2005年 総合- 0.3% 食料- 1.3% エネルギー+ 3.7%
2006年 総合+ 0.2% 食料+ 0.6% エネルギー+ 5.8%
2007年 総合+ 0.1% 食料+ 0.3% エネルギー+ 1.6%
2008年*総合+ 2.0% 食料+ 4.2% エネルギー+13.7%
(OECDより、前年比、2008年は6月で前年同月比)
(3)諸外国の消費者物価上昇率
日本(08年6月) +2.0%
アメリカ(08年7月) +5.6%
カナダ(08年7月) +3.4%
イギリス(08年7月) +4.4%
ドイツ(08年7月) +3.3%
フランス(08年7月) +3.6%
スペイン(08年7月) +5.3%
ロシア(08年6月) +15.2%
ブラジル(08年6月) +6.1%
韓国(08年7月) +5.9%
台湾(08年7月) +5.9%
中国(08年7月) +6.3%
タイ(08年7月) +9.2%
インド(08年6月) +7.7%
(最新月次、前年同月比)
(4)ロイター, 「4─6月期実質成長は年率‐2.4%、「景気後退入り」を示唆」, 2008年8月13日
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJ …
ロイター, 「デフレから完全に脱却しきれていない=GDPギャップマイナスで内閣府審議官」, 2008年8月25日
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJ …
No.2
- 回答日時:
スタグフレーションではないでしょうか。
経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が共存する状態を指す。
(wikipediaより)
会社は最高収益を上げていますが、社員に恩恵はありません。
給料はあがらない、物価はどんどんあがる。
まさにスタグフレーション。
つらいわぁ~。
回答ありがとうございます!
スタグフレーション・・・まさにそうですね!
先日も某経済番組内で某経済学者がそのように
解説していたのを思い出しました。
結局インフレへの転換はまだまだ先って感じですかね。
>給料はあがらない、物価はどんどんあがる。
泣きたくなりました(-_-)
No.1
- 回答日時:
あくまで個人的な感想ですが・・・・
今は、インフレとデフレが重なりあった状態が始まっていると
思います。確かに物価は上がっても、給料はあがらない、という
現実はあります。
値上がりが続いていると言っても、コストを吸収できているのは、
一部大手と元売りくらいです。ちなみに、石油元売のCMを見ると
腹が立ってきます。(宣伝費をたとえ1円にもならなくても)価格の
値下げにまわせとついつい思ってしまいます。
中小企業にいたっては、仕入れコストは上昇しても、販売価格に
転嫁できずに、苦しんでいるところは多いでしょう。
バイイングパワーが強すぎてしまい、売り上げに利益がついてこない、
そんな状態は食品をはじめ、各業種に見受けられます。
別に共産主義でも、重農主義でもありませんが、ITのような
サービス産業ばかり発達する(恩恵は被ってますが)今の日本は、
また、過度の消費者主義に向かっている日本は、これでいいのかな?
と思うことがよくあります。
今の日本で、金融恐慌が起きたら、食料不足がおきたら、
十分な対応はできないのでは?と心配しています。
最後のほうは、質問の趣旨と違い、申し訳ありません。書いている
うちに、こういう文章になってしまいました。
ちなみに、右でも左でもない、支持政党なしの一国民です。
失礼しました・・・。
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