「平成」を感じるもの

売買において、約束の期日に商品を引渡しそれと引換に代金を支払う約束をしていた場合で、買主の都合でその日に商品を引き取れないと言われたときには、商品は持って帰るにしても、代金は当然に貰えると考えてよいのでしょうか?

A 回答 (4件)

 売買契約で買主が受領遅滞に陥っていても、同時履行の抗弁権は失わないとするのが相当でしょうね。



 まず、同時履行の抗弁権は、双務契約に法律上当然付帯する抗弁権ですから(それは533条の条文からも明らかといえます。)、これを排斥する合意がなければ、排除できないと考えるべきでしょう。昭和34年5月14日の最高裁判例(民集13巻5号609頁)は、言外に一方又は双方が履行遅滞に陥っていても、同時履行の抗弁を失わないと言っているように読めます。

 受領遅滞の効果として、以後の提供は、口頭の提供で足りるとか、目的物の保管義務が、善管注意義務から自己の物と同一の注意義務に軽減されるという解釈はできますが、目的物引渡債務がなくなるわけではないし、売買契約の双務契約性がなくなるわけでもないので、受領遅滞が同時履行の抗弁までなくしてしまうという解釈は、行き過ぎだと思います。

 まあ、調べてみると、売買契約の売主代金について受領遅滞に、土地の明渡債務について履行遅滞に陥っている場合でも、同時履行の抗弁権を失わないとした裁判例(大阪地裁昭和42年9月30日・判タ216-230)と、融資金交付債務と担保提供債務が引き換えとされた融資契約(諾成消費貸借契約?)について、担保の提供を1回した以上、改めて担保を提供しないでも融資金を交付する義務があるとした裁判例(東京高裁昭和47年5月30日・金融商事324-7)があり、考え方は分かれているようです。


 

この回答への補足

いつも懇切丁寧かつ論理明快な回答有難うございます。
なるほど、はっきりとしない部分があるのですね。

ある参考書に、弁済の提供の効果として、債務不履行責任を免れるこ
とと、相手方の同時履行の抗弁権を奪うこととの記述をみつけました
が、具体的な説明はありませんでした。

また他の資料では、相手方の同時履行の抗弁権を奪うためには、弁済
の提供を継続して行うこととありました。
単に一度弁済の提供をしても売主がその物を持ち帰ってしまっては、
買主の代金債務の履行をまでも求めることは出来ないのではないかと
していました。

私の今回の質問では、売主が持ち帰っていることから、代金債務の履
行までは求めることには無理があるということでしょうか。
従って口頭の提供を継続して行うか供託を行うことによって可能と考
えるべきでしょうか。

補足日時:2009/02/01 12:34
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この回答へのお礼

回答有難うございます。
もう既に20点満点の回答を頂いているかと存じますが、「回答の補足」をさせて頂ました。

お礼日時:2009/02/01 12:43

(1)「引換えに」の場合


同時履行と履行期限の合意があるということですね。
代金の請求権と損害賠償請求権を分けて考えるべきです。
裁判をすれば、引換給付と損害賠償請求の認容判決でしょう。
損害賠償の内容は、履行期以降の保管費用、ムダになった運送費用のほか、約定の遅延損害金か法定利率、といったところでしょうか。

(2)単に履行期限が同じという場合。
買主は代金支払の履行を遅滞していることになります。
同時履行の合意がない以上、売主は代金支払を求めることができますね。
また、債務不履行に基づく損害賠償もする必要があります。
しかし同時に、売主は同時履行を主張できないんですから、相手の未払いを理由とした履行拒絶は認められないことになりますね。
そうなると、売主も債務不履行になると思います。
買主に対して損害賠償責任も負いますね。

(2)の場合の買主側の損害賠償責任は、ムダになった運送費や履行期以降の保管義務には及ばないはずです。
代金支払の有無に関わらず引渡し債務を負っていた以上、持ち帰ったのは売主の勝手ですし、そうして勝手に保管していたので。
請求できるのは代金の遅延損害金だけでしょう。

もっとも、契約当事者の合理的意思として、履行期限が同日と言うのは同時履行を定めたものと解釈される場合もあると思います。
そうなると(1)と同じですね。
通常、売主としては(1)を主張するんじゃないでしょうか。
わざわざ自分に不利な(2)の主張をするとも思えません。
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「引換に」と言う約束なら当然にはもらえることにはならないでしょう。

この回答への補足

回答有難うございます。

なるほど「引換に」と言う約束ならそういことになるかもしれませんね。
「引換に」ではなくて商品の引渡期日と代金の支払期日が同日というのであればどうでしょうか?
商品の受領遅滞と代金の支払遅滞の両責任を負うということは考えられないでしょうか?

宜しくお願いいたします。

補足日時:2009/01/31 11:43
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この回答へのお礼

回答有難うございます。
「回答への補足」をさせていただきました。
自分としては、素直な疑問なのですが、トンチンカンなことになっていることを恐れるところです。

お礼日時:2009/01/31 12:42

契約の内容や、商取引慣習次第です。


代金先払いの約束であれば、請求できるのは当然です。

ただ、多くの場合は、代金の支払いと商品の引き渡しは同時です。
代金は、当然にはもらえないと思われた方が良いと思います。

もちろん、相手側の責任を追及することはできます。
法律的には、商品の引き渡しが遅れたことによる損害(例えば倉庫の賃料)などを賠償請求することができます。ただ、そんな些細なことで波を立てても仕方がないのでは?
(もちろん、倉庫の賃料が1日何百万もかかる物品であれば、重大問題です。)

この回答への補足

回答有難うございます。
状況の設定が不明瞭で失礼をいたしました。

疑問に思っておりましたのは、期日を決め、その日に商品の受け渡しと
代金の支払い行うことを約束した場合に、買主の事情により商品の受
領が出来ない場合に、買主にはどのような責任が発生するかというこ
とでした。

まず、受領遅滞の責任があると思うのですが、これとは別に、代金の
支払い義務も期日を過ぎていることから発生しないのでしょうか?

通常は代金の支払い期日を過ぎても相手の履行がない限り、同時履行
の抗弁により代金支払いを拒めると思うのですが、売主が一旦は「現
実の提供」をしていることから、買主は同時履行の抗弁を主張できな
いようにも思えます。

結果として、受領遅滞による商品保管費用と代金の遅延利息の賠償責
任を負うことにはならないのでしょうか?

宜しくお願いいたします。

補足日時:2009/01/31 05:32
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この回答へのお礼

回答有難うございます。
「回答への補足」をさせていただきました。
自分としては、素直な疑問なのですが、トンチンカンなことになっていることを恐れるところです。

お礼日時:2009/01/31 12:42

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